第58話「幼女は嬉しい」
「それじゃあ、今日は何して遊ぶ?」
話が終わったので、今日の遊びについて佐奈ちゃんに尋ねてみる。
「さなのおうち……!」
すると、考える時間などなく、即答で答えられた。
清々しいほどの最高の笑顔なのだけど……。
「最近、お家が多いね?」
毎度公園で待ち合わせをしているというのに、佐奈ちゃんたちの家で遊ぶケースがかなり増えた気がする。
それこそ、遠出をしないのなら家で遊ぼう、という感じだ。
「さな、おうちすき……!」
俺の疑問に対し、佐奈ちゃんはニコニコの笑顔で右手を上げてアピールしてきた。
結構外で遊びそうなイメージがあるけど、意外とインドア派なのだろうか?
……いや、俺と初めてこの公園で会った時に、いつも公園に遊びに来てるみたいな感じのことを言っていたような……?
「ふふ……この子は多分、あなたをお家に招待できるのが嬉しいのです」
俺が考え込み始めると、美鈴ちゃんが素敵な笑みを浮かべながら説明をしてくれた。
「招待できるのが、嬉しい……?」
「もっと言いますと、あなたがお家にいてくださることが嬉しいんだと思います。ね?」
「んっ!!」
美鈴ちゃんが小首を傾げながら頭を撫でると、佐奈ちゃんは元気よく頷いた。
どうやらそういうことらしい。
「そっか……それじゃあ、これからは公園じゃなくてお家に行こうか?」
わざわざ公園に来るのも大変だろう。
佐奈ちゃんがお家で遊ぶことが多いのであれば、家に行き、もし気分的に公園で遊びたいとなれば、その時に公園に行くほうがいいと思った。
何より、これなら彼女たちと一緒に歩く頻度が減り、人に見られる心配も減るし。
俺が周囲に気を付けて佐奈ちゃんたちのお家に入ればいいだけだ。
「ん~?」
俺の質問に対し、佐奈ちゃんは人差し指を唇に当てて小首を傾げる。
そして――
「んっ……!」
――案外あっさりと頷いた。
毎度公園に来るから、何かこだわりとか、公園で待ち合わせをすることに楽しみとかがある可能性も考えていたが、まったくそんなことはなかったようだ。
まぁ……幼いもんな。
そこらへんにそもそも疑問すら浮かんでいなかったのかもしれない。
「ふふ……それでは、お家に向かいましょうか?」
佐奈ちゃんに俺が振り回されているように見えたのか、美鈴ちゃんがまた楽しそうに笑い声を零し、ベンチから立ち上がった。
ここに来た時は昨日のことを引きずって様子が変だったが、いつの間にかいつも通りに戻っていたようだ。
「おにいちゃん、いこ?」
佐奈ちゃんは美鈴ちゃんの言葉に従うように、俺を促してくる。
しかし、膝から下りようとはしなかった。
これ、多分……このまま抱っこしてもらう気でいるんだろうな……。
そう思った俺は、落とさないように気を付けながら、佐奈ちゃんを抱きかかえて立ち上げる。
「……♪」
佐奈ちゃんは嬉しそうに俺の首に両手を回してきたので、やはり抱っこしてもらう気満々だったようだ。








