第45話「呼び出し」
事が動いたのは、ゴールデンウィーク最終日。
瑠美のスマホに、チャットアプリの通知が表示される。
『二人きりで話したいの。今までのこと、謝らせてほしい』
それは、瑠美を追い込んだ人物からのメッセージ。
瑠美は返信するかどうか悩み、真凛にチャットで相談しようかと考えるが――
『誰にも言わずに、来てほしいの』
――相手から、もう一度メッセージが届いた。
言うことを聞く義理はない。
どう考えても怪しいし、本来であれば無視するのが正解だろう。
しかし、負い目があった瑠美は、本人の優しくておとなしい性格もあり、申し出を受けてしまった。
(ついに、この日が来ちゃった……)
瑠美の胸の中、不安でいっぱいになる。
いつ来るかわからなかった、運命の分かれ道であるXデー。
それが、急遽明日になったのだ。
募る不安が大きいのも無理はない。
ただ――引きこもる前と今では、明確に状況が違う。
あの時にはいなかった味方が、今はいてくれる。
それも、二人もだ。
ましてやその二人は、学校の教師と、学校で注目されているだけでなく、学年トップの学力を誇る女の子。
その事実が、瑠美に勇気を与える。
「大丈夫……きっと、話し合えば、わかり合えるから……」
そう自分に言い聞かせ、瑠美はゆっくりと目を閉じた。
◆
翌日――学校が終わると、瑠美は一人、指定をされていた位置情報のところに向かうと、そこは古びた工場の物置みたいだった。
廃工場だろう。
瑠美は恐怖に支配されそうになり、足がガクガクと震える。
しかし、ここで向き合わなければ何も始まらないと理解しているので、頑張って歩を進めた。
「――来てくれたのね、待っていたわ」
瑠美の登場により、鈴のように綺麗な声が工場内に響き渡る。
その声の主は、ゆっくりと瑠美のほうを振り返った。
「彩花ちゃん……」
嬉しそうに頬を緩める、熱の籠った瞳でこちらを見つめる幼馴染の名を、瑠美は呼ぶ。
「あなたにそう呼ばれるのは、随分と久しぶりな気がするわね……」
「こ、こないで……!」
彩花が瑠美に近付こうとすると、反射的に脳裏にトラウマが蘇った瑠美は、気が付けばそう叫んでいた。
それにより、彩花は足を止め、スッ――と目を細める。
先程までは、待ち望んでいた恋人が現れたかのように幸せそうな少女の顔は一変し、雪女のような冷酷な表情になっていた。
「そう……また(・・)、私を拒絶するのね……」
「――っ」
瑠美の体にゾクッと悪寒が走り、ギュッと体を抱きしめる。
このままここにいると、また酷い目に遭わされる――そう確信した瑠美は、慌てて引き返そうとした。
だが――。
「ざ~んね~ん、逃げられると思った?」
「久しぶりだね~、瑠美ちゃん?」
いつの間にか背後に二人の少女がいて、彼女たちが工場のドアを閉めてしまった。
彩花の中学からの取り巻きで、瑠美をずっと痛めつけていた実行犯の二人だ。








