第39話「超絶美少女」
美容院って予約が必要なところも珍しくないのに、上条さん行きつけのお店だからか、ちょっとだけ待った後、村雲さんの髪を切ってくれることとなった。
村雲さんは髪型に疎いらしく、上条さんが口を挟む。
そして、髪を切った後どうなったかというと――
「か、かわいすぎる……!」
――上条さんが目を輝かせるほどの美少女が、顔を出した。
それこそ、アイドル顔負けのかわいさだ。
これもしかしなくても、こんなにもかわいいから僻まれて、いじめられたんじゃ……?
そう思わずにはいられないくらいに、本当にかわいい。
「え、えっと……そんなに、見られちゃうと……恥ずかしい……」
その上、この恥ずかしがり屋の性格で、顔を赤くしてモジモジとする始末。
あまりのかわいさに、上条さんが村雲さんを抱きしめてしまった。
「~~~~~っ!?」
顔を真っ赤にして目をグルグルと回す村雲さん。
彼女をそんなふうにしている元凶は、手を離すどころか更にギュッと抱きしめ――
「この子は、私が守ります」
――何やら、使命感に燃え始めた。
やっぱりかわいいもの好きなんだな、この子……。
あと、過保護だ。
「守ってくれるのは有難いんだけど、一つ提案があって――」
村雲さんが学校に来てくれることになった以上、次の手を打つことができる。
当然、こちらから仕掛けるので、リスクはあるものだ。
そのため、すべて話すと、上条さんの機嫌が一気に悪くなった。
そして、村雲さんはちょっと怯えている。
「後出しがすぎます。あと、納得ができません」
上条さんは真っ向から俺に歯向かってくる。
そりゃあ今しがた、『村雲さんを守る』と決意に溢れていたのに、横やりを入れられたのだから無理はないんだが……。
「相手はずる賢いし、この問題を解決しないと、村雲さんは本当の意味で安心できないでしょ? 俺はもちろん目を付けられているし、上条さんにはここぞという切り札でいてもらいたいから、当分は遠目で村雲さんを見守ってもらって、本当にやばい時以外は口を出さないでほしいんだ」
村雲さんを守ると言った手前、矛盾にも聞こえるかもしれないが、相手を裁くのも簡単ではない。
特に、証拠というのは必ず必要だ。
だけどずる賢い相手は、俺たちに尻尾を掴ませてくれないだろう。
そのため、こちらもそれ相応の対処が求められるという感じだ。
「村雲さんには頑張ってもらわないといけないけど、これさえうまくいけば後は大丈夫だから、お願いね」
俺がそう笑顔で頼むと、村雲さんよりも先に上条さんが口を開いた。
「あんだけ熱弁していたくせに……」
「わかってるけど、大切なことだから……!」
この後俺は、なんとか批判マシマシの上条さんを説得し、村雲さんの同意を得ることにも成功した。
さて……ここからが、正念場だ。
村雲さんが笑って学校生活を送れるよう、頑張るしかない。
「……もし村雲さんに何かあったら、わかっていますよね……?」
……うん、なんだかお化けかと思うほど怖い声で、上条さんにボソッと囁かれたので、まじで頑張らないと別の意味で危険そうだった。








