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忘却の白  作者: 瑞華名実
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#1 記憶喪失の青年はオアシスで独り

「ん...ここは...何処だ...?」


容赦なく肌に照りつける日差しで目を覚ます。


唐突な状況に困惑しつつ、周囲を見渡して何か手がかりを探そうとする。

視界に入るのは一面の砂とわずかな木々がほとりに生えたオアシスのみである。

人の気配は全くない。


状況を思い返してみる。

しかし、こうなった経緯はおろか、自分自身のことさえ何もわからない。

記憶喪失というものだろうか?


オアシスの水面に顔を覗かせる。

銀髪碧眼の凛々しい青年の顔が映る。

服装は少し汚れてはいるが、いっぱしの戦士の軽装備に見える。

そこそこ端正な顔立ちに少し見惚れるも、すぐに状況を思い出して我に帰る。

自分の姿を見ても何もピンとくるものはなかった。


ひとまず、自分の持ち物があるようなので、使えそうなものがないか、袋をひっくり返してみた。

すると、何やら中身の入った小瓶やメモ帳、金属音のする袋などが落ちてくる傍、少し重い音を立てて銀色の板が落ちてきた。


『C級冒険者 オルシャ・グレイナル

 上記の者が冒険者ギルドに在籍することを保証する』


どうやら、冒険者ギルドカードと呼ばれる物のようだ。


「冒険者...なのか...」


ようやく自分の身元を保証するだろうものが出てきたので、少し安堵した。


しかし、そうするのも束の間、自分はまだ危機的状況にあることを思い出し、我に帰る。


「さぁ、こっからどうすっか...」


砂漠は寒暖差が激しい。また、砂嵐や水不足だってある。そんな状況で、無理に移動しようと思えばすぐにでも命を落とすだろう...

あれ、なぜ砂漠の危険性を知っていたのだろう?


「イ.................ッ」


頭が痛んだ。


何やら急に見知らぬ情景が浮かんできた。私の記憶だろうか。

「白い衣に身を包んでいて、誰かと話している............」


記憶はそこで途切れた。



「考えても仕方ない。まずは持ち物整理の続きだ」


今、あるものを並べてみる。

ギルドカード、謎の小瓶×3、水筒、メモ帳、硬貨が入っているのだろう小袋、そして、身長の半分以上はある、よくわからん金属でできた長剣、これが所持品の全てであった。


ふと、メモ帳が気になったので、広げてみた。

なんと、そこには、持ち物の購入、使用用途、売却、そして所持金についての約1ヶ月前からの記録が書かれているではないか!


「おおっ、記憶を失う前の俺、ナイスッ!」


ここから謎の小瓶についての中身が判明した。

どうやら、ポーションという体の治癒力を高めたり、水を浄化したりする薬品らしい。

ただ、メカニズムについてはわからなかった。

これは貴重だ。大事に使おう。


また、メモ帳には最も新しい記録では金10枚、銀14枚、銅3枚と書かれており、袋の中身ともちろん一致した。

お金の価値はよくわからないので、町とかについたら誰かに聞いてみよう。


長剣についてはミスリルでできているという情報しかない。

しかし、一目見ただけで、業物だと悟るのには無理なかった。


これ以上の情報は持ち物からは得られなかったため、切り替える。


よし、まずは飲み水から準備しよう。


こうして、異郷の地でのソロサバイバル生活が始まった。

瑞華名実です。

作家としての記念すべき初作品の第1話目です。

どれぐらいの人に読んでもらえるかわかりませんが、少しでも面白いなと思っていただけたら幸いです。

随時キャラ説明や世界説明を挟んでいく方針です。

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