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女騎士様は何故か全裸だと素早さが9999になるそうです。ありがとうございます!!

2020.4.12

上手く纏まらずボツ

 騎士……それはやたらゴッツい甲冑やら顔の見えないフルフェイスやらを着けた厳つい見た目の戦士である。




「と、言う訳であんなダッサい鎧ノ袖なんか着たくないから、私の防御力を9999にするのよ!」



 泉の女神は酷く後悔した。珍しく金貨を投げ込むリッチマンに釣られて顔を出した途端に初対面の女騎士に首根っこを掴まれ訳の分からぬ要求だ。金貨1枚で防御力をMAXに出来る程、この泉の女神に力は無い。有ったらもっと人が来ている。



「それはぁ……金貨2000枚くらい無いとちょっと……」


「何よ! 私から金を毟り取る気なの!?」



 女騎士はギリギリと女神の襟を絞めた。『ギブギブギブ……!!』と女神が女騎士の手を三回叩く。


「プハァ! ぼ、防御力をMAXにすると貴女の体は世界一硬くなって身動きも出来ませんよ……?」


「…………マ?」


「ま、マジですが……」



 チッ、と舌打ちをする女騎士。腕を組み片足でタンタンと地面を踏む。すると暫し悩み抜いた後に何か閃いた様に眉を上げた。



「そうだ! それなら素早さをMAXにしなさい! それなら普通のままでしょ!?」


「いやぁ……それなら大丈夫ですけど……金貨は…………」


「出せて50枚! それ以上はビタ一文まけまへんでぇ!?」


「…………」


 金貨が入った小袋を女神に差し出す女騎士。女神がそれを数えると金貨は49枚しか入っていなかった。先程投げた金貨と合わせ本当に50枚しか無かった……。



「……分かりました」


 女神は女騎士の頭に手を乗せ静かに眼を閉じる。すると淡い光が女騎士を優しく包み込み、謎の力が女騎士に流れ込み始めた!


「おおっ! なんか強くなった感じがする!」


「終わりました。これで貴女の素早さは9999です……」


 女神は手を離すと、そそくさと泉の中へと戻っていく。


「やった! これでクソダサ甲冑ともおさらばよ!!」


 女騎士は喜びのあまり踊りだし、軽快なダンスでリズムを刻みだした。






「ただし、裸の時だけ……ですけど」




 その言葉に女騎士の踊りがピタリと止まる。


「…………はぁ?」


  ──ブクブクブク……


 そして女神は無言で泉の中へと消えてしまった。





「はぁぁぁぁ!?」


 女騎士は走り出した。しかしいつもと変わらぬ速度しか出ない。


「……マジ?」


 女騎士は恐る恐るブーツを脱いだ。しかし足の速さはいつもと同じだった。


「……騙された?」


 女騎士は辺りを見渡し誰も居ない事を確認し、上着を脱ぐ。柔肌を曝け出し上半身はブラのみ。下はパンツを下ろしスカートのみとなった。しかし足の速さはいつもと同じだった……。


「マジかぁ…………」


 女騎士は屈み膝を抱えた。清い水を静かに湛える泉の水面に女騎士の顔が映り込む。白い雲が流れ、女騎士はニヤリと笑った。




「素早さ9999で全裸になれるなんて最高じゃん!?」



  ──バッ!


 女騎士はブラとスカートを空に向かって投げ捨てた!


 走り出す一歩目を踏み出した女騎士。音を置き去りに泉の水面が激しい衝撃波で揺れ動く!


「何これ!? クソ早っ!!」


 自身の感覚では二三歩歩く感覚の筈が、実際は数十メートル先まで走っていた女騎士。しばしの遅れて女騎士が走る足音が聞こえ続けた。



「うほほー! 凄い凄い!!」


 光速で辺りを走り回り、衝撃波で草木が次々と飛び散っていく。


「おっと、もう少しゆっくり走らないと……」


 女騎士なりに速度を落とすが、すれ違った老人は女騎士を観測することが出来ず、カマイタチに遇ったかの如く首を傾げるだけだった。



 女騎士は屋敷へと戻り、先ずは使用人に声を掛けた。


「エリー?」


 使用人のエリーがモップで床掃除をしている後ろから女騎士が声を掛けた。


「……?」


 エリーが声のした方を振り向くが、そこには誰も居ない。


「コッチよ」


 女騎士は素早くエリーの前へと回り込み、再び声を掛けた。


「……?」


 首を前に戻すが、やはり女騎士の姿は何処も無い。


「コッチコッチ」


「今確かにお嬢様の声が…………」


 前と後ろを交互に見るも、女騎士は素早く使用人の周りをグルグルと周り観測させまいとしている。



「あー面白い♪」


 女騎士は次にキッチンへと向かった。キッチンでは料理人のハマーが夕食の仕込みに取り掛かっていた。


「お疲れハマー。今日の夜は何かしら?」


 女騎士は速度を緩め、ワザと止まってハマーへと話し掛けた。


「あ、お嬢さ―――って何て格好をして―――って消えたぁぁ!!」


 一瞬だけ姿を見せ、ハマーが驚いている隙に光速で動き出す女騎士。光のように瞬く間に消えた女騎士にハマーは慌てふためき驚きを隠せずにオロオロと戸惑った。


「い、今、は、ははは、裸のお嬢様が……居たような……!?」



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