まず上皿天秤を用意します。片方にお乳を乗せます。もう片方にもお乳を乗せます。
2020.2
続きがR指定になりそうなのでボツ
──ム゛ニ゛ィ……!!
それは奇妙な衝突音を発し、彼は最初何が起きたのか理解出来なかった。
「……?」
女の子は顔を赤らめ、胸を腕で隠し「何するのよ!?」と声を大にした。その仕草を見て彼はようやく自分の手が彼女の胸に当たってしまった事を知る。
「ご、ごめん……」
慌てて走り去る彼女の背中に半分上の空で謝るも彼女からの返事は無く、彼の頭の中は奇妙な感触の事でいっぱいになった。
──タッ タッ ……
「遅かったね。お弁当箱は見付かった?…………って変な顔してるけど大丈夫?」
校舎の前で待っていてくれた幼馴染みは彼の呆けた顔を見て少し心配になった。上の空を通り越して銀河系を突き抜け程に無な表情をしており、その上忘れたお弁当箱を取りに行った筈なのに手には何も持って居ないのである……。
「また一つ宇宙の謎が解けてしまった……」
「……え?」
「『宇宙の果てはあるのか無いのか』の二択に未だ答えられない人類。しかし俺はついにその答えに辿り着いたのだ……」
(……何かあったのかな?)
徐々に地球に戻りつつある彼の意識と表情筋。そして彼はその一つの答えを口にした。
「お乳は柔らかかった…………by照彦」
(何かしら? 忘れ物を取りに行った短時間で人生を踏み外す様な事があったのかしら?……て、言うかコイツ誰かの胸触ったの!? 触りやがったな!? 私の許可無く触っちゃった!? 思い切り踏み外したんだなオイ!?)
冷静を装い、内心穏やかではなくとも幼馴染み故にそこは余裕を見せなくてはいけない。彼女は深呼吸と共に心の奥底から沸いてきた謎の感情を放出させ、暫し笑顔を見せた。
「どうしたの? 何があったの?」
笑顔の裏に潜む殺人鬼的な圧力を彼は知るよしも無い。
「お乳とぶつかった。あれは正しくビッグバンだ……宇宙は膨張している……いや、お乳は広がっている……」
(ダメだコイツ! 頭の中が染まってやがる!! 早く何とかしないと……!!)
幼少から思いのままに操れた彼が、今自分の理解し難い場所へと飛び立とうとしている。彼女はとても焦った。何故ならば、母親譲りの荒々しい性格が災いして彼女に近寄る男が一切居ないのである……。
「照彦くんはボーッとしてるから、甲斐甲斐しく御世話してあげれば結婚できるわよ?」
その母の言葉通り時折お弁当を作ってあげたり、登下校も一緒に居たり正に彼女的な存在感で接してきたにも拘わらず、彼は彼女の知らないところで何やら悟りの境地へと逝ってしまったのだ…………。
「私の……触ってみる?」
それは強気で勝ち気な彼女から発せられた言葉とは思えないほどに可愛げを感じ取れた。それ程に彼の変貌振りに焦りを感じていたのだ。
──チラッ
「そのお乳では真理に辿り着けない……」
──ピキッ!
心の防波堤にヒビが入った音が聞こえる。無いわけではないが有るわけでもない。そんな彼女の胸を拒んだ彼は再び宇宙の果てへと思考を飛ばしてしまった……。
「ちょっと家に寄ってかない?」
「…………うん……?」




