言葉の壁
2019.11
方言の強い田舎娘とのイチャコラを書こうとしてボツ。
良く分からない国道を進むこと三時間。辿り着いたのは周りに民家と田んぼしか無い田舎。その田んぼですら手入れがされておらず雑草が伸びきっていた。
「この辺も年寄りばかりで止める人が増えたんだな……」
父は少し悲しそうに田んぼを指差した。
「俺が小さいときにあの田んぼにハマってな、親父が気が付かなくて危うく稲と一緒に埋められるところだったよ(笑)」
ハハハと笑いながら振り向く親父。視線の先には古民家が一つ。
もう済む人が居ないこの家は、親父の親父……つまり俺の祖父の実家だ。不便な場所にあり売るにも売れず、固定資産税だけは取られるので相続放棄するために俺達が片づけにきた訳だ。
家の中は殺風景で、必要最小限の家具や家電しか置いてなかった。お決まりの柱の傷や焦げた畳。俺は田舎臭いこの家に少々嫌悪感を感じた。今では記憶から抜け落ちた祖父が住んでいたとは言え、所詮他人の家。その片づけを何故手伝わなくてはならないのか…………
「なんだ親父死ぬ前にある程度家具処分してたのか……」
少し寂しそうな顔をする親父。親父にとっては幼少を過ごした家とは言え、哀愁を漂わせてももう思い出は思い出のままなのに……。俺は居間の角の凹んだ畳を踏みため息をついた。
──ブロロロ……
家の前に軽トラが一台停まった。中からぽっちゃりした若い女性が降りてくる。
「お久じぶりでず! 東のヨネの孫ですー」
「おおっ! 久子ちゃんか! 大きくなったなぁ!前に会ったときはこんな小さかったのになぁ♪」
「ごれ、お母ざんがらオジサンにっで。づげものこさえたんだげんちょも、おぐぢにあうがどがわがんねべって」
ビニール袋の中には何やらずっしりと入っている。俺は遠目でそれを見た。
「おお、悪いね。あ、亮! お前は初対面だったな! 俺の親父の妹さんの娘の娘で久子ちゃんだぞ!」
「ど、どうも初めまして……亮と申します」
「は、はずめますて……! 喋りがだが都会人だない……オラ緊張すっぺ……」
モジモジとはにかみながら照れる久子……ちゃんとやら。
「ガスも水道も止めだがらご飯と飲み物ももっでぎますた♪」
軽トラの中からビニール袋に詰まったパンやらジュースが現れる。親父はお礼を言いながらそれを受け取ると俺に手渡した。当の俺は『水が出ない』の言葉にトイレの不安を感じていた。まさか……
「水が出ないならトイレが使えないな。亮、したくなったらその辺の茂みでしろよ♪」
「えっ……ええぇ?」




