夏と君の終わり
2019.7
夏の匂い企画用作品
「私を助けるた為に私を殺して下さい……」
そんな突飛も無い願い事を聞くために駅のホームへ迎えに行ったわけじゃ無い……
憧れの彼女の為に今まで努力してきた俺の苦労は、たった今役目を終える…………
―――カタン
朝の下駄箱から落ちた便箋を無心で拾い上げ、一先ず鞄へこっそり差し込む。ドキドキした気持ちを落ち着かせ、トイレの便座でゆっくりと封を開けた。
『放課後 自宅へお伺い致します。中村由美』
その一文だけ書かれた手紙は、コレの心を浮つかせあらゆる妄想へと書き立てた。しかも長年想いを寄せていた中村由美ちゃんからの手紙!!
俺は教室へぎこちないロボットのような動きで席へと着いた。斜め前の由美ちゃんは今日も可愛い。
そして放課後! 俺は由美ちゃんに目配せをして家へと足早に帰宅した!
「かーちゃん! 今日はどっか行ってて!」
「え!? え!? えーっ!?」
母親を無理矢理家から追い出し、部屋の片づけを1年ぶりにした。掃除機を掛けてコロコロを掛けてアロマを焚いてベッドの隙間には近藤局長を仕込んで置いた。
――ピンポーン!
――ダダダダダッ! ガチャ!
急いで玄関の扉を開けた! するとそこには見知らぬ女性が片手をあげて立っていた。
「やあ。お邪魔するね」
「……えっ? あ、あの……どちら様で?」
俺はズカズカと上がり込む女性の肩を掴んで呼び止めた。
「掃除機、コロコロ、アロマ、そしてスキン……」
「えっ!?」
俺が準備していた事を言われズキンと頭が痛む。何なんだこの人は……!!
「どうも、未来を知る女。中村由美です」
「……へ?」
その女性、中村由美と名乗る女は三年後の未来からやって来たと語りだし、中村由美と言う女性は若くして難病にかかり死んでしまうらしい。それを阻止するために死ぬ間際に離脱した魂がタイムワープして三年後の彼女の元へとやって来たのだ。
「……本当なんですか?」
「うんと、一度今より過去に戻って、私の縦笛を舐めたのも見てたよ」
俺は開いた口が塞がらず、自分の顔が見る見る赤くなっていくのが分かった。




