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魔術師なのはヒミツで薬師になりました  作者: すみ 小桜
第十四章 パンドラの箱

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第七十六話

 追われる身。それは思いもしない事だった。

 「それと彼女は私の国の者ではなく、サラスチニ国の者です。まあ、同じようなものですがね……」

 「同じようなものですか……」

 ミュアンは頷いた。

 「これからどうして私が追われる身になったのかお話しします。そして、エイブとティモシーに手伝ってもらいたい事もお話しします」

 またミュアンは、真面目な顔になった。皆が注目する中、彼女は静かに口を開いた――。




 チミキナスナ国とサラスチニ国は、鎖国しても結界内だった為行き来が出来た。二国は、ある取り決めをしていた。それは、魔術師の血を絶やさぬ様に両国の魔術が優秀な者を嫁がせる事だった。こうして、二国は魔術師を絶やさぬようにしたのである。

 それは、十八年前まで続けられた。チミキナスナ国は、長い年月の間にラミアズア国と言う国名に変わっていた。

 十八年前、コーデリアはラミアズア国の王子と婚約が決まっていた。彼女は婚約時からラミアズア国の城内を訪れていた。勿論、ミュアンとも面識があった。

 そして、ラミアズア国からはヘルムートという男性だった。サラスチニ国は、その時代に王女しかいなかった。彼もまたサラスチニ国の城内を訪れていた。

 両国の関係は良好に見えた。だが思わぬ事が起きた! コーデリアとヘルムートが恋仲になったのだ! 激怒したサラスチニ国王は、二人を殺そうとする。慌てて二人は逃げ出した。

 しかしこれは口封じだった。サラスチニ国は、コーデリアに魔法陣の情報を収集するように命令していた。それをラミアズア国が気づいた。サラスチニ国は、証拠隠滅の為に先手を打ったのである。

 危機を察知したラミアズア国王は、ミュアンにある事を託した。彼女はこっそりと国を抜け出し二人を追った。

 ミュアンは運よく二人と接触する事が出来た。そして二人に協力を煽った。それは、あの『魔力』の封印の解除だった。三人でトライアングルを使って魔法陣を展開すると同時に、マジックアイテムを使い、封印を解除した魔力を散布するつもりだった。

 昔やった事を行い、今度は自分達を含め魔力を練れなくし、完全に魔術師をいなくしようと考えていた。そうしなければ、サラスチニ国による世界独裁が始まる。

 サラスチニ国は、封印した魔力の研究を密かに行っていた。ラミアズア国は、それを察知して探りを入れていた所、コーデリアがスパイ行為をしている事に気が付いたのだ。コーデリアがスパイだと気づいた事にサラスチニ国に気が付かれ、もう両国の関係は保てない。そうラミアズア国王は判断したのだ。だからこれしかなかった。

 だがコーデリアは、協力出来ないと言った。コーデリアが反対するとヘルムートも反対するのだった。そうこうしているうちに、追手が来てミュアン達はちりじりになった。

 途方に暮れたミュアンはエクランド国に流れ着いた。ミュアンも薬師の心得があった。今や一番多い職業だった。ミュアンは、薬師の試験を受け薬師になりエクランド国で密かに暮らしていた。

 だが自国の滅亡が耳に届いた。自分だけ生き残り、託された事も出来ないままだ。ミュアンは、自害しようと思い立つが、それを止めたのがオズマンドだった。そして二人が恋仲になるのには時間はかからなかった。

 ある日、オズマンドに求婚を申し込まれた。ミュアンは悩んだ。自分の生い立ちを話せば巻き込む。いや話さずともいるだけで巻き込むかもしれない。ミュアンは決心する。全てを話し、それでも一緒になってくれるというのなら彼と添い遂げようと。

 オズマンドは、ミュアンの話を聞いても結婚したいと言ってくれた。しかもひっそり暮らしたいという願いを叶える為、村に引っ越してくれたのだった。その後ティモシーが生まれる。二人は、ティモシーを魔術師ではなく普通の人間として育てる事にする。オズマンドはミュアンが魔術師だという事は知らない事にして、ティモシーに体術を教え、ミュアンは薬師にする為に教えた。

 ティモシーがどちらを選んでもいいように、二人は熱心に教える。彼が選んだのは薬師だった。しかし一つだけ問題があった。一年程紹介された企業か、決まっているならそこに務めなければならないかった。ミュアンは医者だが助手として雇うのは難しかった。そこで、王宮専属薬師にする事を思い立つ。それなら王宮務めになる。オズマンドの知り合いに預ける事もでき、身の安全が保障される。そう思って王宮専属を受けさせたのだ。

 だが甘かった。様子を見に行った日に、精神体でこっそり覗きに行けば、エイブといる所を目撃する。しかも魔術師が王宮内にいると言うのだ。思いもしなかった事だった。何とかティモシーを説得しようとするも既にレオナールにバレていた。しかも彼はミュアンの目の前でトライアングルを使ったのだ。自分達しか知らない結界を……。そして、チミキナスナという単語も口にした。

 焦るなという方が無理だった。オズマンドと話し合う為、一旦レオナールに預ける事にして村に戻った。ところが手紙が届く。どう考えてもレオナールが書かせたモノだった。

 ミュアンはティモシーを連れ戻しに向かう。その間にオズマンドは馬車の手配をする。そして行けばそこにヴィルターヌ帝国の皇女までいた。しかもティモシーは刻印を刻まれていた。

 もうただ逃げるだけではダメだと悟る。ミュアンは託された事を決行する事を思い立つ。そこにエイブが接触してきた。魔術師は三人必要なので彼に協力してもらう事にする。ただ少し問題があった。彼は魔力を練れなくされていた。だがこれには何とかするあてがあった。魔力を一旦全部抜いてしまう事。

 もし自分の考えが正しければ、彼は魔力が練れなくなる魔力を取り入れたのだろうという事だ。でもこれは最悪の事態になっている事が考えられた。水に魔力を溶かす方法が開発されたという事だ。

 ミュアンとティモシーと一緒に王宮を出ると、思わる出来事に遭遇する。ハルフォード国の王子、ハミッシュから命を狙われる! しかも聞き覚えのあるコーデリアの名が出て来た。

 彼女は生きていた! しかも自分達を殺そうとしているとわかった。敵は二カ国になってしまった。保険が必要になった。そこでヴィルターヌ帝国に結界を張る事にする。表向きは、精神体が行き来出来ない結界だが、その結界にはもう一つ役割があった。魔力が練れなくなる魔力から守る結界だ。

 もし万が一、ミュアンの作戦が成功しても、もしかしたらどちらかが結界を張っているかもしれない。いや二国ともという可能性もある。そうなると失敗に終わったのと同じだ。その為の保険でだった。

 そして、色々準備が整った時、戦争の噂が耳に入る。そしてほどなくしてティモシーが組織に捕まったとエイブから連絡が入った。そして、レオナールも捕らわれたと。

 こうしてミュアンは、ティモシー達を迎えにむかったのだった――。

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