【おまけ3】高貴なる乙女の集い
拙作にお立ち寄りいただきまして、ありがとうございますm(_ _)m
お嬢様たちは、皆 似たような喋り方をするので、書き分けが難しいですね……(>_<)
(私はナゼ……こんなところに いるんだろう?)
私の視界の中には 公爵令嬢を筆頭として、錚々たるメンバーが 揃い踏みである。ナゼ コンナコトニ……?
ことの起こりは約30分前。突然 お馴染みの取り巻きと共に現れたラシエル嬢に、なんだか覚えのある強引さでティタリア共々 拉致…じゃなくて“ご招待”され、清々しい微笑みで「僕が 淑女の園に紛れ込むわけにはいかないからね」と手を振るウォルセンに売られた気分でドナドナされて、豊饒祭の時と今回で2度目となる お貴族様用の女子寮へとお邪魔することと相成った。ちなみに、この前 迷い込んだのは男子寮の周辺である。
お風呂でお世話してくれたお嬢様たちに 軽く髪や制服のちょっとした乱れを整えられてから連れ出されて目にしたのは、手入れの行き届いた庭木も美しい 女子寮の庭先に用意された 十数人規模のお茶会の会場と、見るからにお嬢様然とした 参加者たちだった。
「お待たせ致しました。ご紹介いたしますわね。こちらの子兎さんのように可愛らしいのが ティタリアさんで、こちらの子猫さんのように愛くるしいのが アーシャさんよ。皆さま 仲良くして差し上げてね」
「まぁ、カリスタレイア様ったら。うふふ、子兎さん、子猫さん、よろしくね」
「ふふっ。貴女が“癒しの妖精”さんね、わたくしとも仲良くしてくださいな」
豊饒祭の仮装以降、なぜか私たちを小動物扱いするのがマイブームらしいラシエル嬢の紹介に、その場が控えめながらも華やかな笑い声に満たされる。流石、超の付くお嬢様方。笑い方ひとつ取っても お上品である……じゃなくて。
「あの、カリス…タレイア様? どうして……」
「お姉様」
「ふえ?」
「“カリスお姉様”でも良いですわ」
あれ? こんなやり取り 前にもどこかで……なんて思いながら、たぶん この方も辞退したところで聞いてはくれなさそうなので 素直に従う。
「カリスお姉様……」
「はぁい、アーシャさん。あ、ティタリアさんも 是非そうお呼びになってね」
「は……はい、おねえさま……」
ティタリアの消え入るような“おねえさま”にも、ご令嬢方は楽しげに笑い合う。そして、各々軽い自己紹介を済ませ、ベテランっぽい侍女さんたちによって 席に着いた私とティタリアにも香り高いお紅茶が供される。嫌な雰囲気ではないけど、一体なんなのだろう? この集いは。
「ほほほ。ごめんなさいね、アーシャさん。ご説明致しますわ。貴女は先日、わたくしのお友だちを助けてくださったそうね?」
「ん……?」
ティーカップを持つ姿も優雅なラシエル嬢……お姉様のようなご令嬢を助けた事などあっただろうか? 思い当たる節が無く、つい頭を こてんと傾げてしまった。
「くすっ。覚えていらっしゃらない? お肌に優しい化粧水の……」
「あ! ……あれは 助けたって程じゃ……」
かつての自分と似たような悩みの対処法を知っていたので教えたら、たまたま上手くいっただけである。ちょっぴり、良いことしたかな~? とは思っても、お嬢様を“助けた”なんて大層なことでは無かったハズだ。
「それがね、わたくしたちのような身分の娘にとっては、何より大切な事なのですわ」
「ええ、カリス様の仰る通り。わたくしたちは 家の為にも、自らの為にも、限られたお相手の中から より良いお相手に見初めていただかなければなりませんの」
「ですから、年頃の貴族の娘にとって“美しさ”とは最大の武器であり、決して 欠けさせたり 曇らせてはいけないものなのです」
「もちろん、教養や心根も大切ですわよ」
優雅にお茶やお菓子をいただきながらも、真剣な面持ちで語っていた年長のお嬢様たちが(美味しそう 私もいただこう)、最後のご令嬢の茶々で「まぁっ」と、またコロコロ笑う。なるほど、なんとなく分かってきた。
「化粧水が……必要?」
「ほほほ。お話が早くて助かるわ。本日こちらに集まっておいでなのは、なかなか肌に合うお化粧品が見つからない子たちなの。アーシャさん、相談に乗って差し上げてくださらない?」
レモンではなく桃のような風味のする一口サイズのマドレーヌっぽいお菓子を、よく味わってから 名残惜しい気持ちで お紅茶とともに胃袋へ送り出し、心なしか蕩ける笑顔のお姉様に伺えば、やはり お肌についての相談だったらしい。
「専門家じゃないから……」
と 言ったところで すごく残念そうな溜め息があちこちから聞こえて、慌てて付け足す。
「絶対とは言えない。それでもよかったら、お話 聞きます」
今度は嬉しげな溜め息である。お嬢様たちの溜め息の使い分けテクニックってなんか凄い。良いように転がされている気分だ。
「ありがとう、アーシャさん。その代わりと言ってはなんですけれど……心無い噂話や、どなたかに意地悪をされたら、わたくし達が相談に乗りますわ。遠慮せずに仰ってね」
「ティタリアさんもですわよ。ふふっ、恋の相談でもよろしくてよ」
「あ、ありがとうございます、おねえさま方……」
「ありがとうございます。 ……あの、子猫とか妖精呼びは止めていただけると……」
そして また。その場は華やかな笑い声に包まれた。
……結局、「可愛らしいですわよ」とか「お似合いですわ」って のらりくらりと躱されて、私にはいささか“可愛すぎる”呼び方は止めてもらえなかった。
ハイ、超お嬢様たちの集いでした。
何人かは社交界にデビュタントを済ませていて、微笑みと言葉を武器に戦っているので 主人公が敵う筈がありません。
「おほほ」や「うふふ」な笑いと「まぁ」の飛び交う、淑やかにして華やかなるお茶会。……描けていたら良いな( ̄▽ ̄;) 今回は主催者によるサプライズご招待(?)でしたが、本来ならば気取った文言の連ねられた招待状(作者には書けません)をいただかなくては参加できません。
主人公は ラシエル嬢の取り成しによって 後ろ楯のような繋がりをGETです。「お姉様」呼びは、仲良くしている目上のご令嬢などの呼び方として珍しくはありませんが……主人公は早くもラシエル嬢から ほんのり妹(予定)扱いをされています。
なお、今回は主催者として気を張っているので ラシエル嬢のいじられキャラは発揮されませんでした。




