ステップ12
~~3日後~~
「おっさん準備はいいか?」
「あぁ、問題ねぇぞ」
準備は整った。
時間的にも隠し通せるギリギリの時間だ。
「よし行くぞ」
3時間掛けて俺とおっさんは5階層まで降りてきていた。
極力戦闘も避けて体力も温存させている。
だが、目的の場所が近くなって問題が発生した。
それは、
「おい、どういう事だ俺たち以外にも冒険者の反応があるぞ」
そう、俺たち以外の生体反応を感知したのだ。
「・・・おかしい。 情報が漏れているはずはないいだが」
「だが元に反応はあるぞ」
「・・・」
そこで俺は思考を巡らせ原因を思い浮かべる。
が、俺は他の冒険者とはこの3日碌に接触もしていない。
おっさんに至っても、この3日はなるべく一人でいるようにして情報漏洩を避けていた。
だとしたら苺さんが情報を流したか・・・・あるいは万里さんから・・・
いや、あの二人に限ってそれはないだろう。
「どうする。 このままだと誰だか知らんが先を越されるぞ」
「・・・・・とりあえず、俺たちも目的に行こう。 相手が誰だが知らんが横取りには横取りで奪い返せばいい。 それができなきゃ、事故を装って迷宮の番人に消してもらうさ」
「おい、そりゃいくらなんでも・・・」
「とにかく行くぞおっさん」
俺はそいつらを見て内心舌打ちをしていた。
「あれ桃姫んとこのパーティーだよな」
そう、俺たちより先に宝部屋に挑んでいた人物それは桜たちであった。
そこで思い至る。
俺は冒険者と接触はしていない。
しかし、俺に対してストーカーはいた。
それが桜だ。
ことあるごとに俺に絡んできて話しかけてきていたのを覚えているし、おっさんと俺が話しているときにも近くにいた覚えがある。
あいつに聞かれたところでどうも出来ないだろうと思っていたが・・・・・やってくれたな。
「だけどダメだなこりゃ。 あいつら碌に装備も整えずにサイクロプスとやりあってるせいで、ダメージを与えられていない。 ほっといても撤退するなこりゃ」
「だといいがな」
「あ? 何かあるって言うのか」
「宝部屋の部屋のほう見てみろよ」
「な! あれは」
宝部屋の前にはサイクロプスよりも大きい赤黒い色をした巨人がいた。
「ギガンテス・・。 Aランクの上位種か」
「こないだここを見つけたときに、サイクロプスだけだったからおかしいと思ってたんだよ」
「てことはもしかして・・・」
「あぁ、おそらく階層跨ぎの本当の首魁はあいつだ。 そのせいで低階層なんかにサイクロプスがいたんだろう、進行が早すぎたのもそのせいだ」
「くっ! ならさっさと撤退させねぇと、あいつらだけじゃ到底・・・」
「そいつは無理だな。 見てみろよあいつらの緊急帰還装置が作動してないだろ・・・そこから察するに、特殊結界が張られてて装置が作動しないんだろう」
「な! それじゃぁあいつらは・・」
「あぁ、ギガンテスを倒すか全滅するまで部屋からは脱出できない」
あいつらにとって死刑宣告と同じだろうな。
「くっ、なら助けに入るぞ!」
「はぁ? 何言ってんだよおっさん様子見に決まってるだろうが」
「お前な! 人の生死が掛かってるときに何言ってんだよ!」
「人の情報を勝手に盗んだんだ当然の報いだろ? それに、おっさんが行ったところでどうにもならないし、おっさんも脱出できなくなるぞ」
「だとしてもだ! 俺は誰かを見捨てることはできねぇ! お前とは違うんだよ!」
おっさんは宝部屋に飛びこんでいってしまった。
哀れなり。
「俺とは違う・・・・そんなの当たり前だろ? 俺は俺さ」
やれやれ、予定はくるったが俺は高みの見物で見守りますかね。
本当はここからバーストでサイクロプスを仕留めて、ギガンテスにおっさんを突っ込ませて2対1にすれば勝機はあるんだが、
「教える必要はないからな」
ってかそれぐらい気づけよおっさん。
あれからそれなりに時間がたったが、しぶとくみなさん生きてられますよ・・。
まぁ、おっさんが頑張ってるし、桜が回復魔法で地味に援護してるからな。 他のやつらはゴミだけど。
あと、ギガンテスが戦闘に加わってこないのもあるな。
「流石にめんどくなって来たな・・。 仕方ない、サイクロプスだけ始末してやるか」
俺は二双銃をタイプ3に変更し、弾薬を炸裂弾にする。
魔力を過剰に送り込み二双銃の力を溜めていく。
そして、
「どけ、おっさん! バーストレールガン!」
眩い閃光と共に放たれた電撃の弾丸が一直線にサイクロプスを襲う。
ドゴーーーーン!!!
凄まじい炸裂音と共に爆発がおきてサイクロプスを跡形もなく消し飛ばした。
「おぉ、やるじゃねぇか助かったぞ」
馬鹿が。 誰にものを言ってるんだか。 それにまだ戦いは終わってないぞ。
サイクロプスがやられたことで、後ろで扉を守っていたギガンテスがゆっくりと動き出した。
ゴミどもは再び訪れた恐怖に腰を抜かしている。
ちっ! 仕方ねぇな。
俺は二双銃を構え部屋へと飛び込む。
そして、
「おい、こいつでさっさと地上に帰れ。 そこにいると邪魔だ」
こういうケースを想定して要しておいた、万里さん作の緊急帰還ポータルを桜に投げ渡す。
「そいつは特殊結界の中でも使えるポータルだ、それ一つでお前ら5人なら地上に帰れる・・・おっさん!」
「おうよ、任せろ!」
おっさんはギガンテスに向かって突っ込む。
俺はタイプ3で遠距離から攻撃を図る。
タン!
ギガンテスの皮膚に浅い傷をつける。
反撃とばかりに丸のような腕からパンチが飛んでくる。
「おっと、プロテクションシールド!」
おっさんが両手のタワーシールドで攻撃を防ぐ。
そしてその瞬間、
「ヒール!」
後方からおっさんに回復魔法が飛ぶ。
見ると、杖を構えた桜がいた。
他のゴミの姿はない。 桜を置いて逃げたか・・・ゴミめ。
「おっさん! 後10分踏ん張れ! そしたらもう一発レールガンで仕留める」
「おうよ!」
「桜!」
「は、はい」
「おっさんに回復魔法を掛け続けろ! 絶対におっさんの前には出るなよ」
「う、うん」
こうなりゃ使えるもんは使ってやるぜ・・。
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
「よし、最充填完了! 最大パワーでぶっ放すぞ!」
「おう、やっちまえ!」
「行けぇー!」
「おぉおー! 喰らい尽くせ! フルバーストレールガン!!!」
「で、どうだったよ報酬のほうは」
「散々だな。 宝部屋の中身はからだし、ギガンテスの素材はなしだし、赤字もいいとこだ」
「かーーーー。 まさか宝部屋がカラッポだとは誰にも予想できないだろ」
「でも、冒険は楽しかったですよ?」
「楽しくても。 割が悪ければ意味なんてないんだよ。 俺たちは冒険者だぞ・・・ってか何でお前がいるんだよ桜」
「え? そりゃ前のパーティーには見捨てられちゃったから、蓮君とこのパーティーに入れてもらおうと思ってだけど?」
「嫌だ。 ってか俺はソロだ。 誰ともパーティーは組んでない」
「でもこの人とは・・・」
「おっさんとは臨時だ。 これが終わればおっさんとも・・・」
「ようし、そう言うことなら俺たちでパーティー組んじまうか」
「賛成!」
「はぁ? 何馬鹿なこと言ってんだよ」
「いいじゃねぇかよどうせ俺たちみんなソロなんだしよ。 それに、あん時の連携は中々だったし、盾に、回復に、攻撃だろ完璧じゃねけかよ」
そういう問題じゃないんだよ。
俺は俺でいろいろと・・・。
「ようーし、そうと決まればさっそくパーティー申請に行くぞ!」
「おぉー!」
「ちょ、待てよ! 俺を引きずっていくな! 俺は認めないぞパーティーなんか!」
「「はいはい」」
はぁ~ったく、俺は一人でいたいっていうのに・・・。
こいつらはそれを許してくれないらしい・・。
だけど、それも悪くないのかもしれないな、もう一度信じてみるのも・・。
「「早くしろ(して)」」
やれやれ忙しいパーティーになるなこりゃ。




