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Emociones en Colored  作者: あざらシ


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1/5

喜びの色

次回は明日の20時〜更新予定


  あるところに薄汚れた少年がいた。見た目こそ汚いが、心はとても綺麗で優しい性格、食べ物を皆に分け与え困っている人を必ず助ける、まるでヒーローのような存在だ。そんな少年の名はアリスター、通称アリスと街の皆は呼んでいた。ある日、アリスが街を歩いていたら一人の少女に出会った。その子もアリスと同じぐらい薄汚れた見た目をしており、酷く痩せこけていた。所々に殴られたような傷がありボロボロだった。アリスはそんな少女が可哀想だと思い自分の食べ物を分けてあげることにした。

 

 「きみ、だいじょうぶ?そーだ!ぼくのパンをわけてあげる!だから早く元気になってね」

 「 ……!」

 

 だが、少女はアリスの行為を受け取ろうとしなかった。そして、勢いよく起き上がり、アリスに向かって怒鳴りつけた。

 

 「そんな薄っぺらい優しさなんていらない!いいか、よく覚えておけ。お前の行動は時に人を怒らす……無闇矢鱈に同情の目を向けるな!不愉快だ!」


 少女はそういいながらボロボロの体を引きずって去って行ってしまった。

アリスはそんな少女の背中を見送りふと、さっきの言葉に対して疑問を抱く。今まで感謝の言葉しか言われてこなかったアリス。みんな笑顔で応えてくれていたからあんなに怒りの目を向けられたのは初めてだった。そして少女の言っていたこともアリスには理解できなかった。

 

 「みんな笑顔になってほしいって思っていつも通りしていたのに、ぼくの行動は間違っているのかなぁ?」

 

 そんなアリスの呟きに答えてくれる人はこの場には誰もいなかった。それから彼女を見かけるたびにアリスは薬草や食べ物を持っていったが、結局どれも断られ、次第に少女の姿を見かけなくなった。街の人たちの手伝いをしながら少女を探していたアリスだったが、いくら探しても見つからない少女に焦り出す。そこでようやく初めて自分に初めて怒ってくれた少女が好きだったのだと、そんな少女にもう会えないのだと気がつき、その日から少女を探すことをやめた。そしてアリスは少女を忘れるように毎日色んな人の手伝いをして過ごしたのだった。


 月日は流れ、アリスは大人の仲間入りを果たした頃、とある騎士団試験という張り紙を見つけた。騎士団とは剣技が強く、街の治安を守る。まさしくアリスにとって夢のような組織だった。騎士団には誰でも試験を受けられるが、合格者はほんの数人だけ、しかも王様が自ら指名するのだ。そんな最難関と言われる騎士になれば、きっともっと多くの人を救えるとアリスは思い騎士団に加入することを決意した。剣を使ったこともなければ見たこともないそんなアリスが騎士団になると言い出し、知り合いは皆、半ば冗談混じりに無理だろうと思っていたが、実はアリスには生まれ持った才能があった。それは"瞬間記憶能力“と言われ、見たものを一瞬で覚えるという能力だ。アリスはその日から騎士団の練習風景を盗み見、みよう見真似で作った木刀を持ち、森の中で何度も何度も素振りをした。初めはやはり手慣れていなかったため、たくさん怪我をしていたが、次第に剣の振り方や力の入れ方のコツを掴んでいき、剣技までも身につけれるような力がついていった。訓練を続けて一年が経過したある日のこと、いつも通り素振りをしていると騎士団の一人に話しかけられた。

 

 「いい太刀筋をしているね、一つ手合わせ願おうかな?」

 

思ってもみなかった憧れの騎士との手合わせ、嬉しさを噛み締めながら驚いたように返事をした。

 

 「――!いいんですか!?ぜひ、よろしくお願いします!」

 

 今まで続けていた訓練の成果を発揮できるチャンスが来た。お互い配置につき構えの姿勢をとる。合図がなり一気に走り出し、竹刀同士がぶつかり合う音が響く。やはり、現役騎士というのもあって若干の力の差はあるものの何とかついてこれているアリスに相手は驚いた。結局決着はつかなかったが、騎士はアリスをすごく褒めていた。

 

 「ここまで、ついてこれるなんて思ってもみなかった。君、次の騎士団試験ぜひ受けてみないかい?私から推薦しておこう」

 「〜っ!ぜひお願いします!必ず受かって騎士になって見せます!」

 「はは!頼もしい。君と一緒に戦えるのを楽しみにしているよ!」

 

 思わぬ収穫に嬉しくなり、アリスは今まで以上に訓練に打ち込んだのであった。

 一ヶ月が経ち、いよいよ今日が騎士入団試験当日の日。今までの成果を見せるため覚悟を決めたアリスは城門に足を踏み入れる。試験会場に着くと百人以上いるであろう試験者が集まっていた。各々鎧に身を包み、真剣を持ち待機している様子を見てアリスは圧倒された。

 

 「これが、本物の騎士団……!すごい、オーラがみんな違う……。僕も、この試験に受かって立派な騎士に……!」

 

 そう感動していると、試験者の前に現れたとある女騎士が鋭い声で号令をかける。

 

 「敬礼!今から騎士団試験を行う、騎士団隊長エルダだ!貴様ら軟弱者にどこまでの実力があるか試させてもらう!いいな!」

 「「「はい!」」」

 

 その声を聞きいた途端、試験者全員が張り詰めたような空気に変わる。ただ、アリスだけは他と違い驚いた表情を浮かべていた。それは騎士団隊長が昔怒鳴られた少女にそっくりだったからだ……!アリスはずっと気になっていた。なぜ彼女は自分にあんなに怒っていたのか、今までどこで何をしていたのかと……この試験で合格した暁には彼女にもう一度聞こうとアリスは決意した。

 

 試験は順調に進んでいきアリスは最終試験まで残った。最初にいた百人は徐々に脱落者が増えていき、気づけばたった六人になってしまっていた……。

 最終試験は騎士隊長と直々に手合わせをすることだった。四人目、五人目が終わり、いよいよアリスの番が回ってきた。合図がなり、エルダが先手を打つ。受け止めた剣は重く、力強い音が鳴り響く。ここまではエルダの全勝で終わり、誰も彼女の剣技についてこれなかった。だが、アリスは違う。彼女の剣技の動きを瞬時に読み取り、カウンターを返し、対抗しようとするアリス。お互いの攻防は続き、そしてようやく決着がついた。なんと、アリスが彼女の剣を弾き飛ばした。全員が驚愕する中、最後まで観戦していた王様が二人に歩み寄っていき、アリスの目の前まで止まると話し始める。

 

 「良い目だ。何物にも捉われず、自身の正義の為に動き、その優しさで人々から好かれる。お主の剣は決して悪には墜ちぬだろう。だが、いつかその優しさが仇となるやもしれん。気をつけるがよい。試験者アリス!今日から我が騎士団の一員として励め」

 「――!は、はい!ありがとうございます!」

 

 こうしてアリスは念願の騎士団に加入することができた。

 試験が終わり、アリスは騎士団隊長の元に向かっていた。あの時、なぜ急にいなくなってしまったのか聞き出す為に。

 

 「あの!エルダ隊長……!お聞きしたいことが……」

 「なぜお前は、騎士になろうと思った」

 

 思いもしなかった問いかけにアリスは思わず固まってしまう。

 

 「えっと……僕は、皆を守りたくて……だから、騎士になろうと思いました!」

 「…………そうか、お前はあの頃と何も変わらないな!その善意が全て正しいと思うなよ……!今のままでは……いつか死ぬぞ」


 それだけを言うとエルダは去って行ってしまった。あの時と別れ方が同じになってしまった二人。エルダに言われたことは結局アリスには理解できず、また和解できなかったと嘆くのだが、騎士として皆を守るために気持ちを切り替え、これからの騎士生活に励むのだった。

 その後、騎士団としての仕事をこなしながら、第二騎士団の隊長を任されるようになったアリスはとある任務に勤しんでいた。

 

 「この辺りは元敵国の領地だった為、まだ安全が確認されていない。見回りを強化しよう。もし仮に敵兵だった場合は無理して一人で戦わずに、応援を呼ぶこと!それじゃあ、見回りよろしく」

 「「「はい!」」」

 

 号令をして、解散した第二騎士団。アリスも見回りをしようと歩き出した時、十六歳くらいの少女が目の前でうずくまりながら泣いていた。思わず少女の元に駆け寄ったアリスは、理由を聞くため優しく話しかける。

 

 「君、こんなところにいたら危ないよ?僕と一緒に保護テントまで行こう?」

 「……ごめんなさい」

 「どうして謝るの?」

 「……ごめんなさい」

 

 だが、いくらアリスが話しかけても少女はずっと謝り続けていた…………。


  アリスはどうにか少女を宥めようとしていると、突然後ろから敵軍が奇襲を仕掛けてきた。咄嗟のことで戦闘体制に入るのが遅れてしまったが、訓練のおかげか即座に剣をとることができた。間一髪で相手の攻撃を防ぐことはできたが、とにかく数が多くしかも、少女を庇いながら戦うのはアリス一人では厳しい状況だった。応援を呼ぼうにも連絡手段がなく、ついに追い詰められてしまったアリス。もう駄目かと思ったその時

 

 「「隊長!」」

 

と部隊の仲間が駆けつけてくれた。

 

 「皆!無事だったのか……!」

 「偵察していた者が敵の様子がおかしいと言っておりまして、もしかしたらと思い戻ってきた所存です。それで隊長、その子は……いえ、今は敵軍をどうするかですよね」

 「ああ、皆!この子を安全に保護テントまで連れて行くことを第一に考えよう!もちろん、自分の守れる範囲でだ!」

 「「はい!」」

 

 アリスの合図とともに仲間は一斉に走り出し、敵軍とぶつかり合う。剣の鋭い音があたりに響き渡り、怒号が、叫びが周りを包み込む。戦場となったこの場所はどちらかの命が尽きるまで続いた。激しい攻防が続く中状況が一気に変わった。突然少女が立ち上がりアリスの元まで駆け出して行く。そして――グサっという嫌な音と痛みが、アリスを包み込み気がつけば膝をついてしまっていた。

 

 「……ぐっ、どうして……?」

 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい――!」

 

 アリスを刺した少女は狂ったように泣き崩れてしまう。味方が全員困惑し油断していた所を敵が見逃すはずがなかった。味方が次々に斬りつけられ、命を落とす者達や恐怖で逃げ出してしまう者達、部隊は混乱を招き統率が取れなくなっていく。未だに謝り続けている少女とアリスの元に敵軍の隊長が歩み寄る。

 

 「ご苦労だった、これでお前たちの国に復讐する事ができる……!悪いな、第二部隊隊長のアリスター殿?お前ら第二部隊にはここで死んでもらう!」

 「……少女を囮に……殺しに使うなんて…卑怯にも程がある……!」

 「お前に何が分かる!友も、親も、暮らしも……全て奪われた我々の苦しみが‼……せめて一思いに逝かせてやる」


 アリスにトドメを刺そうとする敵軍の隊長。だが、アリスも最後の力を振り絞り相手に斬りかかる。そして、グサっという音が両者から聞こえ、お互いの剣が心臓に突き刺さり倒れる。意識が朦朧とする中アリスが見たものは自分に駆け寄る少女だった。敵軍も部隊もみんな居なくなってしまい、この場に立っているのはアリスを刺した敵国の少女のみ。アリスはゆっくりと顔を見上げて少女に微笑む。最後に

 

 「君が……無事で……よかった…………」

 

 と言い残しアリスは静かに眠りについたのだった……。


 ――――目を開ければそこは無限に広がる闇の中だった。周りには誰もおらず、僕だけがその場に存在していた。まるでお前は一人だとでもいうように…………。仕方なく立ち上がり、辺りを見回すと、微かに光小さな欠片。手に取るとそれは暖かく、懐かしさを覚える。

 ああこれは、僕の記憶の一部だ……そう確信するとその欠片は眩い光を放ち僕を包み込んだ。気がつけば広い草原に立っていた。そして目の前には幼い頃の自分と見知らぬ少年がいた。

 あの人は……?誰だっけ?覚えのない少年、知っているようで知らない、思い出せない自分に苛立ちを覚える。その時声が聞こえた。

 

『そう――――――張ってきた君に名前をつけてあげよう。名前がある方が―――より親しみ――――くなるしね――そ――――なぁ―――。……アリス――なんてど――――――』

 

 その声はとても穏やかで優しい、初めての喜びを感じた瞬間だった。ああ…………僕はあの人を知っている……!あの人は、僕に名前と生き方を教えてくれた!あの人は―――――――。


 次にアリスが目を覚ましたのは古びた家の中だった。見知らぬ景色に驚いて飛び起き、辺りを見渡してから自分の怪我を見ると、丁寧に治療されていた。自分はもう助からない、そう思っていたのに何故か生きている。そのことにしばらく困惑していると、ガチャりと音がなり、現れたのはあの時アリスを刺した少女だった。

 

 「――!目が覚めたのね!どこか痛いところはない?ある程度処置はしたのだけれど、完全ではないから…… ……」

 「大丈夫だよ。どこも痛くないし、さっきまでの痛みがまるで嘘みたいだ、君が助けてくれたのかい?ありがとう。僕の命を救ってくれて、でもどうやったんだい?僕はあの時死にかけで、もう助からないと思ったのに…… ……」

 「……あ、う、その……ごめんなさい。あの時、心臓を刺された貴方を救うことは出来なかった。だから、不老不死の薬を使って貴方の命を繋いだの。でも薬事態完全なものじゃないから肉体を機械に変えて、心臓を付け替えるしか方法がなかった――!貴方を人間のまま救えなかった…………ごめんなさい」

 「それって、つまり僕は今機械人間に近い、そう言いたいんだね?でも、そこまでして僕を救う理由ってなんだい?」

 「…………貴方は覚えてないのかもしれない。でも、私はあの時確かに貴方に一目惚れをした。ずっと貴方を思い続けていた、それだけで十分貴方を救う理由になるわ。知ってる?恋はね、人生を狂わせる呪いなのよ?私はずっと貴方を愛していたわ…………」


 頬を赤らめ、しっかりとした瞳でこちらを見つめながら、楽しそうに語る少女。突然の告白にアリスは思わず戸惑ってしまうが、必死に好意を伝えてくる彼女を無下にはできなかった。何より、この少女に見覚えすらあるアリスは今の最大限の言葉を少女に伝えた。

 

 「…………その、助けてくれたことに関しては本当に感謝している。でも、君のその告白には今の僕じゃ、ちゃんとした答えが出そうにない。だって今の僕は恋を知らないから…………だから、いつか、君に返事を送るよ。それまで君が恋について教えてくれないかな?」

 「〜っ!…………ええ!もちろんよ!一緒に学んでいきましょう!」

 

 そう約束を交わしたアリスと少女。不思議と懐かしい感じが僕の中に溢れてくる。機械人間になっても喜びの感情は、いつまでも僕の中に残り続けていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

一週間ぶりですね。前回の作品もたくさんの人に見てもらい、とても嬉しかったです!

この調子で色んな話を皆様に届けていきたいと思っておりますので今後ともよろしくお願いします。

いつか、長いシリーズ物も書いてみたいですね。

さて、今回は感情をテーマに書いてみました。様々な感情のもとで揺れ動く登場人物に注目してもらえると嬉しいです。

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