火炙りの刑
ペトラとリシアが鍛えるメンバーには、リーダーのしょーたも含まれています。
ペトラは前に月を破壊してたくさんの経験値を手に入れました。そのせいで普段は何重もの結界で力を抑えなければいけません。
じゃないとくしゃみをしただけで、飛沫で風穴空いちゃうからね。
そんなペトラではありますが、主に魔力についての特訓を担っています。
例えばこんな風に──
「殺せ! 俺を殺せーー!!!」
たった今目の前では、しょーたが十字架に磔にされて火炙りにされています。
身動きが取れないようこてーされた状態での火炙り。
多分、いやきっと辛いはずです。
だって、泣いてるもん。
「頑張れ! もう少しだよ!」
ペトラは翔太をいっしょーけんめい応援します。
「ああああああああぁぁぁ!!!!」
どうやらペトラの声援が伝わったようで、しょーたから気合いの入った声が返ってきます。
火炙りの刑。
この特訓では、主に火属性耐性と毒耐性が付くらしいです。それから魔力てーこーも!
十字架に磔にされてるだけで、動かずにいっせきさんちょーなんて、さいこーのこーりつだね!
しょーたは、人はダメだと思ったところから後ちょっとだけいけると言ってました。
白目を剥いてブルブル震えているしょーたも、あと少しはいけるはずです。
よーし! 翔太のやる気に応えて、ペトラも火力をちょっと上げちゃうぞ!
「【インフェルノ】」
さらに燃え上がる業火。
しょーたのHPがすごい勢いで削れて行きます。
「あれ? 待って、これ死んじゃうかも」
順番待ちしてる他の子達がガクガクと震えています。
インフェルノはまだ早かったかもしれません。
ペトラは火を消すと、一周りくらい小さくなったしょーたを十字架から降ろし、回復魔法を掛けます。
「んー。血が沸騰しちゃったのかなぁ〜」
なかなか意識が戻りません。
理沙ちゃんに【完全回復】を掛けてもらった方が良いかも!
「理沙ちゃんお願いしていーい?」
目の前でしょーたが燃えていたはずなのにガタガタと震えている理沙ちゃんに、回復をお願いすると──さすがは聖女です。いとも簡単に完治しました。
「ありがとー理沙ちゃん。寒いなら理沙ちゃんもインフェルノ使ってあげようか?」
「い、いや。結構だから。というか、無理。私にはこれ、耐えられるように思えないんだけど……」
「大丈夫だよ! 一酸化炭素中毒? ……なんか、よくわかんない毒のお陰で、燃えてるうちの半分は気絶してるらしいから」
ペトラ自身は燃えたことがないのでわかりませんが、何度か経験しているしょーたが言っていたので多分本当です。
「ぺ、ペトラちゃん。さ、先にお芋食べようよ。ほら、翔太先輩の足元で焼いてたやつ! そろそろ食べ頃じゃないかな?」
理沙ちゃんはブルブルと震えながらそう言います。
確かに、ペトラもお腹空いたし、理沙ちゃんも寒そうだしちょうど良いかもしれません。
「しょーたぁ〜、しょーたー、起きてー」
ぺちぺちと頬を叩くと、小さく唸ったしょーたが目を覚ましました。
「起きて! お昼にしよ!」
ほくほくのお芋を2つに割ると片方をしょーたに渡します。
「あー、さつまいもか。ありがとう──くそ、嫌な夢見たぜ。まるで自分も芋のように焼かれる夢を……」
翔太は何かをブツブツ言いながら上体を起こします。
いてて、と頭を抱えて項垂れるしょーたは口から黒い煙を吐きました。
「ププッ。相変わらずしょーたって発音がおかしいよね。あと、理沙ちゃんも」
「私たちはおかしくないよ。さつまいもはさつまいもだもん。私とか翔太先輩からしたら、この世界の人の食べ物の発音の方がおかしいよ」
理沙ちゃんは呆れたように笑ってそう言います。
「ちなみに、この世界でさつまいもはどうやって発音するの?」
「すァァァァつまっいぃーもぅーだよ」
「ん。おーけーおーけー、あいわかった。黙れ、魔王」
しょーたは鼻で笑うとペトラに喋るなって言いました。
ペトラは何も悪いことしてないのに。
発音が変だって言っただけなのに!
とっても悲しい……。
「翔太先輩、私元の世界に帰りたいです」
「ままならないもんだよ、人生は──」
本作品は↓の作品のスピンオフとなっております。
話自体は独立していますが、この世界観における細かい設定はこちらをご覧になって頂けるとわかると思います。
これにて第一章終わりです。次話から物語が進行します。




