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ここはグランパリエ王国。
私、リアリスはグランパリエの王都にそびえる王宮で働くメイド。
メイドと言えど、その中でも下っ端メイド。
王宮のメイドは、身分が保証されていないと働く事が出来ない。
したがって、全員が何らかの爵位を持つ家柄である。
爵位と言っても様々。
公爵、伯爵、子爵、男爵。
私の実家であるハミルトン家は、男爵である。
男爵ではあるが…
ものすごく貧乏だ。
先代のハミルトン家の当主、つまり私のお祖父様が
戦争で奇跡的な大逆転をした事で爵位を賜りこの領地を拝領した。
拝領したのは良いが、お祖父様は元軍人。
しかも平民上がりの軍人だった。
知識もある訳ではなく、いきなり当主になった訳で
そりゃあ苦労したそうだ。
お祖母様がよく言っていた。
「私がここにお嫁に来なかったら、あの人は飢え死していた」と。
身体と人の良さでは王国一だったお祖父様は
領地を保つ事は出来ても、大きくする事は出来なかったようだ。
お祖父様が生前引退して、父の代になってからは
どうにか領地でお金になる事は出来ないだろうか?と試行錯誤をしている。
ハミルトン家の家訓は「倹約」。
ハミルトン家には使用人がほとんどいない。
自分の事は自分でやっていたし
なんだったら食事だって作ったりもした。
貴族が台所に入って料理をするなどあり得ないと言われるだろうが、そんな事は知ったこっちゃない。
他所は他所。
家は家。
私は子供の頃から、早く大人になって働きに出て
少しでも家族にお金を送って楽をさせたいと思っていた。
夜、ベッドに入って考える事と言えば
お給金の高い職種はなんだろうか?
やっぱり王宮で働くのがいいだろうか?
どのくらい勉強したら王宮勤めできるだろうか?
そんな事を毎晩考えていた。
家庭教師をつけるなんてお金はないので勉強は独学。
我が家には貧乏家には似合わないような、大きな書庫がある。
なんでもお祖母様が嫁いでくる時に実家から持ってきた本が大量だったので、書庫を作ったらしい。
どれも年季の入った本だが、中には珍しい本もあるそうで
我が家はどんなにお金に困っても本だけは手放さないと決まっている。
そのお陰で、私は独学で勉強できたのだ。
いつか、王宮で働くために。
「貧乏男爵家令嬢は従女になりたい」をお読みいただきありがとうございます!作者のぎゆりです。
久しぶりに書きたくなりまして
新たな物語を執筆中です。
本職がある為、更新は不定期ですが
時間のある時にまとめて執筆しようかと思っております。
素人なので、誤字脱字だらくになっちゃうかなー?と思いますが何より楽しく幸せになれる物語をお届け出来たらと思っております( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )❤︎
リアリスは、まだ若い女の子ですが
家族の為にお金を稼ごうと頑張るしっかり者です。
どちらかと言うと兄・ウォルフの方が
お気楽な性格な脳筋イメージという感じになっております。