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80.帰還


「オルド様だっ!」

「オルド様が帰ってきたってよ!」

「「「うおおっ!」」」


 遠くからでもよくわかる。被追放者の村人たちの歓喜の声、弾けた笑顔……。


 クオンがもう不幸の臭いはしないというので、俺たちは周りの景色を楽しみつつ徒歩で村へと戻っているわけだが、とても誇らしい気持ちだった。ただその反面、包帯を巻いた村人が目立つとか、荒れ果てた畑や破壊された建物とか、そういった負の部分も次第に見えてきてなんとも申し訳ない心境になった。


「グルルァ、酷いものである」

「ですね。ウミュァアッ……」


 フェリルとクオンも苛立っている様子。


 俺がいない間、一体何が起きたのか詳しく聞かないとな。ライレルを含めて屈強な村人たちをここまで追い詰めるやつが存在するなんて思いもしなかった。ただ俺にできないことなんてないから、その分補填してやるつもりだ。


「――オルド様っ!」


 村へ到着し、誰もが俺を温かく迎え入れてくれる状況の中、最初に飛び込んできたのはライレルだった。


「ライレル、ただいま。一体何が起きたんだ?」

「おかえりなさい。実は、王国軍が攻めてきちゃって……」

「予想はしてたが、やはりか……」


 となると、【逆転】スキルについても知られた可能性が高いな。でなければ鍛え抜かれた村人たちに対してこれほどの被害は出せまい。しかし、だとしても滅法強いやつが攻めてきたとしか思えないが……。


「すまん、ライレル。俺がいない間、苦労させちゃったみたいだな」

「……仕方ないです。スキル持ちが色々来ちゃって。それにまさか、あんな強敵が来るなんて……」

「強敵?」

「はい。王国軍が、伝説の拳聖ルディアを引き連れてきて……」

「ルディア、だと……?」


 最早伝説上でしか語られることのないやつだと思っていたが……まさか、生きているとは。なんせ、先々代の勇者パーティーの一人でしかも最年長だったはずで、生存しているなら90歳は優に超えているはずだからだ。一体、そんな化け物がどこに隠れていたんだか……。


「それを、ライレルが……?」

「うん……僕が倒しちゃた。間一髪だったけど……」

「……」


 そんなのを倒すなんて、ライレルも相当な化け物に育ってたんだな。あの【剣術能力向上・極小】スキルを【逆転】させる程度では到底勝てない相手だと思うんだが。


「よくやった、ライレル。偉いぞ!」

「は、はい、嬉しいです! あの、ぼ、僕……」

「ん?」

「オルド様の愛人から――」

「――オルドしゃまー!」

「おっ……マチか! よかった、無事だったんだな!」

「うん! ライレルしゃまがみんなを助けてくれたから……!」

「そうか……」

「もぉ、マチちゃんったら。嬉しいけど、タイミング悪っ……」

「っていうかベイベー、いやライレル様、それにあるじ! 俺も貢献したんだけど――」

「――はいはい、終わりっ!」

「……あ、嗚呼っ。このあっけなく出番が終わる感じ……いつ死んでも気付かれない脇役感……ンッ、イイッ!」

「……」


 そういやこんなのもいたな。ガリクだったか。まあ何故か幸せそうだしスルーしとこう。


「……オ、オルド様っ……!」

「あ……」


 メアリーがよろよろとこっちに歩み寄ってくる。目が見えないのによくわかるな。


「怖かった……怖かったです……!」

「ごめんな、メアリー。側にいてやれなくて」


 俺の胸ですすり泣くメアリーの頭を撫でてやる。若干フェリルたちから送られてくる視線が痛いが我慢だ……。


「でも、オルド様がご帰還なさったことが、何より嬉しいです……」

「メアリーが無事だったことも嬉しいよ」

「何よりもですか……?」

「おいおい……」

「うふふ」


 彼女の笑顔で少しだけ救われた気がする。この子を含めて、村人たちには随分と迷惑をかけてしまった。償わねば……。


「おーい、オルドー」

「ユリウス様!」


 ユリウス大司教が杖をついて歩いてくる。


「ご無事でっ……!」

「うむ。まあ運が良かったんじゃろうて。ところでその背中におる子はどうしたんじゃ?」

「あっ……そうだった。この子、怪我しちゃって。それであの小屋に置いてもらえないかと……」


 狂戦士としての資質は【逆転】でなくしてある上、起きたとしても他者に攻撃ができないようにしてるから安心ってわけだ。


「あいわかった。というか、いつでも使ってくれ。わしはあまりあそこにはおらんからな」


 そういや、ユリウス様は炊き出しをしてるとき以外はいつもぶらぶらしてる印象で、神出鬼没だからな。


「――あ、あのおっ、オルド様!」

「ん、この子は……?」


 一人の少年がおずおずと近付いてきた。


「あ、俺、【逆転】クジに当選したダラスっていいます!」

「……え?」


 周りの気まずそうな反応を見ると、誰かが勝手にクジをやったんだろうな。で、犯人はもちろん俺が村の防備を任せたあいつってわけだ。


「ライレル、俺がいない間に【逆転】クジをやったのか?」

「ご、ごめんなさい……」

「そうか……まー仕方ない。一度だけなら許そう」

「わーい、そう言ってもらえると思ってました。オルド様、大好きっ!」


 ライレルに抱き付かれてしまった。まあ俺も今まで好き勝手にやってたんだし、少しくらい大目に見てやることにしよう……。

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