15話
「アメリアはどこにいるのか…!」
アメリアが家出をしてから数週間が経っていた。
父のダニエルは、アメリアはただの癇癪を起こしたに過ぎない、すぐに帰宅するだろうとたかをくくっていた。
初動が遅れたせいもあり、アメリアが家出してから2日後に雨が降ってしまい足跡は全て洗い流されてしまった。
部屋の中は全てその日のまま。一文なしで飛び出した娘がそう遠くに行っていないことだけは推測ができた。
ラローズ邸では日夜アメリアの捜索が行われていた。
足取りが掴めたのは王都への関所の門番が受け取った髪飾りのみだった。
アメリアが求婚を拒絶して家を飛び出したという話をどこで聞きつけたのか、翌日にすぐベルベット公爵がダニエルの元へやってきた。
そしてダニエルの前では冷静にしていてと、部屋を出た後は何度も何度も呼び戻せと好きなだけ怒り狂ったあと、ふんぞり返って茶と菓子を求める。
これには夫人も困り果てていた。それを毎日やられ、使用人も怯えて半泣きで中途半端な味のぬるいお茶しか出せなくなってしまっていた。
そしてその茶を飲んで「不味い!」とまた怒る、本当に毎日これをやるのだ。
このような怒り狂う男の元へ娘を嫁がせてしまうところだったのか…と考えると夫人はアメリアの行動もやむを得なかったのかもしれない…と思うようになってきていた。
「…ねえ、ダニエル。」
「どうした。」
「アメリアのこと探すの、もうやめにしない?」
リリーはアメリアが姿を消して1ヶ月後の夜、ダニエルへ思い切って伝えた。
「どうして…」
「心配じゃないわけはないの。でも、あなたとの話が終わってから客間に来ると彼の方はすぐに怒鳴り散らして茶と菓子を要求するの。毎日よ、嘘じゃない本当のことよ。
使用人もみんな怖がって仕事にならないわ。私だってそうよ。あんなふうに怒り狂う人初めてよ。
アメリアはあんな男の元に嫁がなくて正解だったのよ。」
「リリー…」
ダニエルがリリーの言葉に頷きあぐねていると、書斎のドアにノックがかかった。
「旦那様、庭師のジョージアでございます。」
「…ああ、入れ。」
「失礼致します、旦那様、それから奥様。」
恭しく礼をすると、ダニエルにジョージアが差し出したのは種だった。
「なんだこれは。」
「サンブルームの種です。」




