プロローグ
「私は誰とも結婚などしたくはありませぬ!!」
「まあ!はしたないですわよアメリア!」
アメリア・ラローズ、17歳。
来週には18歳になる。
そんな私が人生初にして、最大の勇気と大声を出した。
それは屋敷に響く声だったらしく、母が目を見開いて注意をしてきた。
しかしそんなことなどもはやどうでもいい。
私はまあまあ広い屋敷の外へと飛び出していたのだから。
「大声を出すだけではしたないなんて、全く人間らしくありませんわ!こんなのいくらでも出せますもの!!おーっほっほ!!」
ラローズ庭園と呼ばれる、昼間は領内の人々に開放されている美しい花園を、私は庭師と同じ靴と作業着で駆け抜けていく。
もう少しで門のところにつく、と嬉しくて足がさらに軽やかになるのを感じた。
「…いけませんね、お嬢様。」
「ひゃ!!」
専属の騎士に後ろから追いつかれたらしい。
いつのまにか『軽やかな』足は止まり、丁寧に抱きかかえられながら屋敷に連れ戻されそうになる。
すんでのところで暴れて降ろさせると、私はそのまままた駆け出す。
「お嬢様…!」
騎士は屋敷のエリアから領主の命令なしでは離れることができない。
悔しそうに歪ませた顔で速足で去っていくアメリアの後ろ姿を騎士は見つめるばかりだった。




