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怪我するたびに知らない世界に飛ばされる俺、「あれっ?またどっか行くんか!?」歴史の戦略で現代世界を最強にしてしまう。  作者: じゃれにぁ
第四章 違う世界を見るという事

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第五十一話 ー将来の礎ー

 大鷲急便で仕事を始めて半年が過ぎた。

朝礼にて営業促進の話を聞かされて康一はどうすべきを考えながら積み込みを行っていた。


課題は3つ『売り上げの向上』『新規顧客獲得』『単価向上』

「原価を考えろって言われたけどそもそも原価って色々あるよな、単価も同じではあかんよなぁ。クール便と宅配便では違うしな。むずかしな、どうしよっかな。野口さんに相談してみよ」

出発前に野口先輩に相談する。


「康一さぁ。お前言うとったやん。お客様が何を求めとるかになるべく早く応えるって。その行動取ってきたんやろ。もう一歩踏み込んで他社の荷札貼ってある荷物見たら、『ぼくに任せてくれませんか』って言うてみぃま。お前が言うとった行動が取れとったらお客さん『ええよー』って言うてくれるでな。これまで言うたことあるかい?」

康一の目の前がぱあっーと開けた。『そういえば言うたことなかったなぁそこからか!』


それからというもの康一の成績はみるみる向上し一か月後、営業成績第一位を獲得した。

11月になって、全国優秀ドライバーとして表彰を受けた。入社1年目の事である。


妹尾せのお所長から朝礼にて

「これまで安全では全国を引っ張ってきた事はあったけども、優秀ドライバーはこの営業所始まって以来やな、ようやったなぁ」とほめてもらえた。

康一は不思議そうな顔をして「いえ、野口さんとお客さんのおかげです」と一言。

野口も嬉しそうな顔をしていた。


大鷲急便に勤めて1年。

康一は気づいたことがある。

集配業務の個人宅配以外は、ほとんど会社や商店では、裏口・荷物集積所や倉庫等、その会社のお客様があまり出入りしない所で行う事から、普段は見えない部分が見えてしまう。お客さんからすればあまり見られたくない場所だ。


景気のいい会社はその部分がいつも整理整頓されていて、従業員の方たちも機嫌よく笑顔で対応してくれる。

景気の悪い会社はその逆なのだ。


『これって商売の真理なんちゃあうん!』気づいてしまった。


康一はその「真理」に気づいてから、集配という仕事の見え方がまるで変わった。荷物を運ぶだけではなく、会社の“裏側”を毎日見せてもらっている自分は、実は地域の企業の健康状態を誰よりも早く察知できる立場にいるのではないか——そう思い始めたのだ。


景気のいい会社は裏口が整い、働く人の表情も明るい。逆に散らかり放題で、声をかけても返事が素っ気ない会社は、どこか余裕がない。康一はそれを『荷物の重さより、空気の重さでわかる』と感じるようになった。


そんなある日、いつも明るい対応をしてくれる町工場の社長が、珍しく暗い顔をしていた。裏口には未整理の荷物が積まれ、従業員の動きにも覇気はきがない。康一は胸騒ぎを覚え、思い切って声をかけた。


「社長、最近どうですか? なんか、いつもと違う気がして...」

社長は驚いたように顔を上げ、少し笑って言った。

「よう見とるなぁ。実は大口の取引先が倒産してな、急に仕事が減ってしもてなぁ」


康一は黙ってうなずいた。だがその瞬間、野口の言葉が頭をよぎった。

『お客さんが何を求めとるかに、なるべく早く応えるんやで』

「社長、もしよかったらなんやけど、新しい取引先、紹介できるかもしれん。うちのお客さんで、加工先探してる会社があったんです」

社長の目がぱっと明るくなった。

「ほんまにか!?」


それから数週間後、紹介した会社との取引が決まり、町工場は再び活気を取り戻した。社長は深々と頭を下げた。

「助かったわ。運んでもらうだけやなくて、うちのこと見てくれとったんやな」

康一は照れくさそうに笑った。

「いえ、僕はただ毎日見とる景色が、ちょっと変わったとおもただけです」


その帰り道、康一は思った。

『荷物を運ぶだけが仕事やない。人の暮らしや会社の未来まで、少しだけ支えられる仕事なんやなぁ』

大鷲急便に勤めてもうすぐ一年。康一はようやく、自分がこの仕事を好きになった理由をはっきりと理解したのだった。







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