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86話 決闘大会

「じゃあ僕はそろそろ失礼しようかな」


 パーティーはすでに終盤にさしっかかていた。

 帝都の主要な貴族にも挨拶が終わって暇していたところだ。

 そろそろ帰るのもありだろう。


「かしこまりました。今隊を呼びます」


 そう言ってリールは護衛隊を呼びに出て行った。


「今回のパーティーで殿下は帝都に存在を示されましたから忙しくなりますね」


 フォルトさんが言う。


「そうだね。まずは第一皇子の大会だね。それが終わったら次は第二皇女のお茶会。それ以外にも帝都貴族から招待状が無数に届くだろうしやることは尽きないね」

「そうですね」


 リールの大会には僕もついて行く。

 今回で少しむかついたから第一皇子の悔しそうな顔を見てみたい。


「フォルトさんはどうする?一緒に乗って帰る?」


 僕はこれからマンフレート邸に滞在することになるからフォルトさんとは帰る場所が一緒だ。

 

「いえ、私はもう少し残ります。令嬢達も一通り帰っていますし今日来ている外国使節と話してみたいんです」

「わかった。気を付けてね」


 今日は帝国内だけではなく外国からの使節も多く来ている。

 僕自体にはもともと注目が集まっていたわけではないが大陸一の大国である帝国の後継者争いには外国も興味があるのだろう。

 いつか僕も外国にはたらきかけるようなことをするのだろうか。

 どちらにせよ戦争以外の外交手段を取ったことのない北部には向いていないな。

 外交は。


「殿下、隊が到着しました。いつでも出れます」


 リールが護衛隊を呼んで帰ってきた。


「了解。フォルトさん、今日はありがとうございました。」

「滅相もございません。こちらこそありがとうございました。」

「じゃあ明日」

「はい」


 そう言って僕は出口に向かった。

 会場からは少しづつ貴族達が帰っていて車止めには馬車がいっぱい停めてあった。

 僕の馬車は護衛隊と一緒に一番出口から近い場所にあった。 


「殿下、お手を」

「ありがとう」


 先に乗ったリールが手を差し伸べてくる。

 帰りはリールも一緒だ。


ガチャッ


 馬車の扉が護衛隊の兵によって閉められる。

 

「出発せよ」


 リールがそう命令すると馬車はゆっくり進みだした。

 皇宮の敷地を出て貴族街を進む。


「やっと終わった~」

「お疲れ様です」


 今日はとてつもなく疲れた。

 まるで数日にわたる大合戦を終えたような感覚だ。

 帝都の連中はこんなのを毎日やってるのか。

 異常な耐久力だけは尊敬するな。

 

ガシャンッ!


 マンフレート邸の重厚な門が開き敷地内に入る。

 今日が終わった。

 だが同時に戦いに始まりを告げたのだ。




ー-------



「初めて会う兄弟姉妹はどうだった?」

「正直あまり好感は持てなかった。でもソニア皇女の方は興味が湧いたな~」

「それはよかったわ。でも油断しないでね。あなたは常に狙われてるんだから」

「わかった。お母様」


 あれから一夜明け、今僕たちはお母様と一緒に朝ご飯を食べている。

 マンフレート邸で食べる初めての朝ごはん。

 今までと違って安全で皇宮からの攻撃や監視の心配がない普通の朝ごはんだ。

 お母様も引っ越しが完了して一段落した。


「そういえば公女ちゃんは?」

「彼女なら今公国の状況を調べているところだよ」


 ハンナはうちの一員になってから僕達と一緒に朝ご飯を食べている。

 だが最近は故郷であり将来統治する国のバーレル公国の状況について調べて回っている。

 故郷や復讐もかかっているため彼女は頑張っている。

 軍の諜報部隊から余剰戦力を引き抜いて彼女に貸しているがすごい成果をたたき出している。

 もうすでに公国上層部の勢力図まで把握したと言っていた。

 彼女はもうすでに立派なスパイマスターだ。

 このペースで行くと僕が北部に帰還するより前にかたがつくかもしれないほどだ。


「最近公女ちゃん頑張りすぎてるみたいだからあなたからも少し止めてあげて」

「うん、わかった。休憩は大事だよね」


 お母様の言う通り最近ハンナは頑張りすぎている。

 諜報部隊を細分化して一つ一つに個別で指示を出している。

 この間は寝ずに頑張っていたほどだ。

 今度休憩するように言ってみよう。


「そういえば殿下」


 リールが言う。


「話は変わりますが例の招待状が私宛に来ました」

「もう来たの?」

「はい、挑発的な内容だったのですが殿下の指示をいただきたく思います」

「わかった。あとで見せて」

「かしこまりました。ありがとうございます」

「例の招待状って?」


 お母様が聞いてくる。


「社交界デビューの時に第一皇子と少し論争になりまして、それで第一皇子主催の決闘会に参加することになりました」


 リールが答える。


「第一皇子主催の決闘会は結構有名よ」

「そうなの?」


 お母様は知っているようだ。

 さすが帝都にずっといたお母様だ。


「半年に一回貴族街と庶民街の間にある皇立闘技場で大々的に行われる決闘会よ。帝国内外から多数の騎士が集まって決勝では第一皇子の選んだ帝都最強の騎士達と戦うの」

「騎士達?」

「あれ、第一皇子から聞いていなかった?1対1じゃなくて5人くらいの騎士と戦うの。もしそれに勝って優勝出来たら皇室騎士団の入団権と領地や爵位をもらえるのよ」


 第一皇子、変なところのプライドは高いくせに姑息な手を使ってくる。


「5人か、、、リール、行ける?」

「はい、雑兵5人など余裕です。むしろ帝国国外から来る実戦経験のある騎士の方が苦戦するでしょう。ですがどちらにせよ圧勝しますのでご安心ください」

「よかった。じゃあよろしくね」

「殿下のご指示のままに」


次回投稿は金曜日になります。


読んでくれてありがとうございました!




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