表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/138

77話 貴族達

「、、、、は?」


 今馬鹿げたことが聞こえたような、、、


「今なんて?」

「その装飾品は北部軍正規軍団計30と近衛隊、総司令部の合計で32個ありますが総額は王国の国家予算13年分、帝国南部の予算の5年分に相当します」


 それを聞いて装飾品を持つメイドたちの手が少し震えた。

 、、、親ばかにもほどがある。

 さすがにこれは擁護のしようがない。


「、、、馬鹿でしょ」

「何がです?あ、それよりこれを」


 なかば僕の言葉を無視しつつリールはティアラを持ってきた。

 そのティアラはいかにも金をかけてそうな見た目だった。

 

「これは北部で産出されたダイヤの中でも特に美しいものだけを集めて組み上げたものです。将来的に殿下が北部に帰還されましたらティアラより王冠の方がふさわしいと思いますが中継ぎとして近衛隊からお送りいたします。」


 まさか、、、


「リール、これいくらしたの?」

「そうですね、オリハルコンの全身鎧3軍団分ですからざっと王国の国家予算3年分です」


 、、、犯人こいつか!


「、、、はぁ、こうなったらもう止めようがないな」


 そうだ、リール含め軍の人間はこうなったら止められない。

 近隣諸国を滅ぼしてでも僕に宝を届けようとする。


「もういいよ。好きにして」


 僕はあきらめた。

 リール達は僕のことになると常識を著しく失う。


「?」


 リールが?な顔をしてくる。

 リールもやっぱり親ばかだ。

 いや、姉ばかと言った方が適切か?


「それでは再開いたします」


 リールが王国3年分のティアラを箱にしまうとメイドたちに再開を命じた。

 メイドたちの緊張がこっちにも伝わってきた。

 もし壊しでもしたらそのごとに王国半期分の国家予算が吹っ飛ぶと考えれば妥当だろう。

 にしても世界中のダイヤ市場が混乱してるって報告をハンナから受けたがこのせいだったか。


「今回の着付けでの装飾は以上になります。大部分である残りの装飾品は出発直前に」


 そんなことを考えていると一回目の装飾が終わった。

 残りのメインの装飾は予定通り出発直前に行う。


「では行きましょう。陣営の貴族たちが待っています」

「うん、行こう」


 僕はリールに手を引かれ貴族達が待つ第一会議場に向かった。

 

「にしてもドレスは歩きにくいな~」

「そうですね。普段軍服とワンピースしか着ていない殿下からしたら歩きにくいかもですね」

「南部の連中はなんでこんなの望んで着るんだろう」

「さあ、権威のためでしょうか?」


 リールも僕も戦場育ちだから南部貴族の令嬢の感性には全く共感できない。

 今度ハンナにでも聞いてみよう。


「あ、ここですね」


 ちょうど第一会議場の前に着いた。

 

「行きましょう。殿下に従う者の前へ」

「うん!」


 そう言うとリールは会議場の扉の両脇に並んでいる10人ほどの近衛兵に命令する。


「全隊!扉を開け!」


 そう言われると近衛兵は胸に手を当て北部式の敬礼をした後大きく言った。


「ベルヘルツニア帝国第五皇女にして北部軍最高司令官・北部の君主!カーナ・フォン・ベルヘルツニア殿下の入場であられられます!」


 恐らく扉を挟んだ会議場にも大きく響いただろうその言葉が終わると近衛兵は規則正しい動きで扉の前へ行進し押し開けた。


「姫様に忠誠を!」

「姫様に忠誠を!」

「姫様に忠誠を!」

「姫様に忠誠を!」

「姫様に忠誠を!」


 扉が開き僕たちが入ると待っていた貴族たちが一斉に掛け声を叫ぶ。

 僕は敬礼で返しながら用意された席に向かった。


「姫様、、、美しいです、、、」

「まさに北部の象徴です」


 途中で何人かの貴族から褒められた。

 

「ありがとう、これも北部の富のおかげだよ」


 僕は用意された席に到着した。

 第一会議場は今回参陣した北部貴族・旧貴族の計百名弱が居た。

 これでもほとんど当主だけで他の人には別の部屋で待てもらってるから実際はこの数倍居る。

 第一会議場に集まった当主たちが座れるように巨大な長机が5こ用意されていた。

 僕の席はその長机達の前の1段上がったところにある金縁の机だ。

 両脇にはちょうどさっき到着したおじさんとフォルトさんがいる。


「お久しぶりです。殿下」

「おじさん久しぶり、道中何もなかった?」

「おかげさまで快適な旅でした。にしても殿下きれいですね」

「ふふっ、ありがとう。これ研究部と軍からのプレゼントなんだ」

「そうでしたか、では我ら北都も負けてられませんね」

「おじさんは来て支援してくれたじゃん。それで十分だよ」


 このままだと北都からもプレゼントが来そうな予感がしたためやんわりと断った。

 いくら何でもこれ以上金をつぎ込まれても警備が大変になる。


「よし、じゃあ始めよう」

「かしこまりました。皆さま、お静かに!」


 リールが会議場全体に響くように言った。

 そうするとそれまで談笑していた貴族たちが静まってこっちに注目する。


「まず、今日行われる僕の社交界デビューに際して集まってくれてありがとう。北部の同胞に対しては忠誠を感謝し、新たに加わった旧貴族達にはようこそと伝えます」


 それから拍手が起こる。

 北部のみんなと旧貴族で多少なりとも対立が起こると心配していたがその心配は無駄だったようだ。

 旧貴族は帝都の貴族とは違い北部貴族に似ている。

 それもあって受け入れられたのだろう。

 

「では今日のパーティーでの予定を再確認します。リール、お願い」

「了解しました。今日のパーティーでは時間をかけて少しずつ予定してある順番通りに出発していただきます、、、、」


 そうしてリールは細かく今日の予定を確認した。


次回投稿は金曜日になります。


読んでくれてありがとうございました!




もし面白い・続きが読みたいと思っていただけたらブックマークや広告下の☆☆☆☆☆でポイントを入れていただけるとうれしいです!




評価はモチベに繋がりますのでよかったらお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ