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78話 称号継承

「全中隊準備できています」

「了解、行こう」


 僕はハンナとリールを連れて廊下を歩いている。

 軍の最終確認に行くためだ。

 あの後貴族達と最終確認をし終えて分かれた。

 次会うのはパーティー会場だ。


「軍の詳細は?」

「2万人の志願兵の中から選抜された最精鋭です。近衛隊1000名・その他1500名の計2500名で構成されています。装備は最新型のフルプレート・大盾・短槍・片手剣・短剣を支給しています。いずれもオリハルコンなので外に紛失しないように細心の注意を払っています」

「了解、確かに紛失は避けたいね。ここ帝都だし」


 オリハルコンは軍と北都・フルテッド王家で厳しく情報統制されており南部貴族はまだ存在すら知らない。

 南部人はいまだオリハルコンは伝説上のものだと信じている。

 

「そういえばハンナ」

「はい、殿下」


 僕の呼びかけにハンナが反応する。

 ハンナは会議の後に合流した。

 

「ハンナは護衛隊以外の北部軍を見るのは初めてだったよね」

「はい、護衛隊以外の北部軍は噂でしか聞きませんでした」

「ならちょうどいい、見ていって。これが僕たちの軍、将来ハンナの国を奪還する軍だよ」


 僕はそう言って立ち止まり前の両開きの扉を開けた。


ギィー-


 扉が鈍い音を上げて開く。


「北部に栄光あれ!姫様に勝利を!」

「北部に栄光あれ!姫様に勝利を!」

「北部に栄光あれ!姫様に勝利を!」

「北部に栄光あれ!姫様に勝利を!」


 扉が開くとそこには練兵場いっぱいの北部兵が見えた。 

 扉の先はバルコニーになっていて練兵場を一望できる。

 僕の姿が見えると兵達が歓声をあげる。


「北部に栄光あれ!」


 僕もお決まりの言葉を叫んで応える。

 沈みかけた空とは反対に彼らの士気は頂点に達していた。

 2か月ぶりに僕やリールに会えたのだ。

 僕もみんなに久しぶりに会えてうれしい。

 戦う気満々の様子を見ると親ばかは変わっていないようだ。


「これが、、、北部軍!」


 ハンナが初めて見る大規模な北部軍を見て圧倒される。

 まあ最初は誰でも圧倒される。

 うち以上の士気を持ってる軍もそうそうないからね。


「すごい、、一目でわかりました。北部軍が世界最強と呼ばれる理由が」

「えへへ、すごいでしょ!うちの軍!」


 僕はハンナと会話を終えると軍のみんなに向かって演説し始めた。

 

「みんな!まずは王国との戦線が拡大する中僕の戦いに参陣してくれてありがとう!」


 僕がそう言うとまた歓声が上がる。


「今回の戦いはいつもと違う。敵の正体も装備も人数も不確定、誰が敵になるのかすらわからない。そもそも戦いが起こらない可能性の方が高いだがそんなのは関係ない」


 そう、関係ない。

 

「僕は知ってる。数も装備の質も無視して圧勝し続けてきた北部軍を!」


 そうだ、北部軍は本来10倍の鉄鎧を着た敵もそこら辺の木の棒で圧勝できるバケモノの集まりなのだ。

 最近は改革でそもそも数的・質的不利になることすらなかったが装備の質とか敵の数とか考えなくても勝てるくらい強い。

 

「南部の雑兵ごときに遅れをとる人なんていないと知っている!だから気にせず進むぞ!」


 正直数は圧倒的不利だが北部軍に質や練度で勝てる組織が帝都、いや、南部に存在するとは思わない。

 だから戦うときはみんなの好きに暴れさせよう。


「うぉー---!!!」

「うぉー---!!!」

「うぉー---!!!」


 みんなからは今までで一番大きい歓声が上がった。


「それじゃあ早速最初の司令だよ!全軍作戦行動を開始せよ!」

「了解!姫様に勝利を!」

「了解!姫様に勝利を!」

「了解!姫様に勝利を!」

「了解!姫様に勝利を!」


 僕が命令するとみんなはすぐに動き出した。

 あらかじめリールと僕・エレナさんで決めておいた警戒体制の配置に移動し始める。

 この屋敷に500名、皇宮監視に400名、いざという時に僕を迎えに来る即応部隊300名、その他帝都全体を監視するためや予備人員に1300名。 

 この帝都に対しては過剰とも呼べる戦力を出し惜しみなく使う。

 最初から全力で当たるんだ。

 もちろんあちらが刺客を送らない限りこちらも攻撃はしないが念には念を入れる。


「全隊!進め!」


 各中隊の部隊長が先頭に立って行進を開始する。

 相変わらず一糸乱れぬまるで一つの生き物のような動きだ。


「我々も準備しましょう。時間は有限ですから」

 

 リールが言う。


「そうだね、行こう」


 僕は着付け用の部屋に戻った。

 ここで最終確認と装飾をしたらあとは出陣するだけだ。


「まずはこれを」


 リールがサッシュを持ってきた。

 サッシュは勲章に分類されるもので見た目はタスキとほぼ同じだ。

 だが軍から送られてきたであろうこれは金でできた勲章よりも栄誉ある称号が刻まれている。


「第一軍団から送られてきた物に称号を付与したです。これは知力・体力・技量の総合で選定された北部軍最強の戦士に送られます」

「北部軍最強の戦士、、、」


 軍の最高司令官と同等、もしくはそれ以上の栄誉だ。

 

「でも僕がもらっていいのかな?体力ではエレナさんに到底及ばないし技量ではリールに勝てない」

「何を言ってるんですか、殿下は知力において他を圧倒しています。いくら私やエレナさんが技量と体力で勝っていても殿下との知力の差は埋められません。それに殿下は軍団長達やおじい様に体力・技量でも勝っているではありませんか」

「ありがとう」

「では」


 リールは僕の前に立った。

 僕は跪いた。

 リールは今代理授与者だ。


「カーナ・フォン・ベルヘルツニア、北部最強の戦士の位を与える。フェリキア人の光となり北の大山脈に忠誠を誓うか?」

「誓います。この身北の大山脈に捧げ北部のために戦い続けます。北部に栄光あれ!」


 僕が手順に習って誓うとリールは僕にサッシュをかけた。

 簡略化されているがこれは統一国から続くれっきとした精霊の前で行う儀式なのだ。


「おめでとうございます。これで殿下は名実ともに北部の全戦士の頂点に立ちました」


 サッシュ自体はオリハルコンの糸と小さなダイヤで編まれているが軽い。

 しかし感覚的には鉄のフルプレートを着ているときよりよっぽど重い。 

 それほど北部最強の戦士と言うのは栄誉なことなのだ。

 正直僕には重責すぎる。

 だが、、、

 それ以上にうれしい。

 ずっと憧れてきたうちの一つになれたのだ。


「ありがとう。頑張るよ!」


 僕は思いっきり笑って見せた。


投稿忘れていて1日遅れてしまいました。

申し訳ございませんでした!


次回投稿は日曜日になります。


ー-------

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