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99話 登壇

最後にお知らせがあります。

「これより!栄光あるベルヘルツニア帝国決闘大会の開会式を執り行う!」


 フィールドでは司会が全体に響くように開会式を始めた。

 観客席は満席、VIPエリアの席には帝国の有力貴族はもちろんのこと各国の使節が揃っている。


「この大会は実力をもって勝敗を決める!誰であろうとも他者の介入を許してはならない!」


 司会はそう高らかに宣言しているが昨日のリールの対戦相手を見ると正直信用できない。

 どうせ僕の隣に座っている男が都合のいいようにいじっている。


「まず、この栄光ある大会の主催者でありこの場で最も高貴なお方!ハンス・フォン・ベルヘルツニア第一皇子殿下にお言葉を賜りたく思います!」

「やっと私の出番が来たか」


 そう言って第一皇子は椅子を立ち、バスコニーのせり出した最前部に立った。

 そこには演説台が用意されていて会場のどこからも見えるようになっている。


「帝国臣民及び各国使節諸君、今日、この時ここに集ってくれたことにうれしく思う。この大会は私の最も力の入れる行事の一つであり大陸全土の民が平等に戦える究極の武芸の場である!」


 第一皇子の演説は実に堂々としている。

 聞く者を魅了する要素が所々に仕組まれていてさすがは次期皇帝候補の一人だ。

 北部人は名将たちの激励を聞き飽きているからなびきはしないと思うが、普段皇族の顔すら見ることのできない南部人や諸国人にとっては心を掴まれるの仕方ない。(長いので、切る方が良いかと)

 しかも第一皇子は僕と違って生まれたときから帝王学を教えられ、今までの人生で常にだれかを従わせてきた。 

 何の緊張もなくこの大衆に演説できているのはそのおかげだろう。

 

「帝王学か、、、」

「どうかなされましたか?」


 一人事をつぶやく僕にリールが聞く。


「いや、そういえば僕帝王学を学んだことないなって」

「確かにそうですね。」

「リールは学んだことある?」

「はい、時期フォーク家当主としてヴァルドの学者団から学んだことがあります」

「僕も軍率いるし学んだ方がいいのかな」


 何の緊張もなく大衆に語り掛ける第一皇子を見てそう思った。


「いや、殿下は学ばなくていいと思います」

「なんで?」

「帝王学は民を統治するためにその方法を学ぶ学問です。その点殿下はすでに軍・北部人全ての信頼を勝ち取っているじゃないですか」

「あ、そっか」


 思い返してみればそうだ。

 帝王学を学ばなくてもすでに軍や北部を統治できている。


「殿下は殿下なりの方法で人を治められますから大丈夫ですよ。新しい者を治めることになってもね」

「ははっ、僕が北部以外を治めることなんてないよ。北部人以外の前で演説もしたことないし今後もないよ」

「それもそうですね」


 そんなことをリールと言っているとすぐに想定がへし折られた。


「最後に!今日は諸君に紹介したい者がいる!我が妹にして帝国第五皇女、カーナ・フォン・ベルヘルツニアだ!」


 、、、マジで?

 聞いていない。

 そもそも僕の帝都への帰還は一般民衆にはまだ公表していない。


「、、、そういうことか」

「殿下、、、」

「第一皇子は民衆と各国代表に僕が第一皇子陣営だと刷り込む気だな」


 各国代表と帝都民衆が一堂に会すこの大会で僕を自分の名前で紹介すれば、当然民衆と各国代表は僕が第一皇子陣営所属だと思う。

 事実はどうあれ一度そう思えば誤解が溶けるまで第一皇子陣営には支持が増加する。


「どういたしますか?外の部隊はいつでも動けます」


 リールが武力での解決を提案してきた。

 確かに1000人の兵力をもってすれば大会の中止を第一皇子に迫ることも可能だ。

 だが、、、

 

「いや、第一皇子はそれも含めて考えてるよ」


 今兵力を動かせば戦闘がなかったとしても各国代表には北部軍のある程度の実力を見せてしまうことになる。

 それは避けたい。

 ならば。


「妹よ、どうぞ演壇へ」


 第一皇子はにこにこで演壇へ案内してきた。

 この男、ただの愚か者と思っていたけど違った。

 少なくとも独裁者としての才覚は持ち合わせているようだ。

 いいだろう。

 その喧嘩買ってやる。


「ありがとうございます。第一皇子殿下、ちょうど帝都の民衆に挨拶したいと思っていたところです」


 僕は椅子を立った。

 椅子に立てかけてあった剣を腰に刺して手には北部軍最高指揮官杖を持った。

 軍服に付けてある勲章とフォーク家の家紋が斜めっていないことを確認し演壇へと歩きだした。


「やってくれましたね。実に面白い戦略です」


 演壇の手前で待っていた第一皇子に小さく囁く。

 周りには聞こえないくらいの会話だ。

 そうすると第一皇子はこう言った。


「何のことかわからないな。私はただかわいい妹を紹介するとともに庇護下に入れたかっただけだよ」


 白々しい。

 あらためてこいつは敵だと思った。


「まあいいです。民衆に挨拶してきましょう」


 僕はしっかりとした足取りで演壇へ登った。


「帝国臣民及び諸国代表諸君!初めまして!私はカーナ・フォン・ベルヘルツニア、帝国第五皇女にして北部軍最高指揮官である!」


 その瞬間会場全体から大きなどよめきが上がった。

 今会場にいるすべての人間が僕に集中している。

 僕は再び口を開いて大きな声でしゃべりだした。

ここ数日投稿が途切れ途切れになってしまい申し訳ありませんでした。

話のストックが少なくなりプライベートも忙しくなってきていて定期的な投稿が途切れてしまっています。

そのため、1か月ほど投稿をお休みします。

休みの間にストックを貯めて1月中旬から定期投稿を再開します。

予定では投稿再開は1月8日水曜日になります。

急なお知らせで申し訳ありませんが再開しましたら連続投稿していこうと思いますのでよろしくお願いいたします。

では1か月後にお会いましょう。




ー-------



読んでくれてありがとうございました!




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