253.自動運転(1)
「山手線の自動運転の試験ってまだ続いてるんだよね?」
「そうだと思うよ。もうあと数年で『ATO』での運転を開始する目標の時期のはずだし。」
「ATOって何ですか?」
「『自動列車運転』すなわち『Automatic Train Operation』、あるいは『自動列車運転装置』ならば『Automatic Train Operating device』の略。」
「その『ATO』の開発ではさ、いまは運転士さんがやってる雨降ったらブレーキを早めにかけるとか、そういう調整もしなくちゃなんだよね。難しそうだな。」
「だから、日本で実用化されてる自動運転は、雨の影響を受けにくいゴムタイヤで走る新交通システムや、そもそも雨の降らない地下鉄が中心でしょ。」
「そう言われてみればそうだね。」
「そうじゃなくても電車は走らせるよりも、決められた位置に安全に停車させる方が難しいのに、雨が降るとその難易度が爆上がりするから。」
「そういえば、ホームドアを導入する時には定位置停止装置だっけ、そういうの搭載してるよね。」
「うん。『TASC』っていう。『定位置停止制御』のことで、『Train Automatic Stop Control』を略したことば。StopをStop-positionって言ったり、後ろにsystemって付けたり、言い方のバリエーションはいくつかあるみたい。Controlの部分をControllerにすれば、『定位置停止装置』になる。
「それも『ATO』と同じように雨の影響を考えなくちゃいけないんでしょ?」
「当然。っていうか、むしろ『TASC』は『ATO』の重要な機能のひとつ。ホームドアを導入する時に、停車位置がずれるのを防ぐために、その部分の技術を抜き出して使ってるんだよ。」
「そっか。別々のものじゃないんだ。」
「そうして得た経験値は『ATO』にフィードバックされてると思う。」
「滑走の話で言い忘れたんだけど、滑走が起きると車輪が部分的に削れちゃう『タイヤフラット』が発生することがあって、走るとガタンガタンってなる。」
「そういう電車乗ったことある。何だろう、継ぎ目じゃないよな?って思ったけど、そういうことだったんだ。」
「これが起きると、乗り心地、車両、線路の全てに悪影響を及ぼすから、前にも話した車輪を削って形を整える車輪転削っていう作業を行う。」
「そうしたら車輪ってどんどん小さくなっちゃうんですか?」
「少しずつはね。もちろん削って良い限度ってのは設定されてるよ。」




