236.リニア(1)
「新歓合宿の帰りに、大門で乗り換えた大江戸線ってどうだった?」
「外から見た時も小さいなって思ったんですけど、乗ったらやっぱり小さかったです。」
「俺も初めて乗ったけど、天井が低かった。でも思ったほどの圧迫感は無かったかな。」
「同感です。その後で新宿線に乗り換えたら、いつもより車内を広く感じましたけどね。」
「トンネルの断面を小さくするために、車両の形とかいろいろ工夫してるそうだから。」
「トンネルが小さいと掘る量が少なくなって、建設費を抑えられるんだっけ。」
「そうらしい。シールドトンネルは断面が円形になるんだけど、その直径を単線用の場合は従来の地下鉄の6m前後から、4mまで縮小できてるって。」
「窓のあたりの壁が内側に傾いてて、網棚の上は更に傾斜してたのも、そういうことなんですね?」
「トンネルの丸い断面に合わせるのと、せめて座席のあたりは幅を広くしようっていう工夫の結果じゃないかな。」
「入口付近のつり革が天井から直接ぶらさがってたり、広告の下げ方とかも目につきました。」
「大江戸線みたいなミニ地下鉄って、リニア地下鉄ともいうよね。」
「リニアモーターは回転部分が無いから床の位置を低くできて、これもトンネルを小さくするのに役立ってる。」
「浮かないでもリニアモーターカーなんですね。」
「『linear』は直線的って意味で、リニアモーターはモーターの種類なんだ。浮上するための装置じゃないんだよ。」
「あ、そういうものなんですか。」
「リニアモーターは工作機械なんかで使われてるし、鉄道でもドアの開閉装置に使ってる例があるよ。」
「へー、結構普通にあるんだ。」
「うん。絶叫系のコースターの加速用にとか、電気髭剃りなんかにも使われてる。」
「そういえば、リニアシェーバーって聞いたことある。」
「ユウがさっき言ってた浮かんで走る鉄道の場合は『磁気浮上式鉄道』って言い方で区別してる。」
「浮いちゃうと車輪で走れないから、リニアモーターを使ってるんだっけ。」
「もはや鉄道のくくりで良いのかな?とも思うけどね。」
「『リニアモーター』に『浮上』の意味が無いって、言われてみればそのとおりですね。」
「朝洗面台に行って、リニアモーター使った髭剃りがフワフワ浮いてたりしたら、びっくりするだろうね。」




