229.図鑑(1)
「昨日本屋さんで立ち読みしてたんだけど。」
「お行儀がよろしいことで。」
「いや、最初はちょっとパラパラって見るだけのつもりだったんだよ。」
「ひょっとしてエッチな本?」
「違うよっ!ちょっと気になったんで子供用の絵本とか図鑑のコーナーに行ってみたんだ。」
「通報されないように気を付けてね。」
「トモが俺のことどう思ってるのか良く分かったよ。」
「ついね、言ってみたくなっちゃうんだよね。」
「あの…、話進めませんか?」
「そうだよね。鉄道の絵本とか図鑑とか、そういうの見てみたんだよ。」
「ああ、そういうの結構たくさん出てるよね。」
「あれ、やばいよ。びっくりした。」
「何?洗脳しようとしてる本でもあった?」
「うん。絵本でも結構内容が本格的なのがあったし。」
「え?冗談のつもりだったんだけど。」
「本格的な絵本って、何か矛盾してる気がするんですけど。」
「そう思うでしょ。でも、絵とかリアルだし、子供にわかるの?って感じの用語が入ってたり。」
「ひょっとしてトモ先輩は、そういうので英才教育受けたんでしょうか。」
「う~ん。そういう絵本は持ってなかったな。鉄道の図鑑みたいのはあったけど。」
「そうそう。図鑑も凄かった。トモから聞いたようなことも、無いようなことも、いろいろ書いてあった。」
「そんなレベルですか。子供の頃からそういうの読んでたらどうなるのか末恐ろしいですね。」
「トモみたいのがゴロゴロ発生したら不気味だよね。」
「僕に何かうらみでもあるんだろうか。」
「さっきの仕返しでございますよ。」
「そういう本を一冊置いておけば部室での話題に事欠かなそうですね。」
「図鑑さえ部室にあれば、僕はもう用済みのお払い箱ってことなんだね。」
「そんなことは言ってないじゃないか。これからも頼りにしてるさ。」
「なら、これからも付き合ってもらえる?」
「もちろんだよ!」
「ボクは何を見せられてるんですか?」




