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部活動はプレイボールした

野球に詳しくない方の為に後書きに用語解説を入れました。分かりやすく楽しんでいただけからと思います。

「それで……なんで折原がこの部にいるの?」

「いいでしょ? 部員が増えたのだから?」

「勘違いしないでよ! 私は鈴木を見張っているだけだから」

こうして、俺の知らないところで幼なじみが新部員として入る事になったらしい。


「でも何するのよ部活って」

折原は俺と千葉さんに問いかけた、率直な疑問なのだろう何せ、俺自身もこの部の定義を完全に理解している訳では無い。

「この部は野球を観戦する部活よ、だから主な活動は野球観戦よ」

ドヤっとした顔で見てくる千葉さんにそれは、何となく分かっているわと小声でハモりながら呟いた。

「でも、野球観戦って平日は大体十八時プレイボールでしょ? 土日祝しか野球観戦できないじゃない」

全うな意見に反論はあるのだろうと千葉さんの方を眺めるが、確かに! と言っているような驚いた目をしていた。

「千葉さんもしかして何も考えてないんですか?」

千葉さんは図星をつかれたのだろう目をオロオロと泳がせる。

その様子に折原は「はぁ」とため息を一つつき呆れてみせた。

「じゃあ、まず今日はその事を議題に置いて話さないとね?」

「それに、あともう一人の部員どうするんですか?」

今まで、目を泳がしていた千葉さんは更なる図星をつかれ等々、俺たちから目を背け始めた。

「まぁ、それはポスターを張っているし、来るでしょ……多分ね」

「最後の多分ねって聞こえてるわよ?」

小声で言った多分ねだが、部室は閑かだったため二人にはハッキリと聞こえた。

「課題だらけじゃない! この部活」

「ふふっ、来年の東京ゴッサムズみたいね?」

こちらを向き、千葉さんは笑顔をみせる。

「何、言ってんのよ! こんな時に……そもそもあたしたちが応援してるリーグと違うでしょ? ゴッサムズは」

「まぁ、そうね日本シリーズでヤ•リーグに形無しのチームをディスっても仕方ないわね」

二人の会話は恨みがあるかのようにボコボコにディスりまくっていた。

「気が合うわね」

「そうね、いつも話が合わなかったのに、それとやっぱり野球が好きなのね?」

図星をつかれた仕返しか、折原に質問する。

「はぁ! 別に好きじゃないし! この部にいるのも鈴木の監視をするためであって、野球とかそこまで興味無いし!」

顔を少し赤らめ早口で否定する折原の様は大好きと言っているようなものだった。

「っていうか! 今日は何するのよ!」

話をすり替えた折原は、慌ててそう聞く。

「そうね? 例えば昨日のプロ野球ニュースの確認とかどうかしら?」

「でも、どうやって観るんですか? もしかしてヤーキューブに上がっている動画とかですか?」

半分冗談くらいで言うと千葉さんは少し不機嫌になった。もしかして、違法な事に対して怒っているのかなどとも考えたが……

「ダメよ! それは、だって……あの動画、その日のホームランとファインプレー集が全カットされているのよ!」

「怒るとこそこですか?」

手を机にバンと叩きつけ前のめりになりながら「あれがないとただのニュースよ! プロ野球ニュースはあの名物企画あってこそなの!」と演説しだした。

千葉さんの気迫に押され、返す言葉が口から出なかった。

「でも俺、確かにプロ野球ニュースは見た事ないですね?」

「あたしも無いわ」

「じゃあいつもはニュースを何で見ているの?」

「俺は、基本夜のニュースで」

「私はネットニュー、じゃなくて当然見てもいないわ!」

千葉さんも多分思っているが、折原はそろそろ野球が好きなのを認めたらどうだろうと俺は思った。

「それより、ヤーキューブじゃなかったら何で見るのよ?」

ふふっと千葉さんは笑みを浮かべ、部室の端にある真新しいダンボールをゴソゴソと開け始め、その中にある何かを迷いながら、引き抜いた。

「ごめんなさい、時間が少しかかってしまって」

そう謝る千葉さんの手には真っ白な面に黒字で数字が書かれたDVDが握られていた。

DVDのケースを開け、埃の被っているテレビと真新しいDVDプレイヤーの傍により、DVDプレイヤーを起動し、白いDVDを、中に入れテレビを付けた。

「もしかして、それが?」

折原も勘づいたのだろう、それがプロ野球ニュースの録画をしたDVDである事に「さぁ、始めるわよ? 私たちの部活動を」


プレイボール 試合開始の合図であり、平日は18時、休日や祝日に試合が行われる傾向があります。(例外もあり)また夜の試合はナイター、昼の試合はデイゲームと呼ばれています。


プロ野球ニュース 昔から続くご長寿番組であり、夜間にその日の試合の解説とホームラン&ファインプレー集を放映する番組

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