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笑いを我らに

緊張した面持ちの杉谷はゆっくりと左打席に入った。

折原のプレーのリクエストが失敗したが尚もチャンスの場面だ。

観客も俺達もこの場面では緊張せざるおえない。

「ここでの1点は大きいな?」

「そうですね」

俺は緊張しているからか、ヒーローインタビューの最初のような言葉が口から出ていた。


そのような緊張の打席。薮田くんの投げた初球はインコース低めにコントーロールされたストレート、審判はストライクのコールをした。

杉谷はバットをピクリとも動かさないで見逃した。

「打てなかったのかい?」

小林さんが不思議そうに俺へと問いかける。

「どうでしょう? あの球に手が出なかったのか……それとも冷静に見逃したのかも」


ベンチにいる俺達も観客席にいる観客も静寂を作り戦況を見つめ、その空気感はさながら本場の思わせる程の物とも思える。

薮田くんもこの緊迫した場面で力が入ったのだろう投じた2球目は大きく外れ杉谷の足元付近に行き会原くんが何とかとボールを止めた。


「当たった! 当たった! 当たった! 当たった!」

杉谷は大きな声で叫び。ボールと判定した審判にここに当たったとつま先を指で示した。

その抗議に審判の口から笑みがこぼれ、それが派生し俺達や観客にも笑みがこぼれる。

俺がこの杉谷の反応を見て杉谷が冷静に見逃したと言ったことに対して俺は杉谷を買いかぶりすぎていたと後悔していた。


杉谷の必死なアピールに大村先生も審判の元に駆け寄り先程の判定について話す。

それを見た杉谷は2人に駆け寄り、再び当たったつま先を指を指し「ここ、ここ当たった」とアピールをする。

「「わかったから! ちょっと待ってて」」

大村先生と審判にいさめられ、杉谷は渋々打席へと戻った。


「何やっとるんや? あいつ」

「さぁ……わ……わか、分からない……わよ」

呆れた阪田さんは頬杖をつきながら話すと隣でいつもツンツンしている折原は笑いを堪えていた。

「なぁ? 鈴木くん、あいついつもあんなんなんか?」

「そうですよ? 冷静って言ってた俺が恥ずかしいですよ」

このプレーで場を支配していた緊張感は断ち切れ、雰囲気もガラリと変わった。

「何はともあれ、これで皆の気持ちがリセット出来たわね?」

千葉さんはこの杉谷のプレイを好転的に捉えたが、緊張が解けたのは俺達だけではなく薮田くんもそうだった。


落ち着いた雰囲気に戻った薮田くんの投げた球はアウトコース高めに外れボール球になり、4球目真ん中に入ってきた球に杉谷がバットを出す。

打球はライト方向に飛ぶが打球は浅く2塁にいる平野さんは動く事が出来なかった。


「さぁ〜、頑張るぞぉ〜! お兄ちゃん達も見てくれてるかもしれないしぃ〜」

リラックスしつつも気合い十分なラフィーさんは初球からバットを出すもバットの下側で叩いてしまい、ボールはショートの前へと転がった。

「まずいかも?」

ラフィーさんは、そう零しながら全力で一塁へと走るがショートを守る田中さんは落ち着いて打球を捌き、アウトになってしまった。






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