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アレステリア国物語  作者: 鳩峰浦
第二章
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4 市場と夕闇

「っつったってさ。やっぱり分かんねーよ。」 マルカンティアの首都、ソレイユの中央通りの繁華街は、多くの人で賑わっていた。見慣れない服装、色とりどりの髪の毛、瞳、肌。


 アレステリア国の居住権を得るには、複雑な審査と、結構な額のお金が必要だと聞いたことがある。そのせいで、アレステリア国は、移民が少ない。商人の国、マルカンティアは真逆で、七繋ぎの国の中でも一番居住権を得やすいという。一番人口も多いし、住む人々の背景も様々だ。あらゆる国の品物が集まってきて、また各地に散っていく。


 夕日に照らされた市場をキョロキョロと見渡しながら、俺とキリンは夕食の買い出しに向かっていた。上空には飛行場に向かう数台の飛行艇が、夕陽を反射して、ゆっくりと進む流れ星のように煌めいている。


 俺たち5人は、ゼスト隊長の部屋で小一時間ほど会議を行った。というか、途中から半分尋問のような調査が行われた。


 いわく、俺たち5人のうち誰か、あるいは複数が、命を狙われていると。

 そんなこと言われても、俺たちはこの間警邏官試験に合格するまで、4年間も寄宿舎に閉じこもったような生活をしてきた。ようやく警邏官になって、初めてアレステリアを出たのが1か月前。 アレステリアの東端の港町レーレリアから、マルカンティアの首都、ソレイユに向かう直行便の小型飛行艇に乗った矢先、今回の事件に遭遇した。

 

 陸路や海路で首都ソレイユに向かうこともできたが、陸路は険しい山越えで難度が高いこと、スザク先生から餞別として、飛行艇のチケットをもらっていたことから、俺たち5人はあっさりと飛行艇に乗るルートを選んだ。

 空飛ぶ船なんて、考えただけでも楽しみだったし、それは5人全員同じだった。

 それがあんなことになるなんて。


 5人全員、どきどきしながら初めての飛行艇に乗り込んで、ほかの10人ほどいた乗客も皆席に着いた瞬間。


 飛行艇の外で爆発音と振動が響いた。

 船内に走る動揺。


 「爆弾が仕掛けられています!」

 誰かの声がどこかから響いた。 

 

 「乗客の方は船外へ!」

 「警邏官の方! 船内の確認を!」


 今思えば、怪しいと言えば怪しい。

 あの声の主は、誰だったんだ?


 だが、俺たち5人は、急に巻き込まれたトラブルに対して、冷静に、何もかもを疑えるほどの経験値がなかった。


 俺たちは顔を見合わせて、船内に誰も残っていないことを手分けして確認し。


 そして、ふわりと、飛行艇は地面を離れた。


 その後、レーレリア警邏官支部の調査で、爆弾なんてなかったこと、出発準備状態の小規模飛行艇を地面につなぎ止めていた錨を外した奴がいることが分かり、そっから先は調査中とのことだった。


 捜査の線としては、レーレリアの飛行艇会社に恨みがある者の犯行の可能性。

 あるいは、俺たち5人を狙った可能性がある、とのことだった。

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