24 島間交流6/異常、肥大化
しかし、不思議な行事だな。
島間交流、か。
やっぱり、こういう、みんなで騒ぐようなのは、苦手だ。
そう考えると、警邏官学校は、こんな騒がしい行事はなくて、過ごしやすかったな。無駄がなかった、というか。
教師も、生徒達に完全に自由にさせている。
だから、こんな風に抜け出して、森に潜っても、何も言われないし、怪しまれもしない。
まぁ、そもそも、生徒達はこの行事を異常なほど楽しみにしているから、自分のように、抜け出す、何てことが想定されないんだろうけど。
そして、やはり、これは想定どおり。
舗装された林道から少し藪の中を進むと、そこに広がる、異様な光景。
いや、これは自分の「調合・分析する力」が見せてくれる世界であって、他の人が見てもそうとは気付かないだろうけど。
植物達の、異常発育。
明らかに、定型発達から逸脱し、肥大化やアンバランスな部分的成熟、そしてその負担により枯れる。
特に気味が悪いのが、雌しべ、雄しべの肥大化。これは一体。
サンプルを採取して、保存用の皮鞄の中に入れる。
陽光島のサンプルと合わせて分析してみなくては。
「一人歩きは危険ですよ?」
心臓が飛び出るかと思った。
振り向くと、いつの間にか、そこには、白銀島の生徒達を引率していた、ファルメテウス氏が立っていた。
「すみません、自分は賑やかなのが苦手で」
「たまに、そういう生徒がいます。あなたは、陽光島の転入生の子ですね。お名前は?」
「スパナ、です」
「スパナ君、この辺りは、大きな蝙蝠が出ます。そろそろ日も沈みます。危険ですから、一緒にみんなの所に戻りましょう」
ファルメテウス氏は笑顔で、しかし、断ることを許さない、そんな気配を醸しだしながら、そう言った。
ここで抵抗しても怪しまれるだけだ。サンプルも採れたし、良しとしよう。
「ありがとうございます、実はちょっと道に迷って困っていたんです。学園の方に連れて行っていただけたら嬉しいです」
もちろん、とファルメテウス氏は優しそうな笑顔を浮かべた。
その笑顔を見て、何故か、ひどく不安な気持ちになった。
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