表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
川上英星は穴だらけ!  作者: タテワキ
《第10章》 そして今度は神界へ!?
97/135

頼もしき死神たち

デュークを残し、英星えいせい紫電しでんは2人で逃げる!

 僕と紫電しでんはデュークの「悪は必ず勝つ」という言葉を信じ、自ら開けた穴から乱戦状態の寝室を飛び出した。

 必ず帰って来いよ! デューク・フィレゾー!

 大穴の先は森に繋がっていた。寝室が1階でよかったなあ。

 紫電からスニーカーを受け取り、急いで履いた。


「壁に沿って逃げれば大聖堂の入口に近づくはずだよ!」

「でも……いきたちを捜さなきゃ!」

「そうだね……、とにかく大聖堂に入れそうな場所を探しながら進もう!」


 僕らは森の中を大聖堂の壁に沿って進む。

 《ドグマブラスト》によって地表はごっそりと消失し、砂岩さがんき出しになっていた。

 我がカースながら恐ろしい。

 紫電の両目は相変わらず血走っている。僕はニヤニヤしながら、


「紫電~。随分ずいぶんと必死だね~。そんなに僕を心配してくれてたの~?」

「いや、寝てないんだ。ここ日本で言えば国会でしょ? 国会で寝るなんて、それこそ絶対悪だよ」


 国会というのはお兄ちゃんなりの例えなんだろうけど。

 ……お兄ちゃんは無事だろうか。

 さっきはきつい言い方しちゃったなあ。


「そういえば紫電。あんたのワープでこんな所とっととオサラバできないの?」

「さっきから試してるんだけど、飛ぶのさえ無理なんだ。英星えいせいを助けた時はできたんだけどなあ」


 そう言って紫電は眉尻を下げる。

 なぜ飛ぶことすらできないんだろうか。


「じゅるるるるっ!」


 茂みから禍々まがまがしい音がした。


「なんだろう!? 英星!」

「う、うんっ!」


 僕と紫電は身構える。

 すると茂みの中から5匹のデススライムが飛び出して来た。

 真ん中の奴は鉢巻はちまきをしているけど、なんなんだろうあれ。

 彼ら(?)は僕らを見つけて安堵あんどしたのか、一斉に体を縮める。溜息ためいきをついたらしい。

 ……ええっと、こいつらもう味方なんだよね。

 味方だと考えた瞬間、なんだかかわいく見えてくるから不思議だ。

 鉢巻デススライムの体の一部がこんもりと小さな山のように盛り上がった。そしてくいくいとその山を振る。


「ついて来てって言ってるみたい! 行こう英星!」


 ああ、デススライムはかわいいなあ。1匹ペットにしたいわ。

 デススライム隊に誘導され、僕らは再び走り出す。


「この先は大きなステンドグラスがあるみたい。あかりに触れないようにね! 見つかっちゃう!」


 紫電にも誘導され、僕らは闇を駆ける。

 ……だが僕の運動神経が想いに応えてくれない。


「ちょ、ちょっと待って……! つ、疲れた……!」

「英星……、30秒も走ってないけど……」


 四つんいになって息を整える。


「英星……! そこは!」


 え? どうしたの紫電。


 なんとなく左を見ると、僕は大きなステンドグラスから漏れた灯りを全身に浴びていた。

 神界の大聖堂名物、透明度の高いステンドグラスだ。

 その先には多くの神族たちが驚いたような顔をしている。


「げっ……」


 僕は固まった。


「いたぞおおおおおお!!」

「きゃあああああああ!!」


 ステンドグラスを突き破り、神族たちが雪崩なだれのように突っ込んで来た。

 紫電はわきに僕を抱えると、そのまま近くの巨大なの陰に隠れる。


「うう……紫電ごめんなさい。ごめんなさい……」

「いいよいいよ……。でも……あれだけ言ったのになあ……」


 神族たちは隊を二手に分け、僕らを捜す。だが、そんな僕のやらかしの功罪で大聖堂を護る神族の数が目に見えて手薄になった。

 僕らは目を合わす。


 ――突っ込むなら今しかない!!


 2人と5匹で大聖堂に向かって風のように駆け出した。


「ごめんねー!」


 流れるような身のこなしで、立ちはだかる神族たちを紫電が次々に斬り倒す。

 カッコいいなあ。


「《ブラッディエッジ》!」


 僕もカースで神族たちを料理していく。

 僕もカッコいいなあ。


「じゅるっ! じゅるじゅるっ!」


 デススライムたちは神族たちをかじり殺していく。

 こいつらはえげつないな。


「英星! ダメだ敵が多すぎるよ!」


 剣を払いながら、紫電が珍しく弱音を吐いた。


「くっ! 粋たちの寝室はどこ!?」

「ぴぎゃ――っ!」


 ああっ! デススライムに神族の放った矢が刺さっている!

 デススライムが1匹蒸発するようにして消えた。


「紫電! デスリンが! デスリンがぁ!」

「いつの間に名前付いてんの!」


 このままでは残りのデスすけ、デスお、デスたろう、そしてデシューの命も危うい。

 紫電は敵の攻撃を防ぐだけで精一杯だ。

 僕もかろうじてデススライム隊を護っている。


「紫電、さすがにこれは詰んだんじゃあ……!」

「あきらめるのは早いですよ!」


 もはや壁のようになっている神族たちの向こうから、何者かの声がした。

 次の瞬間、神族の壁が大鎌によって一掃される。


 粋と王児おうじ、それからお兄ちゃんを引き連れて、不敵な笑みを浮かべながら。


 大鎌を携えたワイズマンが立っていた。



なんとワイズマンが登場!

神族たちから逃げきれ! 英星たち!!


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ