空飛ぶ遊覧船・紫電号
巨大化したワイズマンと相対する英星と紫電!
愛の力で撃破なるか!?
より怪物みが増したワイズマン。
しょうがない、怪物退治だ!
「はあっ!!」
空中に攻撃の魔法陣を展開させる。
紫電が抱きかかえてくれているからだけど、空中から攻撃するのってカッコいい!
初めて使う力。……けど、何故か扱い方が解っている気がした。
この力は一体――――――?
この際どうでもいいや!
僕の額のコウモリの紋章は輝きを増し――――――。
「ぐおおおおおっ! その紋章を輝かせるな!」
ワイズマンが苦しそうな声をあげ、顔を押さえる。
「英星! 今だ!!」
「はああああああああああああああっ!!」
紫電の合図とともに、僕はそれにこの怪物を攻撃せよと命じた。
一筋の流星がきらりと空に光り――――――、
「ぐぎょおおおおおおおおおおお!!」
流星がワイズマンの身体を弾丸のように貫いた。
「ぐうっ…………!!」
巨大な死神が片膝をつき、倒れる。
ん? 巨大な死神が…………?
「きゃあああああああああっ!!」
「わああああああああああっ!!」
しまった! 粋や王児を忘れていた。
こともあろうにワイズマンは僕の仲間たちに向かって倒れていく。
「ほら、王児走って!」
「オ、オレ運動は苦手で…………わあっ!」
王児がすっころんだ。
アカン。王児が潰されてハムになる――――!!
「これはボクの新しい力なんだけどね」
紫電が言う。
瞬きした瞬間、光に包まれ、僕の目には倒れてくるワイズマンがドアップで映った。
あれ? これはどういうことなの?
「自分の身体の一部が付着したところにはワープ出来るようになったんだ!」
そう得意げに言う紫電の手にはアイスの棒が。
そっかそっか! そういえば紫電の唾液が付いたアイスの棒をこの辺にポイ捨てしていたっけ!
…………あまり褒められたことじゃないけども、体の一部というのは生前でも死後でも関係ないようだ。なんとありがたい能力!
僕と紫電は王児を抱きかかえ、再び上空へと飛び立ち――――、
次に地上を見た時にはワイズマンが、ずううんと音を立てて先ほどまで僕らがいた所に倒れ伏した。
まさに間一髪。
凄まじい砂ぼこりが舞う。……って、王児が目をキラキラさせているな。これはどうしたんだ?
「王児? どうしたのよ?」
「オレ空を飛んでますね。カッコいい……カッコいいです。カッコいい…………!」
「はいはい、もう、変なところでお子ちゃまなんだから…………」
「ちょっと紫電! あたしも乗せなさいよ~! えっとその……空飛んでみたい~!」
粋の声が地上から聞こえる。
お子ちゃまがもう1人いたか。
ん? そういえばお兄ちゃんは?
「そうか……キルンベルガー。やはり英星は…………!」
「そういうことだ」
おい! お兄ちゃんがキルンベルガーと何か話してるよ!
死神族は……特にキルンベルガーなんて絶対悪の中の絶対悪だろ!
「ねえ! お兄ちゃん! 何を仲良く敵の親玉と話してるのよ!」
「……………………」
お兄ちゃんの様子がおかしい。
「まさかお兄ちゃんまでキルンベルガーの魅了にやられたの!?」
紫電とともに地上に降りる。
傍ではワイズマンが大きな体で苦しそうに蠢いていた。
「こいつ……! とっとと倒しちゃお!」
とどめを刺そうとダルボワ文字で綴りを刻む。
死神族なんて絶対悪。
いるだけ害悪よ。
しかし………………指が止まった。
何故か……何故かこれ以上ダルボワ文字が綴れない。
なんで!? どうして!?
クラリスと戦った時には無かった感情が僕の中に芽生えていた。
「い……痛い…………苦しい…………! 早く……早く殺せえ………………っ!」
ワイズマンの声が鼓膜を激しく震わせる。
僕はダルボワ文字を諦め、暗黒の魔法陣を足元に展開した。
この新たな力なら……!
…………ダメ。…………やっぱり殺せない。
キルンベルガーを見る。
敵の親玉の眼は、懐かしいものを見る慈愛に満ちた眼のようにも感じられた。
「見ないでよ…………! そんな眼で見ないでよおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「英星! しっかり!」
両膝から崩れた僕の身体を、紫電が受け止める。
「あう……うううう…………!」
「大丈夫だよ英星! みんなついてる」
僕……またおかしくなっちゃったの?
紫電の法衣に顔を埋め、嗚咽する。
「英星お兄さん……大丈夫ですか?」
ちらと仲間たちを見る。
みんな心配そうだ。
すると粋が話しかけづらそうにしながら。
「紫電。あんたの死体から荒波の剣持って来たよ」
「わー……ボクの死体から? あ……ありがとう粋…………」
紫電が荒波の剣を手に取った音がした。
剣が輝きだす。そして――――――!
『ふぁ~あ、……よく寝たわい。この気配…………キルンベルガーか…………?』
え…………? 剣が喋った…………!?
今は剣も喋る時代に。
喋る剣、1振り300万円から!(ウソです)
次回もお楽しみに!




