2>>■ セッドリー視点1
婿に行くのだと婚約者を紹介された時、俺はこの可愛い子を守らなくちゃいけないんだと理解した。
婿に行っても当主になれる訳じゃない。それでも三男に産まれて、将来の不安を考えながら成長しなくてすんだ事はこの上なく恵まれた事だと知っていた。
頑張らなくちゃ、と思った。
婚約者のアリシュアに会いにキゥーズダム伯爵家に行くと必ずアリシュアの姉の婚約者のカハル様もそこに居た。
将来はきょうだいになるのだから今からみんなで仲良くしていこうとアリシュアとティナリア姉様が言った。
年上の侯爵令息と会うのはカハル様が初めてだったから最初は凄く緊張したけれど、カハル様は気さくに俺に話しかけてくれて、俺たちが仲良くなるのにそんなに時間はかからなかった。
それはアリシュアと親しくなるよりも早かったかもしれない。
でもそれは当然で。
将来の妻になる女性と、直ぐに友達になれる同性と、親交を深める速さが同じな訳はなかった。
俺とカハル様はすぐに友達になった。
互いに剣が好きで、本を読むことが好きなアリシュアと居る事より俺はカハル様と剣を振っている事を選んだ。そんな俺たちをアリシュアとティナリア姉様は微笑みながら見守ってくれた。
この4人で将来『家族』になれるなんて最高だと思っていた。
……その思いが変わったのは学園に入学してからだった。
寮では親の目が無い。
門限はあるけど、ルールさえ守っていればそれ以外は自由だった。
大人の目がないと、心はこんなにも自由になるのかと驚いた。
俺はハル兄と一緒にダンジョンに行きまくった。
学園のルールでは試験で平均点を取っていて素行不良で先生から指導などを受けていなければ、学園から支給されているダンジョン用の学生証を使って指定された時間内だけダンジョンに行く事が出来た。
1度でも時間を破るとそれは無効になったけれど、俺とハル兄はルールだけは破らないように慎重に活動した。こんな楽しみを取り上げられるなんて考えたくもなかったから。
そんな事をしているから、俺とハル兄の仲はもっともっと親しくなっていた。
それはもう姉妹の婚約者同士の仲ではなかった。
親友……同志…………
“仲間”、なんて言葉じゃ物足りないくらいに俺とハル兄は心を通わせていった。




