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#16:魔族もマゾ君達もいる世界

僕はこの不思議な世界の中で白・黒両方を兼ね備えた灰の王となった。

そして白の象徴としてひよるを、黒の象徴として真央を置いた。


ほどなくして僕の元に二人のヴァルキュリアがやって来た。


「王!お久しゅう御座います。」

「私達の事、わかりますか?」


何とファートとカーラにそっくりなヴァルキュリア達だった。


「ファート、カーラ・・・戻って来てくれたんだね?」


「はい。ヴァルキュリアの魂は永遠不滅です。

 これからも高潔な戦いのためにこの身を捧げます。」


二人が戻ってくれた事に僕はとても安心した。

そうして僕は3日後に戴冠式の祝杯を挙げるため、国中に告げた。


『全ての魔族もマゾもヴァルキュリアも人間も平等である。

 それを示す祭を元研究所のあった場所で執り行う。

 全ての民、生きとし生ける者達は参加するように。』


こうして3日後の祭はとても盛大なものとなった。

広大な敷地にこの大陸の全ての者が集まり、

飲めや歌えやの大騒ぎとなり、魔族もマゾも人間達も

そしてヴァルキュリアも皆が仲良く輪を作っていた。


そして、僕とひよる、真央の戴冠式となった。

僕は灰の王として白黒両方を統べるが、

白と黒の女王はあくまで二人が担う部分なのだ。


まず、黒の女王の戴冠式として、僕は四つん這いになり、

口に王冠を咥えて半裸になり真央にそれを届けた。

真央は僕の顔に唾を吐き付けてそれを受け取った。

最後に僕を蹴り飛ばし、黒の女王の新たな門出となった。


そして次に僕はひよるの元に寄り添い、誓いのキスをした。

その際に僕の顔にこびりついた真央の唾をひよるが拭った。

彼女は目に涙を浮かべながら言った。


「まさか、お前とこんな事になるとはな・・・。

 ずっと純潔でいようと思っていたのに、人生はわからぬな。

 ありがとう、私を受け入れて、選んでくれて。」


式典は旧・白の女王こと、スクルドが執り行った。

しかし依然として、ある問題が解決されないままであった。


それは『出生率の完全停止』と言う問題だった。

マゾになった男達に男としての魅力を感じなくなった女達は

子を産む事を止めてしまい、この国は子供が生まれなくなった。


僕は言った。


「女達よ。待つばかりでは叶わぬぞ。これからは搾り取るのだ。

 マゾの子が生まれたら困る?何が困るものか。

 見よ、この平和なさまを。マゾこそが平和の象徴なのだ。」


しかし女達は納得しなかった。

強い子種が欲しい。その願いに対してマゾ男達はやはり役不足だった。


そこへ真央が耳打ちをして来た。


「ふふ。いっそさぁ『魔族の子』を産ませちゃえばぁ?」


さすがは黒の女王、恐ろしい提案だ。僕はゾクッとした。

人間が魔族の子を?

しかし、目の前で広がっている平和な光景を見て、

僕はそれもアリかも知れないと思った。


「よし、人間の女性達よ。もしマゾ男達が物足りないと言うなら、

 魔族と子を成すのだ。彼らの中にもマゾはいるが、

 サドやノーマルもいる。もうこれからは人間だけの世では無い。

 魔族と子を成せば、真の平和は色濃くなるだろう。」


そうして僕の言葉を聞いた魔族達は一瞬戸惑いながらも、

目が合った女性と交わり始めた。

アチラコチラで行われる激しい行為に、場は異様な空気を放った。


しかしそんな中で、悔しそうに涙するマゾ達が現れた。

そして負けじとその男達も女達を犯し始めた。

こうして人々は、そして魔族はあらゆる自由の中に生きる事になった。

子を成しても良い、成さなくても良い。寝取られても良い。

マゾでも良い、魔族でも良い。マゾでも魔族で無くても構わない。


こうして全国民を集めた夜は熱狂の内に過ぎて行き、

それから3年が経った。


━━━。


今ではもう、人と魔族の子も珍しくない。

そしてマゾ化が解かれた、いや自ら解いた男達もいる。

誰もが自由を享受し、それでもマゾでいる者達も多かった。

それは人もマゾも同じように、だ。


『あぁ~、もっとイジめて下さい~!!』


平和な世界だからこそ、人々の心には余裕が生まれ、

平和だからこそイジめると言う行為が一つの刺激になっていた。

マゾイジめは趣味と言うか人々のライフワークになっていた。


イジめても良い、イジめられても良い。

ただマゾと言う生き方が否定される事はもうこの国では無い。


真央が言った。


「ねぇ、アンタのじゃない子種で妊娠しちゃった。

 悔しい?ねぇ、悔しい?」


悔しかった。僕の事を必要と言っておきながら、

結局は他の男の子種を宿したと言うのか。

心と体の奥の方がカァーっと熱くなった。


「ホラ、垂れて来てるコレを舐め取れば、

 少しは何とかなるかもよ?もちろん舐めるよね?」


もちろん僕はそれを舐め取った。

ゾクゾクという被虐心が心を揺さぶった。


そうして、次にひよるから呼び出された。


「真央に随分とイジめられたようだな。

 安心しろ。私はお前をちゃんと男として受け入れるぞ。

 ホラ、真央とは叶わなかった事を私にしろ。」


こうして僕は灰の王として、真央と魔族の間に出来たサドの子供と

ひよるとの間に出来た人間のマゾの子供がいた。


そして僕の王としての在り方は大陸を超えて海を渡り、

他国へも噂となり広がった。

多くの国々が詰めかけて、平和を実現した国として教えを請いに来た。


「ただ受け入れれば良いんだよ。マゾとか魔族とか関係なく。」


僕のその言葉は世界標準となり、

やがて全ての国はあらゆる存在を受け入れた。


やがて数年の後、謎の生命体が空より舞い降りて来た。


「地球の概念パラレルとしてのこの世界、ついに真の平和に行き着いたね。

 さぁ、キミ達の意識を次の次元へと招待するよ。」


そして地上にいた生命体は全て消え去り、新たな地球へと移行した。

地上にはただ、白と黒の王の冠と鞭とさびた剣だけが残った。

それらはここで何があったのかを物語る最低限の遺物だった。

その後、この地上に次の生命体があったのかはわからない。


ただ一つ確実な事は、マゾが鍵となり世界平和を導いた事。

そして宇宙はそれから数えられない程の時を経て閉じた。


━━━。


━━━。


━━━━━━。


僕はハッと目を覚ました。


夢、にしては長過ぎた。

だけど部屋の様子は仕事をして眠りに就いた時と何も変わっていなかった。

そこへ夜中だと言うのにチャイムの音が鳴った。


僕は訝し気に外へ出ると、真央が居た。


「ごめん、やっぱりやり直そう。」


とりあえず話を聞こうと部屋に招き入れた所、

リビングを見て僕はギョッとして心臓が飛び出そうになった。


そこには、・・・


ひよるが居たのだ。

現代の服装を身に纏って。


「何だ、私がいちゃ悪いのか?お前の彼女だろう?」


僕は混乱したが、何故か記憶があった。

ひよるは・・・確かに僕の彼女だ。

何故、忘れていたんだ?


しかし既に真央を家の中に招き入れてしまっていた。


「ねぇ、やっぱりイジめさせてくれないかな?

 アタシ、自分がマゾ好きだって今更気付いちゃって。」


僕はハッとしてひよるの方を見た。

こんな事をして、一体どれだけ怒られるのか。


しかし、彼女は意外にもケロッとしていた。


「良いんじゃないか?

 ただし本命は私という条件付きでだ。

 どうせその女は他で子供を作って来るだろ。

 イジめられるだけなら、好きにしてくれば良い。」


僕は先程まで見ていたのが夢なのか何なのかわからなくなった。

しかし一つ確実な事はあの世界では僕は主人公であり王になった。

そしてこの現実世界でも僕は現実創造の力を持った王になれると言う事。


僕はひよるにキスをした後、真央にイジめられる為に夜の街へと消えた。


マゾだって良い。マゾで無くても良い。ただ、自分であれば良い。

この世界の真理なんて、ただそれだけなのだと気付いたのだった。


━Fin.━


挿絵(By みてみん)

全ての命が等しく平等な世界

ここまでお読み頂きありがとうございました!!


ご感想等頂けましたら、とても嬉しいです!!

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