七
サラ。俺の愛していた人。青い瞳がとても綺麗で気が強くって良く笑っていた人。
「ごめんね。トビー。君の傍にはもういられないみたい。私、撃たれちゃったんだ。もう死ぬんだって」
「大丈夫だ。父さんに頼む。父さんが研究してる技術を使えば生き返る事ができる」
「じゃあ絶対に生き返らせて。生き返ったら復讐する。私と私の家族を殺した政府の奴らを皆殺しにしてやる」
「俺もやる。同じような思いをしてる人達を集めて組織を作ろう。今のこの理不尽で不条理な世界を変えるんだ」
「もう駄目みたい」
「大丈夫。また会える」
「トビー。愛してる」
「俺もだサラ」
サラとは幼馴染でずっと一緒にいた。高校生になり俺達は付き合うようになった。それからすぐにサラは死んだ。この国の安定の為にと政府が行っている言論統制のせいだ。サラの父親は新聞記者でこの国のやり方は間違っていると言って政府と戦っていた。サラとサラの家族は政府の奴らに殺された。
「サラ? 私はアクレイギア。そう名乗るって決めたの。元々は花の名前なの。この花の花言葉は知ってる? え? 何も知らない? じゃあ教えてあげる。色によっても違うんだけどね。捨てられた恋人。勝利への誓い。私はこの二つが気に入ったの」
「捨てられてないって? そうかな。これからそうなる思う。だってさ。私、何度も死ぬよ。君、耐えられる?」
サラ、いや、アクレイギアは俺に言った通り何度も死んだ。何度も何度も何度も何度も。だが彼女は決して諦めなかった。彼女が死と引き換えに得た生き返るという能力と変身できるという能力が彼女を活躍させそれとともに二人で作った反政府組織は大きくなって行った。様々な人や色々は反政府組織を飲み込んで肥大化した組織はいつしか俺とアクレイギアが最初に望んでいた物とは違う物になって行った。
「トビー。今度は君だね。大丈夫。必ず生き返る。アクと一緒に永遠に生きよう」
ついに俺が死ぬ時が来た。いつかこうなるとは思っていた。政府の奴らに撃たれたのだ。
「アクレイギア。ごめん。俺には無理そうだ。これ以上お前の死に耐えられそうにない。もう見たくないんだ。傷付き死んで行くお前の事を」
「ほら。やっぱりこうなった。昔、アクが言ったよね? 君は耐えられないって。でも、アクは君に死んで欲しくない。君はアクは生き返らせた。だから今度は君の番。アクのお願い聞いてくれるでしょ?」
「じゃあ、脳を壊してくれ。記憶をなくして何も覚えられないようにしてくれ。もう何もいらない。それでも良いなら生き返らせてくれ」
「君は酷い。アクがそれで苦しむって分かってるのに。でも良いよ。君は今まで頑張ってくれたもん。うふ。また同じような事を言うよ。今度はアクの番だ。君を失う辛さを何度も味わうよ。けど、アクは我慢する。復讐と君の為に生き続ける」
「アクレイギア。ごめん」
「大丈夫。いつかきっと君は戻って来る」
俺は死んだ。
俺の名前は、えっと、なんだったか。思い出せない。ああ。そっか。いつもそうだったかも知れない。だがコードネームは覚えている。キリツギ。そう。そうだ。俺は自分をキリツギと呼んでいる。二十歳の男で軍国主義普及委員会の生体兵器実験部隊に所属しそこで与えられた死んでも必ず生き返るという能力を使って実験という名の作戦に参加している。




