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死神 

 【critical】と【Miss】の表示でツミルの視界が埋る。

 突如として現れた黒いローブを着るアバターは短剣使いだ。動きは洗礼されているが極度に速いというわけではない。


 現れて十秒程で先頭を歩いていたセト、ナナミ、ハリュカ、ヒメウサギが【kill】されてしまい、残るはツミルとリクラスとリミットのみだ。


「えっ、何!」

 リクラスは驚きを隠せずにして剣に手をつける。周囲の様子を窺うように視線を泳がす。


「何もいない」

 リミットは本来黒い瞳のアバターだが、スキル【隠視】を使い瞳を白く輝かせる。【隠視】は見えないものを見えるようにするスキルだ。


「【隠視】でも見えないってことは【死神】が出たのね」


 リクラスは剣呑な趣で告げると、地面を踏み切り乱雑に走り出す。壁を蹴り天井を蹴りまるで弾けるゴムポールのような動きだ。あまりの速さで音だけが洞窟内に響く。


 ツミルは動揺を隠せない。殺られた四人は現在解放されているlevelの限界点まで到達している。彼らを一瞬にして殺してしまうその強さは異常だ。


 黒いローブを着るアバターの足元にはdead状態のセト、ナナミ、ヒメウサギ、ハリュカのアバターが転がっている。【死神】は勢いよくセトへと短剣を両手持ちで叩きつけるとdead状態のアバターは光の粒子へと化した。


「斎藤っ」

 リミットはセトの消滅に驚く。彼女の瞳に映るものは「何もないところからアバターが殺された」事実だ。

 【死神】は次にナナミへと短剣の刃先を向け、体重を乗せるように突き刺す瞬間、リクラスの剣撃か擦り【死神】の短剣を弾き飛ばす。


 【死神】の持っていた黒い短剣が音を立て床へと転がるとリクラスとリミットの視界にその黒い短剣が映る。

 【死神】は右手を動かす。新しく出す装備も黒い刃にドクロなデザインの柄の斧である。


「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すっ」


 【死神】の声はツミルにしか届いていない。平淡な女性らしき声に呼応するように黒いオーラを発し纏い始める。

 千鳥足で斧を引きずる【死神】。着る黒いローブから赤い光が覗く。殺意に溺れた狂人は片手で斧を振り上げる。


 直後、【死神】の殺意のオーラは斧へと収束する。持ち上げる力を失い弧を描くように斧は落ちるとその軌跡は黒く空間を歪めていた。斧の先端はその歪みに飲まれている。


「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺したっ」


「うそっ」


 【死神】の周囲は黒く空間を抉りとられそこにあったはずの全てを闇に飲み込めていた。

 黒いオーラが消えると同時に闇に飲まれた空間は元の形を戻す。そこにあったはずのアバターの亡骸はなく、リクラスの姿がない。


「一里塚が殺られた」

 リミットは青ざめた顔で腰を抜かしていた。

「スッキリしたな。次はぁ」


 【死神】はツミルとリミットを見る。


「君かな」

 

 ゆらりゆらりと一歩ずつ前進してくる。無邪気に蟻を殺している子供のような歪んだ笑顔は隠れて見えない。


「に、逃げよ」

「えっ」


 リミットは声を震わせ言う。


「見えないかもしれないけどいるんだよ【死神】がっ」

 ツミルには【死神】が見える。だが、リミットは認識することができないようだ。


「逃がさないよ」

 斧を捨て、別の短剣を出す。

 ふらりふらりと近いてくる【死神】。


「早くっ」

 リミットはツミルの腕を掴み引っ張る。


「あのっ、俺が引き付けるから君は逃げて」

「引き付けるって、えっ?」


 ツミルは言うとその青い瞳の色を銀色へと変化させ、白い輝きを纏う。このスキルでどこまで戦えるかはツミルにはわからなかった。それでも足止め程度はできるはずだと思う。


 ━━【月光狼】スキル発動

 

 

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