菜の花の女学生第1話
2作目です。
こちらも統合作品です。
「きゃっ!!」
私は雨の中を歩いて帰る。たった1人で。傘もささずに。
水溜まりに足を入れて転倒してしまった。袴の裾も振り袖もびしょびしょで泥だらけ。
「お姉様の青地に白い花の振り袖素敵だわ。」
大好きなあの娘が褒めてくれた振り袖も汚れてしまった。足元には髪飾りも落ちている。あの娘とお揃いの黄色い菜の花の髪飾り。でもそんなものもうどうだっていいわ。だってあの娘はもういないのだから。
「大丈夫ですか?」
私の前に手が差しのべられる。
「はい。」
顔を上げると目の前に少女が立っている。年はあの娘と同じくらいかしら?私が着てる袴とは違い丸襟の白ブラウスに胸元にリボンをつけグレイのジャンパースカートという洋装だ。
近年洋装の制服を取り入れてる女学校もあると聞くが彼女の女学校もそうなのだろう。
「まあ、泥だらけじゃない。」
彼女は鞄からハンカチーフを取り出すと袴の裾や振り袖についた泥を拭き取ってくれる。
「ありがとうございます。でも平気です。それに貴女のハンカチーフが。」
「構わないわ。家に戻ったら女中に洗ってもらえるし、私妹がいつも泥遊びするからこういうの慣れてるんです。」
「妹」
その言葉を聞いてうつ向く。
「大丈夫ですか?さきほどから顔色が悪いわよ。」
私は号泣しながら妹とのことを話す。
彼女は私の話を聞いてくれた。
「私、妹に裏切られてしまったの。あの娘は私より他の人が好きなのよ。ずっと一緒にいましょうって誓ったはずなのに。」
「貴女も辛かったのですね。でもくよくよしても仕方ありませんよ。」
彼女は私の手を握り慰めてくれる。
彼女は妹と同じ学年の2年生ではるこさんというそう。はるこさんも妹と今朝喧嘩してしまったらしい。はるこさんの場合は私と違い血の繋がった妹だが。同じ女学校の初等部に通っているという。
「私が楽しみにしていたプリン食べてしまったの。それでお姉様なんか大嫌いだ。いなくなっちゃえって言われてしまったの。」
雨宿りをしながらそんな話をする。
「そんなこともありますよ。だからあまり思い悩んではいけません。貴女の妹さんも話せば分かってくれますよ。」
血の繋がった妹がいるのか年下なのに自分よりもしっかりして見えます。
はるこさんは私と帰る方向なので傘に入れてもらって一緒に帰ることにしました。
「はるこさん、私が持つわ。」
私ははる子さんの白いレースの傘を代わりに持ちました。。私達は一緒に歩き出します。
「はるこさんはどちらの女学校に?」
歩きながら尋ねてみました。
「フェリス女学院です。」
私は立ち止まる。はるこさんは私と同じ女学校の生徒でした。