表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
近代乙女怪談物語集  作者: 白百合三咲
4/18

菜の花の女学生第1話

2作目です。

こちらも統合作品です。

「きゃっ!!」


私は雨の中を歩いて帰る。たった1人で。傘もささずに。

水溜まりに足を入れて転倒してしまった。袴の裾も振り袖もびしょびしょで泥だらけ。


「お姉様の青地に白い花の振り袖素敵だわ。」



大好きなあの娘が褒めてくれた振り袖も汚れてしまった。足元には髪飾りも落ちている。あの娘とお揃いの黄色い菜の花の髪飾り。でもそんなものもうどうだっていいわ。だってあの娘はもういないのだから。

 「大丈夫ですか?」

私の前に手が差しのべられる。

「はい。」

顔を上げると目の前に少女が立っている。年はあの娘と同じくらいかしら?私が着てる袴とは違い丸襟の白ブラウスに胸元にリボンをつけグレイのジャンパースカートという洋装だ。

 近年洋装の制服を取り入れてる女学校もあると聞くが彼女の女学校もそうなのだろう。

「まあ、泥だらけじゃない。」

彼女は鞄からハンカチーフを取り出すと袴の裾や振り袖についた泥を拭き取ってくれる。

「ありがとうございます。でも平気です。それに貴女のハンカチーフが。」

「構わないわ。家に戻ったら女中に洗ってもらえるし、私妹がいつも泥遊びするからこういうの慣れてるんです。」

「妹」

その言葉を聞いてうつ向く。

「大丈夫ですか?さきほどから顔色が悪いわよ。」

私は号泣しながら妹とのことを話す。

彼女は私の話を聞いてくれた。

「私、妹に裏切られてしまったの。あの娘は私より他の人が好きなのよ。ずっと一緒にいましょうって誓ったはずなのに。」

「貴女も辛かったのですね。でもくよくよしても仕方ありませんよ。」

彼女は私の手を握り慰めてくれる。

 彼女は妹と同じ学年の2年生ではるこさんというそう。はるこさんも妹と今朝喧嘩してしまったらしい。はるこさんの場合は私と違い血の繋がった妹だが。同じ女学校の初等部に通っているという。

「私が楽しみにしていたプリン食べてしまったの。それでお姉様なんか大嫌いだ。いなくなっちゃえって言われてしまったの。」

雨宿りをしながらそんな話をする。

「そんなこともありますよ。だからあまり思い悩んではいけません。貴女の妹さんも話せば分かってくれますよ。」

血の繋がった妹がいるのか年下なのに自分よりもしっかりして見えます。

 はるこさんは私と帰る方向なので傘に入れてもらって一緒に帰ることにしました。

「はるこさん、私が持つわ。」

私ははる子さんの白いレースの傘を代わりに持ちました。。私達は一緒に歩き出します。

「はるこさんはどちらの女学校に?」

歩きながら尋ねてみました。

「フェリス女学院です。」

私は立ち止まる。はるこさんは私と同じ女学校の生徒でした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ