菜の花の女学生第2話
「はるこさん、私もよ。私は4年生の水咲夏子というの。」
「まあ、先輩でしたのね。」
「はるこさん、何組?」
「2組です。」
妹とは同じ教室ではありませんでした。
「5組の菜々花まゆ子って分かるかしら?彼女が私の妹なの。」
はるこさんは妹を知らないようでした。教室が違うので無理はないでしょう。
「ごめんなさい。存じあげなくて今度5組の娘に聞いてみます。」
はるこさんがそう言ったとき
「お姉様!!」
どこからか声がした。
「お姉様!!」
あの娘がまゆ子が私を呼んでいるのでしょうか?
「夏子さんどうしたの?」
「まゆ子が私を呼んでるの。」
私ははるこさんの手を強く握る。
「お姉様!!」
「まゆ子?まゆ子が私を探してるのね!!」
「はるこお姉様!!」
「え?」
はるこさん?私じゃなくてはるこさんを?どうして?まゆ子は私じゃなくてはるこさんが好きなの?どうして?
「はるこお嬢様!!」
次の瞬間はるこは何者かに強く身体を引っ張られる!!
「きゃっ!!」
「お嬢様、お怪我はありませんか?」
「大島。」
はるこを引っ張ったのははるこの屋敷で働く執事の大島だった。
「お姉様!!」
「琴葉」
はるこの元に妹がやってくる。
「琴葉に大島。どうしてここに?」
「お姉様こそ線路の上で何やってたの?」
「線路?」
振り替えるとはるこの目の前の線路を列車が全速力で通過していった。線路の上には列車の下敷きになって無惨にも裂かれたはるこの傘が残されていた。
はるこは線路の上に立っていたのだ。列車の走行音にも気づかず。
「そうだ。夏子さんは?」
「お姉様。夏子さんって誰?」
「お嬢様、貴女は1人で線路の上に立っていましたよ。」
危険を感じた琴葉が大声ではるこを呼んでいたのだ。しかし琴葉の叫び声にも気づいておらず大島が車から降りて助けに行ったのだ。
琴葉は仲直りしようと大島と一緒に高島屋にプリンを買いに行ってたのだ。その帰り道だったのだ。
「今朝お姉様にいなくなっちゃえなんて言ったから本当にお姉様がいなくなると思いましたよ!!」
琴葉ははるこに抱きついて大声で泣き出す。
「ごめんね。琴葉。」
はるこは琴葉を抱き締める。その時
「もう少しだったのに。」
どこからか夏子の声が聞こえた。低く恐ろしい声だった。
「大島、急いで車を出して。」
怖くなったはるこは琴葉の手を引いて大島の車へと乗り込む。
(嘘でしょ?!)
車が発車する瞬間はるこは見てしまった。線路の真ん中に佇む袴姿の少女を。彼女は髪にボロボロになった菜の花を翳していた。




