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私の平穏はどこにある!?   作者: 崎坂 ヤヒト
四章
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依頼失敗(途中棄権)

お久しぶりです。

本当はもっと早く更新していくつもりだったのですが引っ越しや新学期の準備に追われ、ネタが思い付かないという、あ、これやばいな状況だったため更新が遅れました。

申し訳ありません_(._.)_

今回ようやく町に着きました!

この町ではテンプレもちょくちょく織り交ぜていこうと思っております。

どうかこれからも気長におつきあいのほどよろしくお願いします。


※メリル視点


「お願いします! 俺たちをここで雇ってください!」


私の目の前には土下座して頼み込む獣人の少年がいた。

彼の名前はミルト。私とカーダが盗賊のアジトから助け出した少年だ。

ちなみに一文無しで身分証もなく、頼れる親類もいないというおまけ付き。

話を聞いてみると共感できる面もなくはない。ミナのお母さんを殺したというその村人たちはぶっとばしてやりたい。


でも。

「そう言われてもねぇ~」


ヘンレさんは困り顔でミルトを見下ろす。

そう。だからといって彼らに協力するかと言うのは別。

まず身分証がないと言うのが大きい。身分が不明と言うのは交渉人にとっては言語道断なのだ。誰も、どこの誰かもわからないような、危険かもしれない人物に物を売りたいとは思わないだろう。

だからまず、彼らには身分証を用意してあげなければならない。

それだってもちろんお金がかかるし、そのお金はヘンレさん持ちだ。

さらに彼らの食事、生活するなら服も必要になってくるだろう。仕事も何ができるか分からないし、教育するにしても一からでは戦力になるまで時間がかかり過ぎる。

しかも二人だ。その苦労は二倍になる。

正直、ヘンレさんがこの二人を雇うメリットはあまりない。

見た感じ、この商隊の労働力は足りているしね。

ヘンレさんも同じ考えなようで、ミルトに説明している。


ミルトは俯いてしまった。

眼には悔し涙を溜めている。


「くそっ…。なあっ! 頼むよ! 何でもする! 雑用でも、靴磨きでも、食事だって自分で森から取ってくる!! あ、あと魔物! 魔物とだって戦える! だから、だから誰か! お願いだから!」


ミルトはすがるように、周りの大人たちに叫ぶ。

しかし、皆そんな姿に共感はしても手を差し伸べようとはしなかった。






たった一人を除いて。


「ふむ。では一人で食事も取れるし、魔物とも戦え、自分の生活費を稼ぐこともできる。ということでいいか?」


何を隠そう。私たちに彼を助けに向かわせた張本人である。

雅。正直色々謎な人物だ。

そして、こんなことを言った。


「冒険者になってみるのはどうだ? 金は依頼をこなせば入り、身分も保証される。うむ。これしかあるまい! 最初のうちは困ることもあろう。一つ目のランクが上がるまではわっちが面倒をみよう。わっちはこれでも【Sランク】だからな。金には困っておらんし、ランクが一つ上がるまでならそんなに長い期間でもない。どうだ? 正直これより良い条件は高望みと思うが」

「い、いいっ! それで、それがいいです! あ、ありがとうございます!」


うん。いい場面だ。漫画の一ページ見たい。

ていうかミルトって、雰囲気がものすごーく主人公っぽいんだよね。

なんていうかなぁ。こう。悲劇っ!って感じ。



「あ、そっか。人心掌握がうまいんだね」

「…おい」


うん。台無しだね。

でもさぁ、自分困ってます。って雰囲気をもろに出して同情を誘うってそうそうできることじゃないよ。ミルトはどうやらそれが上手いらしい。

自覚してるかどうかは別にして。

まあでも、雅が面倒を見ることになって良かった良かった。

これで私が巻き込まれたら溜まったもんじゃ「という訳でメリル殿」


ぽんっ、と肩を叩かれる。

(んっ?)


振り返るといい笑顔の雅に。


「これから一緒に頼むぞ」

「はっ?」

「ん? わっちはメリル殿にわっちの病気を治してもらう約束をしているし、今この者の面倒を見る約束もしてしまった。という訳で、メリル殿にわっちの病気を見てもらうまでは一緒にいねばなるまい。となれば当然この者もついてこよう」

「はぁああああああああああああああああああああああああああああ!?」






「えーっと。とりあえず、今回の護送は君たち三人は途中で抜ける。ってことでいいかな? 他の皆さんもしばらく療養を取るって言ってるし。依頼の出し直しかなぁ」

「まあ色々ありましたからねぇ」


実際、クロロの襲来から始まり、旅する人数も大分増えた。

皆最後は和んでたけど、いろいろ問題はある。

まず依頼だけど、元々Ⅽランク以上でないと受けられない上に、リーダー以外もⅮランク以上でなければならないという制約がある。

つまり駆け出しでは受けられないのだ。

これにミルトとミナの二人が引っかかる。

さらにミーアのことがある。

ミーアは冒険者じゃない。それ以前に子供である。

当然誰かが保護しなければならない。この場合は私。

で、そんな保護対象連れが護衛依頼を受けられるかと言うと。


NO! 答えはNOです。

という訳で私たちはこの街『ロムス』でミルトとミナがランクを上げるまで滞在することになりました。

『ロムス』は貿易で盛んな街で、物価がちょっと高い。

海に面している『クリック』や他の町からも物資が入ってきて、それを流通させているのだ。『クリック』も島と繫がってるけど、ほとんども物資は『ロムス』に流れるらしい。

代わりに店は揃ってるみたいだけど。

あ、ちなみに捕まえた盗賊は一人銀貨5枚になったよ。

犯罪奴隷になるんだって。今回はその際に支払われるお金の一部をとらえた冒険者がもらえることになり。


「なんでミナがもう必要な金稼いでるんだよ!」


盗賊のアジトに突っ込んでいった際、ミナが一人をぼこぼこにし、それ以外も数人殴り倒していたので報酬を貰っている。

というかカーダが渡したのだ。「じゃあこれはお前の分な」という気軽さで。

カーダってなんか…。

まあミナも「ニャー、ありがとう。ミルト君お金貰ったぁ~」

…鈍感なうえに天然って怖い。


こうして私たちはしばらくはロムスで獣人達の面倒を見ることになった。

流された………。



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