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私の平穏はどこにある!?   作者: 崎坂 ヤヒト
三章
36/45

眠れる侍(本当は起きてるんじゃないの!?)②

今回は難産でした。

ガチ戦闘ってこれでいいのかな? って何度も見直しました。

あ、ブックマーク200越えました。皆さん本当にありがとうございます!

そして総合評価も500越えです。ありがとうございます。

どうかこれからもよろしくお願いします。

ここは天界

そこで一人の天使が叫び上がっていた。


「ああああああああああああああああ!」


ビクッ


「ど、どうしたんですかネアさん? 急に叫び上がったりして」

「メリルが戦闘始めたのよ! しかも今度は一人でっ! 危ないことはしない様にって、あれほど言っておいたのに!」

「……またですか」


ネアはバカンスを早々に切り上げると、駆け足でここ、下界の様子が見える管理室へと飛び込んできた。

フィーナとガランはまだ下界にいるというのにだ。

たまにいるのだ。

本来、この期間限定の子育ては普段仕事で疲れている天使達の息抜きとして催されるもので、最後にバカンスしてすっきりして帰って来いと女神様が与えて下さった休暇期間なのだ。

そのためほとんどの天使はのびのび……というか適当にやるのだ。

しかし中には目の前のネアみたく、育てた子に情を移してしまう者もいる。

ネアは天使の中でも特に若いから余計にだろう。

なんだかんだでネアも人生経験が足りてないのだ。

いや、それにしたって。


「いい加減、下界を見続けるのもやめなさい。五日もぶっ続けじゃないですか。しかも見てるのは全部同じ子だし。軽くストーカーですよ」

「い、いいじゃない別に。まだ休みは終わってないでしょ! その間はいいでしょっ」

「いえ、流石に寝顔とか着替えとか体洗ってるシーンとか凝視しているのを横から見てると……引きますよ?」

「……いいじゃない、別に」


ネアは目を逸らして弱々しく言う。

流石に問題があるのは分かってるらしい。


「はぁ~。そんなに気に入ったんですか? 担当の子」

「まあ、そりゃ気に入るわよ。二年も一緒にいたんだしね。でも心配の尽きない子でもあるのよ」

「というと?」

「あの子の性格がね。また難儀なのよ」


ネアの口から聞いた情報は、きっと本人には言ってはならないものなのだろう。

おそらくその子自身が気づかなければならないもの。


「確かに難儀ですね」


自分で気づいてない『怖がりの淋しがり』なんて、扱いが大変だったことだろう。

データでは『精神』はAとなっていたが。


「危ない子みたいですね」


最悪、何かの拍子で崩れそうですね。




※メリル視点


「うわっ」


《ソニックブーム》が髪を掠めて、端の方が軽く切られる。

せっかく伸ばしてるのに―――って気にしてられないんだよね!


矢を三本、おそらく的の移動している方角であろう位置に撃ち込んでいく。

……音がしない。避けられた?


「っ!」


首のあった位置を、刃が通り抜ける。

いつの間にか接近されていたみたいだ。

速いよっ

私はブリッジみたいに体を捻って避けると、一瞬その相手をしっかりと視界に捕らえる機会があった。

そして、その目に映った光景に私はさらに驚愕した。

目、つむってる。……というか。


なんで口を半開きにしてよだれ垂らしてるかなぁ!


「く、かー」


よく聞けばこれ寝言だし。

状態異常? でも何の?

ゲームなんかと違って、現実であるこの世界では状態異常は専門の治療法を行わなければ治らない。

場合によってはそれ専用に調合する必要もある。

そもそもこれは状態異常なのだろうか? 眠りながら動く状態異常なんて私は知らないし。

いや、それ以前に。


接近……されてしまった。

眼前には煌めく刀が。


(最悪…)

「クロロオオオオオオ!」


ガアアアアアッ


私はその叫び声にハッとした。

それと同時に。


ゴッ


空中から突っ込んできたクロロの尻尾が目の前の少女を横から吹っ飛ばした。


「クロロ、ナイス! 後でお肉あげるねっ」


ガア~♪


こうして見るとクロロも可愛いものだ。

味方にすると本当に心強いしね。

あの緑髪の子もどっか吹っ飛んで行ったし。

私は《ウォーターミスト》を解除して、晴れた視界でミーアを探す。すると。


「あったのじゃ~!」

オオーン♪


いつの間にか、私が隠れるように言った茂美から出て目的の卵を探していたようだ。

どうやら私は、また囮役にさせられたらしい。

ウールまでいるし……。

本能的に私の側より安全だと感じたのだろうか?


「で、それが探してた卵?」


私はミーアの掲げる、ミーアの胴体ほどもある大きな卵を差して聞く。

すると、ミーアは嬉しそうに答えた。


「うむ。これがドラゴンの卵なのじゃ。もうすぐ孵るのじゃっ」


見た感じ、ただの白い卵だ。

ダチョウの卵と見た目に大差はない。


ピキ


「「!?」」


卵に……ひびがっ。

え? 本当にもう孵っちゃうの?


「おお~。頑張るのじゃ~♪」

「なんか、ほんといきなりだね……」


ピキパキ


罅はだんだん大きくなり、コツコツと内側から叩く音も聞こえて。


クワx『ザシュッ』


ドラゴンの第一声は、そんな鈍い音と重なった。


「………………………………………………へ?」


私はその光景が信じられなかった。いや、信じたくなかった。

だから、反応が遅れた。


「っ、ああああああああああああああああああああああああああああああ!」


私の右腕が、肘近くから両断されていた。

私はその痛みにのたうち回り、ミーアは思考停止してしまった。


「すー、くー」


辺りには、そんな風を切るような寝言と卵を必死に破ろうとするドラゴンの小さな鳴き声。そして、私の絶叫がそれらすべてを飲み込むようにして広がる。


「あ、ああああ! いだいいだいだいぢあ!」


こんな激痛は初めてだった。

お腹を大きく切った時でさえ、ここまでの痛みはなかった。

(し、死ぬ。死ぬ死ぬ。これ、死んじゃう!)


「メリル!」


ミーアがドラゴンの卵を抱えながら、駆け寄ってくる。


スパンッ


また、何かが宙を舞う。


「にゅううううううううああああああああああ!」


舞ったのは、ミーアの角だった。

どうやら運よく、体の方は斬られずに済んだらしい。

ただ、本人にとっては重要だったらしく。ミーアは卵を放り投げて頭を押さえる。


「わしの、わしの角おお! 二本とも……。ゆるさんのじゃあああっ!」


ガアアアアアアア!


ミーアが涙目で叫び、クロロがいつの間にか接近していた和服少女へと襲い掛かった。


ザシュッ


「…………へ?」


今度は、ミーアが間抜けな声を出す番だった。

そこにいるのは、剣を振り切った和服少女と、翼を切り落とされたクロロ。


グ、グルゥ!


片方の翼を落とされてもクロロは怯まず、尻尾で攻撃を仕掛ける。

しかし。


スパンッ


またしても結果は同じ。尻尾は、根元から切り落とされてしまっていた。


「な、なんでじゃ! さっきは吹っ飛ばされてたはずじゃ!?」


ミーアの叫びは、むなしく響き渡る。

その間にもクロロは四肢を引き裂かれ、自由を奪われていく。

さっきのクロロの攻撃は不意打ちだった。和服少女はその時調度メリルと戦闘中であり、意識…があるかどうかは定かではないが、剣はメリルへとむけられていた。それ故に一撃が通ったのだ。

つまり、この少女にとって、まともな戦闘ならクロロは簡単に相手取れる格下なのである。

そして、少女の剣はついにクロロの首へと迫った。


「や、やめるのじゃあああああああああああ!! へぶっ」


ミーアは叫びあがって、和服少女へと突っ込んでいった。しかし、その途中でバランスを崩して転んでしまう。

その眼には大粒の涙が溜まっていた。


「い、嫌じゃ。いやじゃああああああああ!」


ガウゥ


ミーアの叫びに応えるものがいた。

ウールだ。ウールは怖がりだが、その恐怖を振り切って和服少女へと噛みつきにかかる。

しかし、和服少女はそれを軽く腕を回しただけで地面に叩きつけた。


キュッ


そして剣先の行方は、動けないクロロから、地面のウールへと変わる。


「ウール!」

「―――《フレイムランス》っ!」


バシンッ


ミーアの叫び声にかぶさって、絞り出した私の魔術が放たれる。

和服少女は素早くそれに気付いて、炎の槍を切り伏せた。

やっぱり、全然通用しない。


「メリル!?」


ミーアが顔を涙でいっぱいにしながら私を見る。

あー、もうっ! なんでそんな目で見てくるかなぁ!

泣きたいのはこっちだっていうのに。いや、痛みで涙ダラダラですけどね!


バキッ、ゴクッ


私は、自分の血でヌメって瓶をうまく開けられず。地面にたたきつけた。

そこには一見飴玉みたいな、赤い粒が散らばる。

その一つに噛みついた。

苦い。

でも噛み切り、中から出てきた液体を飲み込む。

これは【ブーストポーション】。攻撃力増強の効果をもったポーション―――の、はずだったものだ。

ゲームなんかと違って、この世界には決まった攻撃力の数値なんて存在しない。

ならこのポーションの効果はどうなるのか? それは。

全身からアドレナリンが大量分泌され、私の感じる痛みが遮断される。ついでに、体中の血液が大量に回り、傷口から血があふれ出すのを止めてくれた。

全身から力を感じ、全身の酸素濃度が膨れ上がる。

つまりこういうこと。

全ての物理的能力値増加、一時的に体力無制限状態となり、おまけに痛覚遮断と止血状態となる。

ただし、デメリットとして、後で体中にとんでもない負荷が起こる。

まあ当然だよね。肉体の異常な強化が、そう簡単にできたらおかしいし。

ちなみに私が飲んだのは、オリジナルを八分の一にして水で薄めたものだ。何故そんなことをしているかというともしそのまま飲んだら、のちの負荷が大きすぎて最悪命にかかわるからだ。

そのため、私は、このポーションに限りさらに小さな入れ物を用意し、噛み切ることで飲めるように飴状にしている。戦闘中のとっておきとして使うためだ。


とはいえ。

今の私は利き腕を切り落とされて、メインの弓も使えない。

魔術だって対して威力のないものしか扱えず、それは相手には簡単に切り捨てられてしまう。

身体能力向上させてはいるものの、クロロを圧倒しちゃうような相手にどこまでやれるかも分からない訳で。

私は顔を拭いながら、乾いた笑いをする。

(あはは。積んでない?)


でも。


「―――《ファイアーインパクト》」

「くー」


地面から吹き上げる炎に気付いた和服少女がその場から退避し、私はそれを強化された視力で追う。

まったく、とんでもない劇薬だよ、これは。

それ故に後が怖いけど今は構っていられない。


「―――《ファイアーボール》!」


和服少女目がけて放った火炎は一振りで薙ぎ払われ、霧散してしまう。

化け物めっ!

そして起きるのは、接近戦。

とてつもない速度で突っ込んでくる和服少女に私は強化された動体視力と、【思考】による反応速度でどうにか対応し、逆手に持ったナイフで対応する。

長物のくせにその剣筋は鋭く、速い。まるで短剣みたいに振ってくる。

正面から受ければ《ソニックブーム》が襲ってきて、一回はじいてもすぐに切りかかってくる。

正直怖い。一瞬でも判断をミスればそこでおしまいだ。

相変わらず向こうは幸せそうな寝顔で、寝息を立てている。

ふざけるな。本当は起きているんじゃないかと怒鳴りつけたくなる。


左下から切り上げられる刀を、ナイフを打ち上げて上方に飛ばす。

と、突然刀が翻って正面から切りかかってきた。

どうやら和服少女は、手首の返しだけで剣の斬る方向を修正したらしい。しかも勢いは乗ったままだ。

なんじゃそりゃっ。もはや何もかもがむちゃくちゃだった。

しかも腕を振り切ってしまったメリルに、その攻撃を防ぐ手立てはなかった。

これ、死―――


キィィィィィィン


(え?)

いつの間にか、和服少女は宙に浮いていた。

それだけでなく、眼前には見たことのない、赤い大剣が浮いていた。

大剣はその姿がゆがみ、私の先の無くなった腕に絡みついた。


「なにこれ…?」


それはまるで、動く炎のように見えた。

炎は私の頭上で盾の形をとる。

それを見た瞬間に、盾に衝撃が襲ってきた。

どうやら上空に打ち上げられた和服少女が再度攻撃を仕掛けてきたらしい。

オート防御?


「っ!」


和服少女が地面に着地するのと同時に、膝が落ちた。

あれ? 力が抜け……―――!

私はすぐに【アイテムボックス】から【マジックポーション】を抜き出し、蓋を親指で空け、がぶ飲みする。


「ぷはっ、はぁ」

(思った通りだ)


この炎は、私の魔力で動いてる。

【マジックポーション】を飲んだら膝も持ち上がったから間違いない。【ブーストポーション】は肉体的な体力は無尽蔵にくれるけど、魔力的にはサポートしてくれないのだ。

それにしても、なんで急にこんな……?

私は、首のあたりが熱を発していることに気付いた。

首?

そこにはネアから貰ったブレスレットが。

(あ)


『鑑定』

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

【宝玉の腕輪『炎』『水』】『半開放状態』

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

《解析》

『炎帝の宝玉』と『水帝の宝玉』がはめられた腕輪の宝具。

神に等しき力を持った精霊の王、炎帝と水帝の力が封じられている。

それぞれの種類に対応した魔力を込めることで、念じた形状の武具を作り出す。(伝説級)

宝玉を通して対応した魔法を放つことでその効果が増幅される。

持ち主の生命に危機が迫った時どちらかの宝玉が強制解放され、その身を守る。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


(ネアあああああああああああああああああああああ!)

なんてものを渡してるんだろうか、あの親代わりは!

いや、確かに私を守ってくれますように、とか言ってたしその通りになったけども。

私がテンパっていると、正面には和服少女が迫って来ていた。


「うわっ」


ガアアアアアンッ


赤い盾が、私を守ってくれた。

それだけでなく、盾はその攻撃を跳ね返すように和服少女に向けて爆発を起こした。

和服少女はそれを悟ったのか直前にバックステップを踏んでかわす。

本当にどうしてあの警戒心ゼロみたいな寝顔でこういう冷静な判断ができるのか不思議でならない。

少女と距離が開くと、盾はその形を崩して長い腕になった。

腕、ってことは何かを掴むのだろう。が。

(あ、これ私の)


拾ったのは切り落とされた私の腕だった。

腕は粘着質の炎みたいに私の腕と体をくっつける。と、いっても体がくっついてないので動かないのだけど。

……もしかして。


「―――《ハイ・ヒール》」


鑑定で視た時に対応する魔法の効果を増幅とあった。

それはつまり、【火】と【水】の属性の魔法ということだろう。

結果は成功。私の腕は見事につながった。

すぐに【ブーストポーション】の効果が右腕にも行き渡り、血液が循環。動かせるようになる。

あー、本当に副作用がやってくる後が怖い。

私の腕がくっついたのを境に、勝手に動く炎は消えてしまった。

つまり生命の危機が去ったということだろうか?


「め、メリル?」


いつの間にかクロロの傍で必死に魔物用の回復魔法をかけていたミーアが心配そうにこっちを見ていた。

うん。気持ちは分かるよ。

さっきから私、おかしな現象起こしまくりだもんね。


まあ、私自身、うまく説明できないんだけどね。

とりあえず。


《弓》


心の中で念じ、宝玉に込めた【火】の魔力が魔法の武器を作り出す。

これ、【水】の方もあるんだよね?

なんか、完全に私用の装備なんだけど。

生み出された弓は、私が思っていたのと形状が異なっていた。

左手にナイフを持っていたためか、右腕に生まれたそれは腕に絡みつき、手の甲側に弦がついていた。

例によって赤い弓だ。

えっと、矢は……え?


その弓にはもう矢が付いていた。

まるで《フレイムランス》を縮小したような燃える矢が。

(もしかしてこれも?)


『鑑定』

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

不死鳥フェニックス弓矢アロー

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

《解析》

不死鳥の力を宿した弓。

矢は持ち主の魔力が続く限り無限に生み出され、イメージによってその種類を変える。(全て【火】属性)

込める魔力によって威力に変化が起き、自動で生み出された矢は最低の威力となる。

発射は意思を込めることでできる。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


やっぱりこれも、伝説級の武器。ってことなんだろうなぁ。

ていうかこれ、もう弓じゃなくて銃じゃん。

片手で撃てるってなんじゃそりゃ。

まあ、ありがたいんだけどね。


「いけっ」


矢は《フレイムランス》が飛んでいくのよりもずっと速く和服少女へと飛んだ。

それを和服少女は刀で弾きつつ、回避する。

(え?)


回避。それも弾いて?

さっきまでかなり余裕の回避で、プラスで接近までしてきていたのに。

少女の背後では1メートルくらいの火柱が立ち、辺りを焼いていた。

わぁーお。

ちなみに自動リロード状態なので威力は最低である。

これは……………(ニヤ~)


私は良い笑顔になる。

ありがとう、ネア。私を守ってくれて。

さっきと百八十度態度が違うけど気にしないでね♪


「散っ!」


一気に五本ほどの矢が生まれて発射される。それをさらに五回連射。

和服少女はそれらを斬って弾いてギリギリで回避していく。

そこにはもう、についでに攻撃を仕掛ける余裕はなくなっていた。

イメージした攻撃ができるって、マジで最高です。

でも、かなり魔力消費は激しい。ここら辺は装備の性質柄仕方ないと思うしかないかな?

幸い、私には回復手段がある訳だし。

放たれた矢はそれぞれが火柱を作り出し、和服少女の動きを制限していく。


貰った!


「全開放射!」


残りの魔力をほぼ全部込めて、身動きができなくなった和服少女へと最大の攻撃を放つ。

それは、炎のレーザー光線のようだった。クロロのブレスとどっちがやばいだろう?

私はその時、勝利を確信していた。

そして、その予想はおそらく外れていなかっただろう。

そのタイミングで、彼女が目覚めなければ。





パチ


「うむ?」

(なんだかやばそうなものが迫っておるなぁ)


少女は一瞬で視界から情報を集め、理解した。

あ、これまじでやばい状況だと。


「疾風一閃」


半瞬。それだけの時間で刃に風の刃を纏わせ、炎の塊を切り裂いた。





光線を放った後、私は再び地に膝をついていた。

魔力切れ、とそろそろ【ブーストポーション】の効果が切れそうだったのだ。

その状態で、どうにか視線を上げた先。そこで見たものに、私の気力は完全になくなってしまった。


「う~ん。良く寝た。それにしても今のは凄まじかったな。わっちでなかったら危なかったぞ……ん?」


無傷。さらに火柱もどこかに吹き飛んでいた。

もうどうにでもなぁ~れ。



そんな、全てをあきらめた私の背後では小さな影が私の背を見つめていた。


キュア~


※メリルが腕もげた時のネアの反応

「いやああああああああ! 腕、うでええええ! メリルが、メリルがああ!」

「ね、ネアさん落ち着いてください。どこに行くつもりですか!?」

「助けに行くに決まってるでしょ!」

「規則違反ですよ!!」

「知らないわよ、そんなの! とにかくメリルを助けに行かせなさいよ!」

「もう誰かこの人止めてください!」



※メリルが宝具を使った時のネア達

「…………」

「ネアさん。あれって確か女神さまの…」

プイッ

「あんた本当に何してんですかああああああああ!」



どーもです。

今回、あとがきにネアさん乗っけてみました。

ネアを出したのはなんとなくです。時期的にそろそろ天界戻ってる頃だろうと思い、ネアの話を作りました。

ついでにメリル、専用のチート武器ゲット? 解放? をしました。

でも周りがそれ以上のチートなので、結構かすれます。

次回、忘れて放置されてしまった小竜ちゃんが登場です! 次回からほのぼの系に戻りますのでよろしくお願いします。

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