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第43章(風に吹かれて)


「ごめんね、待たせちゃって」と走ってカフェに現れた明菜だったが、

撮影場所から駆けつけてきたそのファッションには、これからヨットに行く雰囲気はどこにもない。

清楚な雰囲気が漂っている。 久しぶりに涼と会えることを意識しすぎて、

こんな服装になってしまったのだろう。 お互い涼に憧れていた高校時代が懐かしく、

西井家の思い出話にも花が咲いた。 ランチを食べた後、由紀奈の姿を探す。

「ごめんね、車が混んでて、待たせてしまって」由紀奈が大きな車から顔を出して謝った。

後部座席に乗ると、爽やかな好青年が挨拶をする。 「山野隆です。はじめまして。」と。

由紀奈の彼氏かと思ったら、涼の同級生で、三人のお迎えを任されているという。

東京出身で、兄弟全員が医者というサラブレッドらしい。 利絵のタイプのようで、

車内は久しぶりの親友との再会で賑やかだった。 琵琶湖のほとりには西井家の別荘があった。

ここは個人資産ではなく、会社の福利厚生施設だ。20人は優に泊まれるし、ダイニングも自炊可能。

外にあるバーベキュー用テーブルを使えば30人は食事できそうだ。

たまたま昨年、テニスサークルの仲間と泊まりに来た涼が、

ヨット部の合宿に来ていたクラスメイトと意気投合。今年はヨット体験をさせてくれるというので、

同じ時期に友人たちを誘って琵琶湖に来ることになった。 ヨット部にとっても、

すぐ近くに別荘があるのは何かとメリットがある。OBも近くの別荘を買って後輩たちに

貸しているそうだ。 湖岸までの林には、簡易の舞台が設営されていた。テーブルやイスも並べられ、

サマーフェスティバルのようだ。音響も整えられ、舞台にはドラムやキーボードまで並んでいた。

まさかそこで、涼や剛のバンドのミニコンサートが行われるとは、三人には知らされていなかった。




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