二人の警備員
私は2人の警備員に連れられ、病院ではない場所に来ていた。
かといって事務所でもなければ警察署でもない。
雰囲気的には研究所に近いような雰囲気だった。
うすうす感じていたが、俺を連れている二人の警備員は
本当に警備員なのか?
ナースの人とは何か話していたが、それ以降は無言のままだ。
二人の警備員は、現在180センチある私にも負けないくらいの体格だった。
一人は東南アジア風の顔立ちで、カフェオレ色に日焼けをしている。
もう一人は切れ目をした日本人らしき人で、アジア風の人に比べて落ち着いている。
私が違和感を察したことに気づいたのか、アジア風の警備員が私に話かける。
「ココカラ先、見ンナダ。アイマスクシロダ。」
強気な口調に言い返そうとした瞬間、日本人らしき警備員が仲裁に入る。
「うちのダッダが、失礼なことをすいません。まだ日本に来て間もないもんでして。」
「いいんです。いや、よくないけども。」
一人ツッコミが綺麗にスルーされ、そのまま日本人らしき警備員は話をはじめる。
「私は、吉田といいます。ここまで来れば勘付いているかもしれませんが、
私たちは警備員ではありません。正確には大学病院の警備員ではありません。」
「では何者なんですか?」
「それは言えません。正確には口に出してはいけないルールになっているのです。
ただあなたに危害を加えようとか、そういうつもりは全くありませんので安心してください。」
吉田はにっこりと微笑みかけてくれた。
しかしなぜか、私には死んだ魚の目をしているように見えた。