鯛茶漬け
おぇぇー・・うっ・・・うっ・・・。
冒頭からきたない音を聞かせてしまい、本当に申し訳なく思っている。
ただ、食中毒になり嘔吐と発熱の苦しみに襲われている私に免じて、許してほしい。
おそらく原因は昨日食べた鯛茶漬け。
スーパーで安くなっていた鯛の刺身と、あり合わせでお茶漬けっぽく作ったご馳走だ。
まさに天国から地獄。私は2日間の断食生活の末、ようやく回復した。
とはいえ、まだ頭が重く思うように動けない。
ほとんどベッドの上で過ごしていたからだろう。まぁ病み上がりはではよくあることだ。
休みが明け、私は2日ぶりの出勤となった。
「小崎です。お休みいただきありがとうございました。病院で診てもらった結果・・。」
私が上長に報告している途中で、呆気な顔をした上長が聞いてきた。
「あれ、小崎くん。なんか大きくなった?」
「え?」
「いや、なんか体格が一回り大きくなってない?」
言っていることの意味は分からないが、その違和感には納得した。
思い返せば、病気が治りはじめて風呂に入った時のこと。
風呂釜が窮屈に感じたのだ。
もともと一人暮らし用の大きな風呂釜ではないにせよ、背中をかなり曲げてちっとも癒されない。
頭が重たかったり1日風呂を空けていたからそのせいかと思ったが、
どうやら勘違いではなく、私の体が大きくなっていたらしい。
「ちょ、苗字が小崎だからって、どれだけ小さいと思ってたんですかー!」
その場は愉快な空気に包まれ、何事もなく仕事に戻り、いつもの生活を送ることとなる。
…はずだった。
その翌日、私の身長は180センチに伸びていた。