-初めてのお使い魔-
ブックマークが10を越えて、累計PVが1500を越えました!!ありがとうございます!少しずつではありますがより良い作品にしていくため頑張りますので今後ともよろしくお願いします!
俺は自分の精神の深い深い場所を探る、理由は簡単だ。
あの取り込んだ鋼毛熊を使い魔として使役するためだ。
自分の体?いや、心でもなければ体内でもない。それは俺の魂に深く刻まれた術式という名のまだ中身のすかすかなパンドラの箱の中を覗き見る。
自分の中に自分の疑似体を作り上げ散策する、
そこには暗闇の中、淡く光を放っている一つの鬼灯の実が浮かんでいた。
「あれか?」
近づくと光が強くなり、あまりの眩しさについ目を腕で塞いでしまった、収まったかと思い視線を戻すとそこにはさっきまであった鬼灯の実などではなくあの鋼毛熊に姿を変え口を開いた。
「ゴガァァァァァァァ!!!!」
やつは俺を見るや感情を爆発させ咆哮する。
だがここは俺の世界なんだ、ごめんな。
近づき手を添える。
俺が手を添えた瞬間に鋼毛熊の記憶が一気に流れ込んでくる。
だがこちらの記憶も相手に流れているのがわかった。
一瞬にして互いの総ての記憶が流れあう。
そうか、これが奴の記憶か…父さんが違う山が主な生息地だと言っていたけど、こんな遠くの森に来て縄張りを作っていた理由が分かった。
こいつの見た記憶で推測するに、かなり高位の魔族に自分の故郷である山を狩りと称して焼き払われ、同族の親やこいつの友人にあたる物まで殺されたみたいだ。
その一族を滅亡させた奴らは最低でも三人いたみたいだが、こいつの記憶の視点で爆炎に霞んで確かな姿は確認できない。
でもそれを命からがら逃げだせたところで俺が討ってしまったようだ。遅かれ早かれ父さんたちに討たれかねなかったがそういった問題じゃない。
決めた、正確な仇はわからないが。
「俺がお前の一族の敵を討つよ、だから都合が良いかもしれないがお前の力を借りたい」
術式で無理矢理縛り上げて使役するのは簡単だがそんなのロボットを使ってるのと一緒だ、それにこいつにはこいつなりの目的があった、でも俺がそれを奪ってしまった。
なら俺がそれを叶えてやるのが飼い主って言ったら悪いんだろうが俺の責務だと思うから。
すると最初は怒りの感情がひしひしと伝わってきていたが、俺の意思を理解してくれたのか鋼毛熊は静かに佇んだ。
「俺に協力してくれるってことで…いいのか?」
「あぁ…俺の一族が滅んだのも、俺が負けたのも何もかも弱かったせいだ、勝ったものが負けたものをどうしようとも、それは魔族の絶対的な掟だ。確かにお前のような小僧に討ち取られた事いまだに納得がいかんが俺は敗者だ、勝者には服従させてもらおう」
「ちょっとまって!お前しゃべれんの!?」
急にいままで雄叫びしか上げなかった熊がしゃべった!?そうか、言葉は生前の制限にしか過ぎないし、今は魂みたいなものだから言葉じゃなく意思同士で会話してるから言葉がわかるのか…・
「おかしな奴だな小僧」
「小僧じゃない、俺にはソーマと言う名がある。ちなみにお前の名は?」
「一介の魔族である俺に名など有るわけないだろう、ただ森の主というスキルがあったくらいだ」
そうか、少しだけ本に書いてたっけ。魔族は基本的には名前を持たず、自分より高位の魔族からしか名をもらうことしか出来ないって。
そして名をもらった際にその貰った魔族の能力の一端をもらい強化されて俗にいう【名前持ち】と呼ばれるそうだ。
「なら俺がお前に名前をやろう!!」
「そんな簡単に決めていいのか!?魔族への名付けはかなりの魔力を消費すると聞くが」
え?そうなの?知らなかった。どれくらい使うんだろう、魔力は魔法を使わないからそんなに消費されないからあまってるからいいかな?
「大丈夫だ、お前にはこれからいろいろ手伝ってもらわなきゃなんないしさ。友好の証として受け取ってくれるか?」
しばらく鋼毛熊は俯き黙っている。
暫く俺たちの間に沈黙が流れた後、ふと鋼毛熊が口を開いた。
「良いだろう、この身と心もソーマ、お前さんに下ろう。我が同族殺しの敵討ちなどお願い申し上げる」
「本当か!?やった!ありがとうな!!じゃあさっそく名前どうしようか?ちょっと待ってくれな?ん~…」
さすがにこの先一体だけってのも寂しいし後々増やすとしてもそうだな…
「じゃあさ、七つの大罪から取って熊だから怠惰は?」
「七つの…たいざい?なんだそれは、まぁ知らぬが怠惰か…悪くない響きだな」
よし!決まりだな!
今度からこいつはおれの使い魔の【怠惰】だ!でも七匹あつまるかな…
《鋼毛熊がネームドモンスター怠惰に進化したことにより鉄針熊に種族進化しました》
やっぱり聞いてた通り種族まで上がっちゃった…
「ほぅ、中々に力がみなぎっていい感じだぞソーマ!」
たいそう怠惰はご機嫌だ。
魔力ごっそり持ってかれたけど…
それじゃ気を取り直して友好関係を結べたことだし、さっそく召喚してみようかな?
えっと血で肉体を与えるけどまんまで出すと俺が死にかねないから、こんなもんかな?
取りあえず目の前に30センチ程に圧縮した怠惰の体を出現させる。
「すまないけど、早速召喚の練習したいんだけどこれに入って現界してもらえる?」
「これが俺の新しい体か!?えらく小さくないか? 」
まぁ4メートル越えてた巨躯を持ってた奴からしたらそーだよね…
「ごめんな、まだ絶対量が足りなくてあのままじゃ出せないんだお前の事さ」
「なるほどな、全く情けない主よな。仕方ないどれ」
文句を言いながらも依り代に入ってくれた。
そして意識を浮上させる。
「よし、戻ってきた!」
「お、やっと戻ってきたかソーマ!待ちくたびれたぞ」
そこには首を長くて待ってた父さんがこちらをじっとり見ていた。
「ごめんなさい、ちょっと話し合っててさ!」
「話し合い?支配下に置いたわけじゃないのか?」
今度は珍しいものでも見るかの様に目を見開いてこちらを見てくる。
「なんか嫌だったんだ、あいつにも色々あったみたいでさ。だから理解して協力関係になったんだ!名前も付けたしさ!」
「使い魔をネームドにしたのか!?これまたなんにもかんにも唐突な事をしてから…魔力は、大丈夫なのか?」
「あーうん、なんとかまだ余力はあるよ!」
実は2割位しか残ってない、名前を与えるだけでここまで持っていかれるとは思わなかった…
でも種族進化もしたし嬉しい誤算だろう。
さて、いよいよ初めての召喚を試すかな。
「召喚【怠惰】」
すると俺の足元に魔方陣が浮かび上がりそこから精神世界で作った小さな依り代の姿の怠惰が出てきた。
「また外を歩けるとは思ってなかったな、一応は感謝しなきゃなソーマ。ネームドにしてもらえたお陰で敵討ちにも一歩近づいた」
「気にすんなよ、これから二人で頑張ろうな!?」
二人でこれからの旅の門出を祝っていた。
「ほー、ネームドになって種族進化したのか…これは珍しい種族になったな?」
父さんが進化した種族を知ってる様だった。
「怠惰の種族ってそんな珍しいの?」
「そうだな鋼毛熊のなかで稀に…大体数千に一匹生まれるかーと言う上位種族って所だな」
そんな確率のに進化させたから魔力ごっそり持ってかれたのか。
でもとりあえず初めての召喚は成功した。
俺の第一の使い魔だ!




