-技名-
父さんからの提案でまず俺たちは休憩がてら昼食をとることにした、するとカインズが急ぎ用意に取り掛かってくれた。
「今日のお昼はお母さんが作ったのよ?だから沢山食べて午後からも頑張るのよ?」
母さんが満面の笑みで胸を張りながらそう言った。
「母さんが!?でもいつ作ったの?」
朝から起こして呼んだから作ってる暇なんかなかったはずなんだけど。
「昨日の夜のうちに作っておいたのよ!ソーマには美味しい物たっくさん食べて張り切ってこの人に鍛えてもらいなさい!」
にんまり笑って言いながら母さんは父さんの肩に手を乗せた。
「そんなに俺も教えるのが上手い訳じゃないんだがなぁ…セレスもそれはしってるだろう?」
「いいえ、今のあなたは立派な父親なんですからそれくらい出来てもらわないと困ります!」
普段おとり気味な母さんに吸血鬼の父さんがたじたじなのが凄く微笑ましい。
「父さんって母さんにはかなり弱いんだね?」
「こらソーマ!父親をからかうんじゃない!!」
それを見て母さんも笑っている、のどかで風も気持くて家族の笑い声が響いて。
こんなに楽しい昼飯あるんだな。
それにやっぱり見た目は厳格そうでも父さんは本当に優しい人なんだな。
「ずっと続けば良いのにな」
「ん?何がだソーマ?」
あ、つい口が滑った。
「ううん!何でもない!!ただこうしてるの楽しいなって思っただけ!」
「どうしの急にそんな事言い出すなんて、変な子ね」
母さんは笑っているがこっちに来てから俺は、親からの愛情ってものに初めて触れれた事が本当に嬉しくてこの二人には感謝してもし切れない。
「俺の親になってくれて、ほんうにありがとう。二人とも、いや、カインズも含めみんな大好きだ」
改めて俺はみんなに感謝を伝えた。
「こんな私にもそんなお言葉をいただけるとは…」
カインズは軽く涙している、そんなに嬉しいこと言っただろうか?
父さんと母さんは寄り添ってなんかうんうん頷いてるし…
「な、なんだよ…ちょっといいなーって思っただけだよ!」
だけどまだみんなニヤニヤして俺をジトーっとした目で見てくる。
「とりあえず昼を食べ終わったらまた軽く説明と練習だな、そしてまだ吸血をあまり経験してない内にやり過ぎると血が足りなくなるから注意だぞ?」
「吸血すると血の絶対量も増えるの?物理的に有り得なくない?」
当然体内にそんな数百人分の血なんか入りきらない筈だ。
「実際に入っている訳ではない、召喚魔術みたいなものだ。吸って自分の体内にある魔術空間に保存して、使用するときに引き出す感じになるわけだ。吸血鬼だけが持つ呪い…とも違うが古より始祖より埋め込まれたと言われる生まれもっての特殊術式だな」
「始祖?それって元からの吸血鬼って言うか、特殊な存在なんだよね?」
よく俺もそこまで詳しくはないがたまに漫画とかに出てくる奴だよな?
「そうだ、俺達の始まりと言っても過言じゃない。俺も数百年前に気紛れで吸われて仲間にされた時以来あってないが、それは目を奪われる程に綺麗な女だった…いやーつい若気の至りでほいほい着いていったら今ではこんな立派な進祖にされてしまったわ!はっはっはっは!!」
あー父さん、その辺にしといた方がいい。母さんが鬼すら逃げ出すような形相で見てる…
あ、母さんと父さんの目があった。
「…あなた?後でちょっとお話聞かせてくださる?すごーーーーーーっく興味があるわその話」
母さんは静かに笑っては居るが、どこか恐ろしく後ろにゴゴゴゴと地鳴りでも聞こえて来そうだ…
小動物ならあれ感知したら逃げ出すんじゃないかな…
「い、いや!誤解だぞセレス!?もう七百年も昔の話だ!俺も若かったし!な!?それだけなんだ!」
「父さん、見苦しいよ…」
「ソーマ!!!裏切ったな!?」
そうして午後の部は教師の父さんが母さんに連行されてったためになくなってしまった。
なのでカインズにもう何回か手合わせをしてもらいそこから少しずつ弱点などよ克服をしていき、夜は部屋に籠っていた。
理由?技名を考えたりどんなイメージがそれに結び付くかに時間が掛かるからだ。
似すぎだ名前も混乱して誤用なんかしていたら目も当てられない。
とりあえず思い付く限り様々な技名などを考えたりしていた。
簡単にまずどういった物をイメージしたかで名前をつけていこう、だけどこれがなかなかに難しい。
まぁ少しずつ考えて行くか。
俺はまだまだ色々能力やスキルを把握しきれていない、スキルの救世主だかのなかに入ってる他のスキルも今一効果とかわかんないし。
まぁ確かに魔族が多い世界だから強くなって損はないけど、カインズがあんなだし…それよりも父さんが強いって想像もつかないけど…あの二人より強い人ってそんじょそこらには居ないと思う、まぁこの家からまともに外には出たことないけどさ…
「外の世界か…ちょっと見てみたいけどな」
棺桶の蓋を開けて寝そべり、天井を眺めながらうわ言のように呟く。
明日からよりいっそう訓練に力を入れよう。
外に出てその辺のチンピラに負けたって言ったら訓練してくれてる二人に申し訳が立たない…
まずはでかい街に行ってみたいな、この世界の文化や
風習の違いを肌で感じてみたい。
観光気分じゃないけどこれから生きていくんだ、興味がある。
こんど父さんに出掛けて良いか聞いてみよう!
カインズに付いてきてもらえば安全だろ!むしろ過剰戦力かな?
よし!明日に備えて早く休むかな!
今日はカインズに酷い目に会わされたからな…
「お休みなさい…」
そう言って俺は棺桶の蓋を閉め暗闇の中で眠りについた。




