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OVER THE CONTRAIL  作者: 三毛
MISSION 3:ネバーエンディング・レイン
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Prologue:ネバーエンディング・レイン

 青き空を拝めない人たちは、何を見上げて生きるのだろう。


 灰色の空は、何を思って僕らを見下ろすのだろう。


 神様がいるとしたら、こんな彼らを哀れに思うのだろうか。


 故に。


 この空の支配者は神でも、鳥でもなく、雲であり、雨だ。


 決して止むことのない雨と決して流れることのない雲。


 人々はそんな空は悲しいだけだと言う。だが本当にそうだろうか。


 これが彼らの飛ぶ空であり、唯一絶対の空間だ。


 そうだ。ここは、止まない空。


 ネバーエンディング・レイン。




 一筋のジェット音がこだまする。


 雲をまとい、されど雨を置き去りにして。


 真っ直ぐ突き進む音には影が宿る。熱い雲から躍り出る戦闘機。


 アフターバーナーの炎を引いて、一筋のジェット音を奏で行く。そこから見える空は青空か。いや、これはノズルの青い炎が作り出す幻影なのだ。音速で生まれては消える青空。


「あの空を飛びたくないか」


 その声は、悪魔の囁きか。天使の誘いか。ワルキューレもここにはいない。


 ゆっくりと空に手を伸ばす。


 これが自分たちの空ならば、それだけで十分だ。だが空を飛ぶには翼がいる。戦う為の。何の為かは重要じゃない。ここを飛びたい。ただそれだけの願いから。正義や大義は、それから考えよう。


「飛ぶよ」


 答えを返す。誘いの主は、そこにはいない。


 ジェット音が目の前で響く。黒い翼が現れた。


 その名は、ドラケン。


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