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転移したら賢者、転生して魔王の息子になりました。  作者: 雪国竜


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第42話 それはないだろう

『ま、まいった』

 もう何十発撃ったか分からないくらいに撃っていたら、突然バズヴが降参の声をあげた。

 という事は――

「これで僕達は魔法を使えるということで、いいのかな?」

『うむ、そのとおりだ』

 元々黒いので分かりにくいが、何となくだがここに来た時より少し黒くなっている気がする。

 それに焦げて、羽のいたる所がチリチリになっている。

「やったあああああっ‼」

 マイちゃんが飛び跳ねて喜んでいる。

 僕は気になった事があるので、尋ねる事にした。

「えっと、バズヴ様?」

『バズヴで構わん』

「じゃあ、バズヴ。何で僕と戦う事にしたのかな?」

『すべては神の思し召しだ』

「つまり、どういう事?」

『・・・・・・我も分からん』

 溜めて言う事じゃないと思うけどな。

 まぁ良いか。

 頑張ったから良いとしよう。

 まぁ、魔弾銃(仮)とその弾丸を作ったのは侯爵だけどさ。

 僕達の話を聞いて、マイちゃんは空を見上げながら咆える。

「ちょっと、それはないんじゃない。こら神様、聞いているんでしょう! もしくは、今すぐあたしに殴られなさいよっ!」

 マイちゃんが凄い事を言いだした。

 僕は慌てて宥める。

「お、おちついて、マイちゃん。この世界で神様に噛みつくとか命知らずな事は止めてよ」

 この世界の神様だったら天罰とか下せそうで怖い。

 マイちゃんを落ち着かせようとしたが――

「ガルルルルルルルルルルッッッッ‼」

 あかん、これはかなりキレてる。

 一度こうなったら、なかなか怒りは収まらないんだよな。

 とはいえ、僕も伊達に幼馴染をしている訳ではない。

 ちゃんと怒りを収める方法は幾つもある。

「マイちゃん、今度好きな料理をこっちの食材で作るから、怒りを納めてよ」

 吊り上がった目で僕を見る。

 よし、反応あり。ここで畳み掛けるぞ。

「プリンが良い? それともケーキかな? それともローストビーフ?」

 とりあえず、マイちゃんが好きなモノをあげる。

 マイちゃんは少し考えている。

 考えているという事は、気持ちが落ち着いてきているという事だ。

「…………今言ったの全部」

「全部か、う~ん、出来るところあるかな」

 王宮の厨房を借りるのは少し心苦しい。

 とはいえ、それなりに設備が整った所じゃないといけない。

 そんな所あるかな。

 と考えていたら、マイちゃんの怒りメーターが上がりだしてきた。

(あっ、そうだ。あそこなら大丈夫かな)

 知り合ってそれほど経ってないけど、何となくだけど頼んだら無下にしないと思う。

「わ、分かったよ。今度ね」

「明日」

「はい?」

「明日が良い」

「あした……明日はちょっと……無理かな」

「じゃあ、いつなら大丈夫?」

「そうだな…………五日後だったら」

「よし、じゃあそれでいい」

 さっきとはうってかわって、笑顔を浮かべる。

 ふぅ、どうにか怒りを収めたぞ。

 そう思っていたら、肩がトントンと叩かれる。

 振り返ると、そこにはユエ達が居た。

「ノブ、それはわたし達も一緒だろうな?」

「え、えっと……」

「まさか、イノッチはサナダッチは連れていけて、あたしたちは駄目とか言わないよね?」

「それは……」

「それは?」

「…………いえ、皆さんも一緒にどうぞ」

 三人共ハイタッチしながら喜ぶ。

『もう話はよいな。我は行くぞ』

 あっ、すっかり忘れていた。

「すいません。助かりました」

『よい。では、さらばだ』

 バズヴは翼をはためかせて、飛び立った。

 僕らはバズヴを見送ると、侯爵に報告する為、訓練場を後にした。

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