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転移したら賢者、転生して魔王の息子になりました。  作者: 雪国竜


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第38話 魔法適性が有り過ぎるのも問題だ

 この後も魔法の契約はスムーズに進む。

 そうして話している間にも順番は進み、次はユエの番だ。

 ユエは気負うことなく魔法陣に入る。契約の詠唱を唱える。

『わ、我、此処に万物の力を希う。遍く力よ。我が求めに応じて、此処、御成りあそばせたまえ』

 カドモスさんもそう聞こえたようで、顔を青くする。

「な、なななっ、なんという事をっ⁉」

 何か、ひどく慌てている。

 と言う事は、これはかなり問題あり‼

「ユエっ‼」

 僕は魔法陣に近付く。

 ほぼ同時に、魔法陣が輝きだす。

 その光の強さに、僕は目を開ける事が出来なかった。 

「カドモスさん、これは」

「迂闊でした。わたしがちゃんと言えばこんな事には……」

「詠唱を区切らないで唱えると、その者の契約可能な魔法が全て契約できるのです」

「それって、もしかしてかなり良いのでは?」

「その分、代償もかなり大きなものになりますので、余程の実力者でないかぎりはしません」

 カドモスさんの頬に汗が流れる。

(だ、ダイジョブかな。ユエ)

 僕は幼馴染が心配になった。

 しかし、ユエは微塵も恐れる様子がない。

 やがて、ユエは魔法陣から出て行く。

 魔法陣から出たユエは、膝をついて倒れた。

「ユエっ‼」

 僕はユエの元に行き、体を起こす。

「大丈夫?」

「あ、ああ、のぶ。問題ない」

「いや、問題なかったら、膝付かないから」

 ユエは苦笑した。

「思いつきでやってみたが、これはかなりきついな」

「思い付きで行動するのは止めようっていつも言っているじゃないか」

「ふっふふ、すまない」

 ユエは僕の顔を見て、そして後ろを見て、勝ち誇った顔をする。

 誰かいるのかなと思い、首を向けるとマイちゃんと椎名さんが居た。

 二人共、悔しそうに顔を歪ませる。

(ふ、二人共、顔が怖いよ!)

 このままでは、二人に何かしてと言われそうだ。

 どうしようと思っていたら、カドモスさんが手を叩く。

「詠唱を区切らないで言いますと、今のような事がありますので注意してください。では、次の方」

 カドモスさんにそう言われて、次の人が魔法陣に入った。

(う〜ん、ユエをこのままにしておくのは気まずいな。僕の番はまだ時間があるな。一応言ってみるか)

 僕はカドモスさんに訊いてみた。

「カドモスさん、ユエをこのままにしておくとまずいと思うので、どこかのベッドに横にさせてきても良いですか?」

「構いませんよ。横になりたいなら、この部屋を出て右に歩くと健康管理室があります。そこにはベッドがありますので、そこに寝かせてきてあげなさい」

「はいっ、分かりました」

 僕は行く前に一応ユエに訊いてみた。

「ユエ、歩ける?」

「う〜ん、ちょっとわからん」

「そう。じゃあ仕方がないな」

 僕はユエの足と腰に手を回して、横抱きにする。

「の、のぶっ?」

「いいから、体調が悪い人は安静にしてなよ」

 こちらの世界に来て体を鍛えたお蔭か、女性を横抱き出来るくらいの腕力を得ることが出来た。

「「あああああああああああっっっ‼」」

 うん? 何かマイちゃん達が叫んでいるけど、まぁいいや。

 今はユエを健康管理室に行くのが先決だ。

「~~~~~~~~♥」

 ユエは何も言わず、僕の首に腕を回して寄り掛かる。

「じゃあ、行くよ。ユエ」

「う、うむ。なるべくゆっくりな」

 僕は言われた通りにゆっくり歩き出す。

 ユエを横抱きにして、健康管理室に向かう。

「えっと、部屋を出て右に行くと、その部屋があると言っていたけど……」

 言われた通りの道を進むと、消毒液特有の匂いが部屋の前に漂う。

 匂いからして、ここだ。

 入る前に、僕はドアをノックした。

「どなた?」

 中から女性の声が聞こえてきた。

「体調が悪い人が居るので、少し横になって休ませても良いですか?」

「良いわよ。どうぞ」

 僕はドアを開ける為、ユエを力強く抱き締める。

 ユエは何も言わないが、嬉しそうに抱き付く。

 その所為で、ユエの豊満な胸が押し付けられる。

「ち、ちょっと、ユエ、当たってる。当たってるから」

「何がだ?」

「ゆ、ユエのむ、むねが……」

 言ってて恥ずかしくなり、顔を赤くする。

「よいではないかよいではないか〜」

 ユエはニヤニヤしながら胸を押し付けてくる。

(ううううう〜、僕の反応を見て楽しんでるな?)

 その誘惑に耐えながら、僕はドアを開ける。

「し、しつれいします」

「はぁい、どなた?」

 部屋の中に居たのは、短い黒いタイトスカートに、ビスチェのように胸元が開いた服の上に白衣を着た妙齢の女性だった。

 ぽってりと膨らんだ唇。目鼻立ちした顔立ち。垂れた目の横にある泣き黒子。

 見ているだけで、劣情がわいてしまいそうだ。

 僕は自分でも分かるくらい顔がにやける。

「むっ……」

 ユエはそんな僕の顔を見て、頬を抓る。

「いはいはいはいあはい、いはいよ。ユエ」

「フン」

 ユエは頬を膨らませて、顔を背けてしまう。

「あらあら、中が良いわね。二人共」

「え、ええ、それなりに長い付き合いですから」

「貴方達は見ない顔ね。もしかして、異世界から来た人達?」

「ああ、分かりますか」

「そんな見慣れない服を着ていたらね。誰だってわかるわ」

「ですよね」

「それで、腕の中にいる子が体調悪いの?」

「はい、ちょっと魔法の契約をして」

「成程ね。そこにベッドがあるから、寝かせなさい」

「助かります。えっと……」

「クレアよ。クレア・ローズクォーツよ」

「ありがとうございます。僕は猪田信康です。こっちが張月亮です」

「よろしく」

 ユエは頭をぺこりと下げる。

 僕はクレア先生に言われた所にあるベッドにユエを運ぶ。

「ふぅ、調子はどう。ユエ?」

「少しよくなった」

「そう。本調子になるまで寝てなよ。動いちゃだめだからね」

「分かってる」

「じゃあ、僕は行くけど。先生の言う事は聞くんだよ」

「はいはい」

「先生、ユエをお願いします」

 僕は頭を下げてお願いする。

「分かったわ。貴方も魔法契約するのだから、もう行きなさい」

「はい」

 僕は部屋を出る。

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