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第14話妖王の衝突

空が光った。妖市の上空。


黒い雲を突き破るようにして、白い光が降りてくる。


最初は細い線だった。だが次の瞬間。それは巨大な刃へと変わった。


空を割る光の刃。一直線にレンへ落ちてくる。


リンが叫ぶ。


「レン!!」


カイトの目が鋭くなる。


「上だ!」


レンはすでに気づいていた。空を見上げる。


「……チッ」


ヴァルガとの殴り合いの最中。


突然の攻撃。しかも今まで感じたことのない気配。


妖ではない。だが恐ろしく強い。


レンが舌打ちする。


「誰だよ」


次の瞬間光の刃が落ちた。


ドォォォォォン!!


大地が爆発する。妖市の中心が消し飛ぶ。


瓦礫が空へ舞い上がる。地面が陥没する。


リンが瓦礫の陰に飛び込む。


「なにこれ!?」


長老が震える。


「この力……!」


ゼルが目を細める。


「面白え」


イリスも空を見上げる。


「新キャラ?」


煙が広がる街の中心。


巨大なクレーターができていた。


そしてその中央。人影が立っている。


長い衣。白い髪。背中には淡い光。


まるで空から降りてきたようだった。


リンが呟く。


「……人?」


カイトが首を振る。


「違う」


白蘭が静かに言う。


「天狩り」


その言葉に長老の顔が青くなる。


「まさか……」


リンが振り向く。


「知ってるの?」


白蘭の目は鋭かった。


「王を狩る者だ」


その頃煙の奥。


レンが瓦礫を押しのけて立ち上がる。


「いてぇ……」


肩を回す。服が焼けていた。


腕には裂傷。だが致命傷ではない。


レンが空を見上げる。


「てめえか」


クレーターの中央。


白い衣の男が静かに立っている。


顔は若い。だが目は冷たい。


レンを見る。まるで獲物を見るように。


男が言う。


「確認」


静かな声だった。


「妖王の器」


レンが眉をひそめる。


「またそれかよ」


男の視線が動く。レンの背後。


そこに妖王の影。ぼんやりと立っている。


男が小さく呟く。


「やはり」


そのときヴァルガが動いた。


咆哮。ゴォォォォォ!!


黒い巨体が突進する。


新しい敵。本能で理解した。


ヴァルガの拳が振り下ろされる。


だが男は動かなかった。


ただ指を上げた。次の瞬間空が光る。


光の刃。ドォォォン!!


ヴァルガの腕が弾かれる。


巨体が後ろへ吹き飛ぶ。ゼルが口笛を吹く。


「おいおい」


イリスも驚いていた。


「ヴァルガ吹っ飛んだ」


リンが言う。


「何あれ!?」


カイトが低く言う。


「危険だな」


白蘭の目は細くなっていた。その男を見る。


「……まだ生きていたか」


男の視線が白蘭へ向く。ほんの一瞬。


沈黙。男が言う。


「白蘭」


リンが驚く。


「知り合い!?」


白蘭は答えない。ただレンを見る。


「気をつけろ」


レンが肩を回す。


「言われなくても」


男がゆっくり歩く。


瓦礫の上。一歩。一歩。


そしてレンの前で止まる。


冷たい目。


「対象確認」


レンを見る。


「妖王の器」


レンが言う。


「さっきからそればっかだな」


男が言う。


「排除する」


その瞬間空が光った。


巨大な光の刃が無数に現れる。


リンが叫ぶ。


「いっぱい出た!」


レンが笑う。


「面白え」


拳を握る。背後で。妖王の影が揺れる。レンの頭の奥。


あの声が響く。


『思い出したか』


レンが言う。


「少しだけな」


拳を構える。


「お前を殺したやつだろ」


影が低く笑う。


『そうだ』


レンの目が鋭くなる。


「じゃあ」


空を見る。


「借りるぞ」


妖王の影が大きく揺れた。


そして光の刃が一斉に落ちる。


戦いは次の段階へ入る空が白く染まった。


無数の光の刃。雲の上から生まれたそれは、雨のように妖市へ降り注ぐ。


一直線にレンへ。リンが叫ぶ。


「無理無理無理!!」


カイトの目が鋭くなる。


「下がれ!」


リンと長老が瓦礫の陰へ飛び込む。


ゼルとイリスは逆に笑っていた。


「派手だな」


「街もう完全に終わりだね」


白蘭だけが空を見ていた。


「……天狩り」


低く呟く。


一方レン。降ってくる光の刃を見上げる。


数十本。いや百本以上。通なら逃げる。


だがレンは笑った。


「いいじゃん」


拳を握る。背後で妖王の影が揺れる。


頭の奥であの声が響く。


『受けるな』


レンが言う。


「分かってる」


『流せ』


レンが舌打ちする。


「さっきから先生みたいだな」


影が低く笑う。


『お前が下手だからだ』


その瞬間最初の光の刃が落ちた。


ドォォォォン!!


地面が爆発する。レンの体が動く。


半歩横へ。次の刃。後ろへ。また横へ。


爆発。爆発。爆発。地面が次々と砕ける。


煙が広がる。リンが目を丸くする。


「全部避けてる!?」


カイトが小さく頷く。


「感覚が変わったな」


ゼルが笑う。


「完全に戦い慣れてきてる」


イリスも言う。


「妖王の動き」


煙の中。レンが最後の刃をかわす。


そしてそのまま踏み込んだ。


一瞬で距離を詰める。白い衣の男の前へ拳を振る。


ドォォォン!!


だが当たらない。男はほんの少し体を傾けただけだった。


レンの拳が空を切る。男が言う。


「遅い」


その瞬間レンの腹に衝撃。


ドン!!


見えない攻撃。レンの体が吹き飛ぶ。


瓦礫へ叩きつけられる。リンが叫ぶ。


「レン!」


レンが瓦礫を押しのける。


「……いてぇ」


口から血を吐く。だが目は笑っていた。


「いいね」


立ち上がる。


「強えじゃん」


男が静かに言う。


「当然だ」


その目は冷たい。


「王を狩る者だ」


その言葉にレンの頭の奥に記憶が揺れる。


赤い空。戦場。巨大な妖王。


そして空の上。白い影。巨大な刃。


レンが呟く。


「……やっぱお前か」


男の目がわずかに動く。


「何だ」


レンが笑う。


「夢で見た」


拳を握る。


「俺を殺したやつ」


その瞬間男の目が細くなる。


わずかな沈黙。白蘭がその表情を見ていた。


そして小さく呟く。


「……思い出している」


カイトが聞く。


「何を」


白蘭の目はレンから離れない。


「王の記憶」


一方。レンは拳を構える。


「つまり」


首を鳴らす。


「リベンジだな」


男が言う。


「違う」


静かな声。


「確認だ」


空が光る。また刃が生まれる。


「器が本物か」


レンが笑う。


「だったら」


一歩踏み込む。


背後の妖王の影がさらに濃くなる。


「見せてやるよ」


次の瞬間二人が同時に動いた。


レンの拳。男の光刃。激突。


ドォォォォォン!!


衝撃が妖市を揺らす。


そして遠く倒れていたヴァルガがゆっくりと目を開いた。


赤い目。その視線はレンと男を見ていた。


妖王同士の戦い。そして王を狩る者。


三つの力が今。一つの戦場に集まっていた


衝撃が妖市を揺らす。レンの拳。白衣の男の光刃。


ぶつかった瞬間、空気が爆発した。


ドォォォォォン!!


瓦礫が空へ舞い上がる。地面が割れる。リンが思わず耳を塞ぐ。


「うるさすぎ!」


カイトは煙の中心を見つめていた。


「互角か……」


煙がゆっくりと晴れていく。その中央。


二つの影が向かい合っていた。


レン。そして白衣の男。男の手には光の刃。


レンの拳はその刃を受け止めていた。


レンが歯を見せて笑う。


「おいおい」


腕に力を入れる。


「刃って拳で止められるもんなんだな」


男の表情は変わらない。


「普通は無理だ」


レンが言う。


「だろうな」


背後。妖王の影がゆらりと揺れる。その圧力が少しずつ増していた。


ゼルが口笛を吹く。


「完全に王の力だな」


イリスも頷く。


「さっきより強い」


白蘭は静かに言う。


「思い出している」


カイトが聞く。


「何を」


白蘭の視線はレンに向いたままだった。


「戦い方」


一方レン。


拳を押し返す。


ドォン!!


光刃を弾き飛ばす。


そのまま踏み込む。


拳。男の顔へ。


だが当たらない。


男の体がふっと消える。


次の瞬間。レンの背後。光の刃。


ドォォン!!


レンの背中に衝撃。体が前へ吹き飛ぶ。


瓦礫を滑る。リンが叫ぶ。


「レン!」


レンが立ち上がる。口の血を拭く。


「……速えな」


男が言う。


「王と戦うための技だ」


レンが笑う。


「つまり」


拳を握る。


「俺専用ってことか」


男の目がわずかに細くなる。


そのときレンの頭の奥に、また記憶が流れる。


赤い空。巨大な戦場。無数の妖。中央で戦う妖王。


そして空の上。白い影。巨大な刃。レンが呟く。


「……やっぱお前だ」


男の視線が動く。


「何だ」


レンが笑う。


「思い出してきた」


拳を構える。


「お前、俺を殺したやつだろ」


空気が一瞬止まった。白蘭の目が鋭くなる。カイトが小さく呟く。


「当たりか」


男は少しだけ黙った。そして言う。


「違う」


レンが眉をひそめる。


「は?」


男の声は冷たかった。


「殺したのではない、処理した」


リンが怒る。


「言い方!」


レンは笑った。


「いいじゃん」


首を鳴らす。


「だったら」


一歩踏み込む。


「もう一回やろうぜ」


背後で、妖王の影が大きく揺れる。


今までよりはっきりした姿。


巨大な角。巨大な王。レンの体から黒い妖気が漏れる。


男がそれを見る。


「……やはり」


静かな声。


「器だ」


そのとき地面が揺れた。


ゴォォ……


低い音。瓦礫の山。そこから巨大な影が立ち上がる。


リンが振り向く。


「え」


カイトも見る。煙の中。黒い巨体。赤い目。


ヴァルガだった。ゼルが笑う。


「三つ巴か」


イリスも楽しそうだった。


「これは長くなるね」


ヴァルガが咆哮する。


ゴォォォォォ!!


妖気が爆発する。レンを見る。


そして白衣の男を見る。


その目は怒りで燃えていた。


ヴァルガが低く言う。


「王」


レンを見る。


「そして」


男を見る。


「王殺し」


次の瞬間三人が同時に動いた。


ヴァルガの拳。レンの拳。男の光刃。


三つの力が激突する。


ドォォォォォォン!!


妖市全体が揺れた。


戦いはさらに激しくなる。


そしてこの戦いが妖界全体を巻き込む戦争の


始まりになることをまだ誰も知らなかった。


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