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7-P1(最終ページ)

 「どう? フミちゃん思い出せたでしょ」


 メイに呼びかけられ、私は目を開く。


 空中に浮かびながら、ごきげんな表情でこちらを見下ろすメイの顔だけが目に入った。


 どうやら、まだ死んではいないらしい。でも、体は雪に埋もれているはずなのに冷たさは感じないし、地面にしこたまぶつけたはずの痛みも感じない。それ以前に、手足が切り落とされたように、そこに有るはずの四肢の感覚もない。


 心まで凍てついてしまったのか、突き飛ばしてきたメイへの怒りは微塵も湧いてこない。もう長くはない、あと数分のうちに私は死ぬのだろう、と何故か他人事のように冷静に判断できた。


「これが、メイの未練? 恨んで当然よね。あなたを殺したんだもの。これで、満足? 成仏できそう?」


 感覚がない割に私の口は饒舌に動いた。いや、ちゃんと声が出せているのか、話せているのかすら、もう私には分からない。


「ううん。恨んでなんかいないよ。こうやって約束通りフミちゃんは来てくれたんだもん。でも、寒かったからね、ちょっと仕返ししちゃった」


 メイは少しの邪気も感じさせない、いたずらな表情で笑った。


 命を奪うほどの仕返しとは、なんて酷い子だ。でも、こちらも命を奪ったのだから、お互い様か。


「ずっと来てくれないんだもん。寒かったよ。一人ぼっちで寂しかった。少しは分かってくれた?」

「ごめん」


 ああ、これが幼かった頃の傲慢な私への、親友を殺してしまった私への罰。これで、ようやく許されるんだ。


 灰色の雲から降りしきる白い雪を眺めながら、私の心は安らいだ。すぐに雪がすべてを包んで覆い隠してくれる。


 私の死体も、私の罪も、ぜんぶ、ぜんぶ、真っ白に。


 ふわりと降りてきたメイがそっと私に寄り添い、頬を撫でてくる。感覚がなくなったはずなのに、その手だけはこそばゆくて、私は薄く笑ってしまう。


「一人は寂しいから。わたしだけはずっと一緒にいてあげる。じゃないと、フミちゃんてば、あの世でもわがまま言って、また一人になっちゃうものね」


 ああ、そうだ。


 そういうところだよ、私がメイを嫌いだったのは。


 でも、一人は寂しいから。


 メイが、メイだけでも一緒に居てくれるのは嬉しいなあ。


 そこで私の意識は真っ白に塗りつぶされ、今度こそ何も分からなくなった。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

感想、アドバイス、ダメ出しご自由にお願いします。

とても喜びます。


この他にもまだ数は少ないですが、主に青春系、女子主人公多め、たまに百合展開もあり。といった感じで書いておりますので、よろしければ他の作品も御覧ください

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