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「どう? フミちゃん思い出せたでしょ」
メイに呼びかけられ、私は目を開く。
空中に浮かびながら、ごきげんな表情でこちらを見下ろすメイの顔だけが目に入った。
どうやら、まだ死んではいないらしい。でも、体は雪に埋もれているはずなのに冷たさは感じないし、地面にしこたまぶつけたはずの痛みも感じない。それ以前に、手足が切り落とされたように、そこに有るはずの四肢の感覚もない。
心まで凍てついてしまったのか、突き飛ばしてきたメイへの怒りは微塵も湧いてこない。もう長くはない、あと数分のうちに私は死ぬのだろう、と何故か他人事のように冷静に判断できた。
「これが、メイの未練? 恨んで当然よね。あなたを殺したんだもの。これで、満足? 成仏できそう?」
感覚がない割に私の口は饒舌に動いた。いや、ちゃんと声が出せているのか、話せているのかすら、もう私には分からない。
「ううん。恨んでなんかいないよ。こうやって約束通りフミちゃんは来てくれたんだもん。でも、寒かったからね、ちょっと仕返ししちゃった」
メイは少しの邪気も感じさせない、いたずらな表情で笑った。
命を奪うほどの仕返しとは、なんて酷い子だ。でも、こちらも命を奪ったのだから、お互い様か。
「ずっと来てくれないんだもん。寒かったよ。一人ぼっちで寂しかった。少しは分かってくれた?」
「ごめん」
ああ、これが幼かった頃の傲慢な私への、親友を殺してしまった私への罰。これで、ようやく許されるんだ。
灰色の雲から降りしきる白い雪を眺めながら、私の心は安らいだ。すぐに雪がすべてを包んで覆い隠してくれる。
私の死体も、私の罪も、ぜんぶ、ぜんぶ、真っ白に。
ふわりと降りてきたメイがそっと私に寄り添い、頬を撫でてくる。感覚がなくなったはずなのに、その手だけはこそばゆくて、私は薄く笑ってしまう。
「一人は寂しいから。わたしだけはずっと一緒にいてあげる。じゃないと、フミちゃんてば、あの世でもわがまま言って、また一人になっちゃうものね」
ああ、そうだ。
そういうところだよ、私がメイを嫌いだったのは。
でも、一人は寂しいから。
メイが、メイだけでも一緒に居てくれるのは嬉しいなあ。
そこで私の意識は真っ白に塗りつぶされ、今度こそ何も分からなくなった。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
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この他にもまだ数は少ないですが、主に青春系、女子主人公多め、たまに百合展開もあり。といった感じで書いておりますので、よろしければ他の作品も御覧ください




