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3-2

ズルズルと長いものはわかる。

大腸だろう。

あとはなんだかよくわからないブヨブヨしたものだ。

自分の臓物でありながら気持ち悪い。

なんだこれはと血にまみれた自分の臓物を取り出していても痛みはない。

それどころかなんの違和感もない。

気づけば、いま寝ているベッドの周りは凄まじい状態になっていた。


厳重にロックされているドアの向こうから悲鳴が上がった。

そりゃ、そうだろ。

俺が寝ているベッドの周りは血だらけではらわたが散乱しているのだから。

そして、俺は腹の中が空っぽになっても生きていた。

ピンピンしていた。


医者は狂喜していた。

不老不死が半分は成功したんじゃないかと。

内臓が失くなってもまだ生きているというのは不老とは呼べない。

人としての原型を保って変化しないということが不老である。

不死は間違いないのではないだろうか。


それから経過観察が始まった。

内臓どころの話じゃない。

全身の肉や脂肪が落ちても生きている。

骨だけの姿になっても生きている。

不思議なのは眼球がなくても見えている。

耳がなくても音が聞こえる。

舌がなくても話すことができる。

不死にはなったが化け物になってしまった。

不老不死の研究で半分失敗で半分成功して生き残った唯一の存在が矢後一希だった。


検査といっても骨しか残ってないので骨を調べるしかない。

ところが、この骨がやたらと頑丈だった。

削ることも切断することもできない。

レントゲンやMRI、各種センサーなども受けつけない。

だから医師としても疑問だらけの状態になってしまった。


検査不能という烙印を押された矢後は幽閉されることになった。

看護師にとっては非常に楽だった。

食事も必要ないし体調管理などを含めていっさいの世話というか面倒を見なくてよくなった。

仕事は定時になっての見回りだけでよかった。


それでは矢後自身はどうかというと、これまではめまいや吐き気に体のだるさなどいくつもの症状が襲いかかってきてとにかく不調で苦しかった。

白骨化してからそれらの苦しみからきれいさっぱりと解放された。

反対に精神的には重く応えるものがある。

それは誰一人としてコミュニケーションを持てなくなったからだ。

すでに検査されることもなく部屋からは一歩たりとも出されることがなくなった。

狭っ苦しい10畳ほどの部屋だけが世界のすべてになった。


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